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第十四話 恋の独り相撲



 ライヴァンは今までの旅の疲れが蓄積していただけでひと晩、暖かい部屋でぐっすり眠ると復調していた。

 それでも治癒屋に押し込もうとするエレナ・シルヴィアを置いてヴァレリアンが選んだ食事の美味い宿屋に行こうとする。

「ライ! 今は休養しなきゃ!」

「こんな時だけライ、かい?」

「ライヴァン?」

「ほら。また戻った」

 エレナ・シルヴィアはきょとんする。何を言っているのかさっぱりわからない。

「私がずっとシルヴィと呼んでいるのに、君は滅多にライとは呼ばない。フルネームだ」

「それのどこが悪いの?」

「わからないならそれでいい。だが、私は一刻も早く王国を救わないと行けないのだ。おちおち寝ていられるか!」

 激怒しているライヴァンに何が起こっているのかエレナ・シルヴィアにはさっぱり見当がつかない。怒っているのは確かだ。それは、わかる。だが、何に? 

 一方、ライヴァンはライヴァンでしくじったと、後悔していた。だが、イライラが収まらないのだ。エレナ・シルヴィアはよほどでないと最初に決めたライと呼ばない。せっかく特別な音にしたのに。と、そこでまたはたとライヴァンが止まる。それを涙をためて見つめるエレナ・シルヴィア。うめき声しか出てこない。

「すまない。イライラが止まらないのだ。シルヴィを困らす気はないのだが、困らせているね。すまない。気持ちが落ち着かないのだ。この間に渡っている河は大きいのに」

「河?」

 ぐす、と鼻を鳴らしてエレナ・シルヴィア聞く。

「すまない。泣かせるつもりは無かった」

 そう言ってエレナ・シルヴィアの頭を抱き寄せる。前髪をかき上げ額に口づける。

 

 シルヴィに届かなくてもいい。

 

 私はシルヴィを愛している。

 

 その思考にライヴァンはまた固まる。

「ライ?」

「今はそのライ、をやめておいてくれ。私の中でなにやら化学反応が起きているようなのだ」

「か……がくはんのう?」

「わからなくていい。こんな思いをする必要はない。河が流れているのだ。私だけが考えていれば良いんだ。さぁ。シルヴィ涙を拭いて美味しい食事を食べさせてくれ」

 そう言ってまた髪をなでつける。

「そんな風に抱えられていたら動けないわ」

「あ」

 ライヴァンはエレナ・シルヴィアを抱きしめて大衆の面前で痴話げんかからノロケまでさらしていたのだ。顔が紅くのなるのがわかる。

「そこのデレデレカップルはライヴァンとエレナ・シルヴィアか?」

 ドワーフの鍛冶屋が声を掛けてきた。

「レイナルド……か? どうして……」

「ここには女の冒険者もいるが、こんなよちよち初心者がくるような山じゃねぇ。来るとすればメリウスが伝えてきたあんた達しかいない」

「メリウスが伝えてきたの?! 方法は?」

 エレナ・シルヴィアはそっちの方に気が行ってる。その間にライヴァンは心の中を整理する。この想いは伝えまい。そう決める。種族の差が大きく二人の間に渡っていた。それは長い時間を掛けて考える事だ。今はクリスタリウム・ペイクに登ることが先決だ。

 ライヴァンはエレナ・シルヴィアと話しているレイナルドに近寄った。

 

 次の試練が二人を待ち受けていた。

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