私の本音
「彩ぁおはよー」
ねむねむと言いそうな悠子。
あくびをしながら。
「おはよう悠子。眠そうだね」
「んー、兄貴に説教してたらさ夜遅くまでなってぇ。彩はどうしたの?何か機嫌悪いのぉ?」
驚いた。
私ってそんなに顔に出やすいんだ。
「あたしで良ければ聞くよぉ?」
悠子だったらお兄ちゃんのこと話しても大丈夫かも。
悠子もお兄ちゃんいるって言ってたし。
「実はね、私のお兄ちゃんが──」
全て話したら悠子は怒っていた。
「酷いぃ酷いよぉ。それは許せない!彩、怒っていいよ。そんなこと兄貴がしたらぁ、あたし許せない!お兄ちゃんの所に行って話さなきゃダメ!行こっ、彩。」
手を引っ張られてつれていかれた。
今は登校する時間帯。
もうお兄ちゃんは職員室にいると思い行く。
やっぱりいた。
お兄ちゃんが職員室の前に。
女の子達に囲まれてへらへら。
それを見せられて
私が黙っていられるはずがない!
走ってお兄ちゃんに近ずく。
たたたたたっ
じゃんぷ
「えいっ」
お兄ちゃんに飛び蹴りをくらわせた。
キャアキャア騒いでいた女の子達は静かになる。
一瞬の静寂の後にお兄ちゃんが壁にぶつかる音。
私は力がない貧弱な女の子だから
お兄ちゃんはあまり痛くないと思う。
むしろ、私の方が痛い。
立ち上がるお兄ちゃん。
この状況を理解出来ない。
驚いた顔のまま、私を見る。
少し良心が痛む。
でも、私は言った。
「お兄ちゃんの馬鹿!!約束したじゃん!お兄ちゃんはずっと私といてくれるって!何で?何で今日、先行ったの!?お兄ちゃんが髪セットしてくれなかったからぼさぼさじゃんっ!」
皆びっくり。
悠子だけが平然として
「髪、兄貴にやってもらっていたんだぁ。あたしと一緒ぉ。」
と言っていたような気がしたけど続ける。
「私見たんだから!机にあったもの!」
もう止まらない。
「生徒からもらったラブレター!」
それが何かといった顔で私を見るお兄ちゃん。
しかし、私は憤慨している。
勿論悠子も。
「何で他の女の子からもらった手紙なんて取っておいてるの?捨ててよ!取っておかないでよ!もらうなって訳じゃないけど…」
首をふった。
「でもでも…っ…ちょっとぐらい言ってくれたら嬉しかったのに!お兄ちゃんの馬鹿!!私寂しかったんだから!私!私っ!」
視界がぼやける。
私は言っているうちに泣いていたのだ。
ほろほろと滴が流れるのを頬で感じる。
すると。
ぎゅう
お兄ちゃんに抱き締められた。
大きくて温かい胸の中。
お兄ちゃんは暖かくて安心する。
「ごめんな、気ずかなかった。自分のことしか考えてなかったよ。お兄ちゃんはずっと彩のものだから。ごめんね?」
私が飛び蹴りをくらわしたのに、よしよししてくれる。
「ぅ、うんっ…ひっく…お兄ちゃんは私の物なんだから…っ…」
泣き止んで気がついた頃には私達の周りにはたくさんの生徒や先生がいた。
恥ずかしい!
改めて私がしたことに気づく。
「お兄ちゃん…離れてよぉ」
「嫌だ。やっと彩の気持ち分かったのに」
ぎゅう~
強く抱きしめてくる。
ひそひそ
あの兄弟アレなのね。
駄目だわ、妹には勝てない。
キャア、近親相姦ってやつ?
止めちゃ駄目だわ。
あの二人はそっとしておくのよ!
良いわね?
ライバルが妹はね、無理よ。
聞こえてくる。
女の子達の小さな声。
そのまま女の子達は後ろを見ていなくなる。
その中には悠子もいた。
ウィンクしながら手を振っている。
違うよー。
皆誤解していると思う。
こ、こうなったのはお兄ちゃんのせいだから。
高校生活エンジョイするつもりだったのに。
楽しい高校生活が待っているはずなのに。
入学から1週間もたっていないのに。
まだ私を抱いているお兄ちゃんを睨んで言う。
「お兄ちゃんの馬鹿!!」
誤字等々修正致しました。
改めて見ると自分の文章が拙すぎて恥ずかしさを通り抜けて笑えます。
ああ、あの頃の自分は若かった…(遠い目)