米とりんごとバナナとビデオテープと
お題:かっこ悪い克服 必須要素:バナナ 制限時間:15分
米とりんごとバナナとビデオテープと
実家からコメとか食べ物とかそれらの様々なものがクロネコヤマトによって届いた。
母は最近、賞味期限ギリギリのモノとか、半額シールが貼ってあるものとかを平気で送ってくる。
僕も、それが別に食べられないわけでも無ければ、腹を壊すわけでも無いので、お酒のつまみとして食べる。
今回はバナナとりんごも入っていた。
りんごは明日からの昼ご飯にしようと思った。
五個あるので五日は持つ。
柔らかくなる前にはなくなるだろうと思う。
バナナは既に黒い斑点がすごい付いていてキリンみたいになっているが、
明日からの朝ごはんにしようと思う。
こちらは4本なので、四日分。
普段自分では絶対に買わない。台湾バナナだ。高いやつだ。
ダンボールの中身を全部出していると、荷物の最後にビデオテープが出てきた。
ビデオテープ?
実家ではいまだにビデオが主流だからまあわかるけど、それにしてもなんだろう?
ビデオテープなんて初めてだ。
今はもう使わなくなったデッキにそれを入れてみる。
なんか両親のビデオレター的映像とかだったら、恥ずかしくてそれを焼こうと思っていた。
再生。
テープの中身は、
昔、テレビでやっていた、堂本剛主演の
金田一少年の事件簿、その放課後の魔術師のやつ
だった。
僕は当時それを見て、夜眠れなくなった記憶がある。
いまだに。
恥ずかしい話、
母と一ヶ月位は一緒に寝ていた。
あの年最大級の恐怖だった。
なぜ母がこれのビデオを今更僕に送ってきたかは知らないが、
今それを改めて見てみると、
怖くは無かった。
少なくとも当時ほどは怖くない。
一人で夜も眠れるだろう。
それにしても何故今更?
母はもしかしたら僕に何かを伝えたいのだろうか?
もう克服した?
みたいなことを。
なんともかっこ悪い克服法じゃないか。
でも、
確かに苦手なことが一つなくなった気がする。
あの音楽だって、世にも奇妙な物語の音に負けないインパクトがあったと思う。