兄貴がいるの
ジリジリと
目覚まし時計が私を起こそうと全力を尽くす。
残念ながら、その努力は無駄だよ。
私は起きてるから。
今日は早起きできたもんね。
欠伸をしながら時計を止める。
今日はお兄ちゃんが起こしてくれた。
学校の先生になったからかな?
早起きしたお兄ちゃんが暇だったから、私を起こしたみたい。
そのおかげで私はだらだらできるけど、仕事と言ってお兄ちゃんが出ていってしまったから、自分のことは自分でしなければいけない。
当たり前のことだけど、面倒くさい。
髪を結うのも、食事をとるのも。
最近やってなかったから、やり方忘れた。
お兄ちゃん居ないと私ダメダメじゃん。
と少し笑う。
学校の準備を終えて家を出て気付く。
髪の毛がボサボサなこと。
鍵を持ってないこと。
「お兄ちゃんの馬鹿ぁ…」
ぼやきながら家にもどる。
いつもは長めの髪を縛らずにいくのに、今日は適当に縛ってゆく。
鍵を探してる途中に、見てはいけないものを見てしまった。
危険な、酷いもの。
「は?」
手が震える。
「何でこんなとこに置いてるの?」
怒りが沸いてきた。
こんなこと、聞いてない。
お兄ちゃんの馬鹿。
リビングに置いてたら自然と目には入るよ。
机の上にあった鍵を手に取り、急いで出る。
このことお兄ちゃんに早く聞きたくて。
少しでも、この事実を否定して欲しくて。
学校に着くとそこは地獄だった。
男に飢えた女の子達が私を囲む。
「彩ちゃん?アタシのこと鈴城センセに話してくれない?」
「彩ちゃん!いやっ彩!私のことを紹介して!」
やっやっぱり
こうなると思っていたんだよ。
お兄ちゃん無駄に格好いいから。
「やめなさいっ!彩嫌がってるの気づかないのぉっ!?」
悠子が女の子達を追い払う。
渋々去る女の子達。
それを後目に悠子がやりきった表情で私を見る。
「分かるよぉ、彩の気持ち。無駄に格好いいシスコンの兄貴を持った気持ち」
私の手を取り目をキラキラ。
「あたしにも兄貴いるからぁ!」
誤字等々修正致しました。
読了ありがとうございました。