表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最弱属性しか使えない俺、魔法を科学で研究したら世界最強になりました ~空気魔法から始まる異世界魔法革命~  作者: 百花繚乱


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/30

第18話 魔法の相性

訓練場の一角。人の流れから少し外れた場所に、俺とリナは並んで立っていた。

周囲ではすでに他のペアが訓練を始めている。火と風、水と土。どれも“相性がいい”とされる組み合わせだ。派手な魔法が飛び交い、音と熱と衝撃が混ざり合っている。

その中で、俺たちの場所だけが妙に静かだった。

「で、どうする?」リナが軽く首を傾ける。

指先に小さな炎を灯しながら、こちらを見ている。

「さっき言ってたやつ、やるんでしょ?」

「……まずは観察からだな」

「観察?」

「いきなり組み合わせても、何が起きてるかわからない」

俺は視線を炎に向けた。揺れている。形を変えながら、一定の熱を保っている。

ただの火ではない。魔力によって安定させられた、制御された炎。

「火って、どうやって維持してる?」

「んー?」リナは少しだけ考える仕草をした。

「燃やすイメージ?こう……燃え続ける感じ」

ふわっとした答えだった。だが、それでいい。感覚型は、理屈よりも結果を優先する。

「じゃあ、それに空気を送るとどうなる?」

「強くなるよ」即答だった。

「ほら」リナは炎を少し大きくし、そこに軽く手を振る。

風が当たる。炎が揺れ、少しだけ勢いを増した。

「ね?」

「……やっぱりな」予想通りの結果。

燃焼には空気が必要。正確には、その中の酸素。前世の知識が自然と繋がる。

「ただの風でも強くなる」

「うん」

「でも、それじゃ弱い」

「え?」リナが少しだけ眉をひそめる。

「今のは空気を“動かした”だけだ」

俺は手をかざす。空気を感じる。どこにでもある、見えない存在。

「問題は、どれだけ“濃くできるか”だ」

「濃く?」

「圧縮する」短く言う。

リナの目がわずかに見開かれた。

「空気を?」

「そうだ」

「そんなことできるの?」

「できる」

実際にやってきた。エアショットで。エアブレードで。圧縮はもう基礎だ。

「圧縮すれば、空気の密度が上がる」

「密度……?」

「簡単に言うと、同じ場所にたくさん詰め込む」

「あー……なるほど」

完全に理解したわけではないだろうが、イメージは掴んだらしい。

それで十分だ。

「それを火に加えたら?」

俺は視線を炎に戻す。

リナも同じ方向を見る。数秒の沈黙。

そして「……めっちゃ燃えそう」

「だな」少し笑う。

直感としては正しい。

「ただの強化じゃ終わらない可能性もある」

「どういうこと?」

「条件によっては」

一瞬だけ言葉を切る。頭の中で、現象を組み立てる。

圧縮された空気。高い酸素濃度。そこに火が加わる。急激な燃焼。エネルギーの解放。

つまり「爆発するかもしれない」

「……え?」リナが一瞬固まる。

そして次の瞬間、目を輝かせた。

「なにそれ、めちゃくちゃ面白いじゃん!」

恐怖より先に興味が来るあたり、やはり普通じゃない。

「危ない可能性もあるぞ」

「それも含めて面白いんでしょ?」

「……否定はしない」

俺も同じ考えだった。

未知は危険だ。だがそれ以上に、価値がある。リナは炎を少し強める。指先の火が、ぱちぱちと音を立てる。

「じゃあさ」

一歩近づいてくる。

「試してみようよ」

その目には、迷いがなかった。純粋な好奇心。そして、少しの期待。

俺は一瞬だけ周囲を見た。他のペアはそれぞれの訓練に集中している。こちらに注意を向けている者はいない。

「……ここだとまずいな」

「だよね」

「少し離れるか」

「賛成」

即決だった。俺たちは訓練場の端へと移動する。人の少ない場所。多少何かあっても、影響が少ない位置。

「で、どうやる?」リナが楽しそうに尋ねる。

「まずは段階的にやる」

「段階的?」

「いきなり爆発は危険だ」

「そりゃそうか」あっさり納得する。この辺りの切り替えは早い。

「最初は弱めに」

俺は手をかざした。

「空気を軽く圧縮する」

「その中に火、ってこと?」

「そうだ」

「オッケー」

リナが指先に炎を灯す。さっきよりも少し強い火。

準備は整った。俺は空気に意識を向ける。

圧縮。

維持。

だが今回は刃にしない。塊のままでいい。その中に、どれだけ空気を詰め込めるか。そこに意味がある。

「……いくぞ」

「いつでも」

リナの声が少しだけ弾む。緊張よりも期待が勝っている。

俺は一瞬だけ息を止めた。

そして、圧縮した空気を、目の前に固定する。次の段階へ進む準備が整った。

火と空気。それを組み合わせたとき、何が起きるのか。まだ誰も試していない領域。

だが、もうすぐわかる。

「……入れてみろ」俺の言葉に、リナがにやりと笑った。

そして炎を、ゆっくりと近づける。その瞬間、空気がわずかに震えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ