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Dusk of one time
―解放歴15年― ―皇国暦532年―
鈍色のどんよりとした雲から、雨がさあさあと降りそそいでいる。
先ほどまで周囲がほとんど見えなくなるほどたちこめていた粉塵は収まり、ようやく自分がおかれている状況を確認することができた。
まだ、あちこちで殺し合いをしている。
指揮官などもはやいない、ただ目の前にいる敵と思われる人物を殺そうとしている。彼らに残っているのは気力だけなのだ。
遠くから近くに視線を変える。疲れ切った彼の目は本当に何も輝かない。
ぼろきれのようになった、敵の明らかな死体。
いったいどれほど前に死んだのだろうか...
まるで雨にうちのめされるかのように両膝を付き、その惰性で首を上げる。
「あぁ...まだ強くなりそうだ。」
このもうすぐ戦争は終わる。
それと同時にこの時代も終わるだろう。
いいや終わる。
そのために俺は戦い続けてきたのだから。