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水月鏡花―中華恋愛譚・静かに灯る初恋―  作者: 麻倉ロゼ
第一章「氷心、春に融く」

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第十二話「小さな一歩 後編」6

第十二話「小さな一歩 後編」は6分割で更新していきます。これは6つ目です。

 あたりから護衛番の使用人達が現れ、男達を

縛り上げていく。

「坊ちゃん……!」景元けいげんが駆け寄り、地に頭をつける。

「オレは……許されないことを……!」


凌偉りょういは静かに言った。

「何の話だ? お前は倉庫の戸締りをしていただけ。

 俺たちは偶然居合わせただけ――それでいいな。」

愁飛しゅうひきょう恭信きょうしんも、同時に頷いた。


凌偉は続ける。

「景元、お前は利用された。家族を想っての

 行動だった。それを責める理由はない。」


景元の肩が震えた。

「坊ちゃん……! オレはあの日のことを……

 どうしても……!」

「――言うな。」凌偉の声が低く響く。

「過去のことだ。お前は二度と口にするな。

 償いたいなら、働いて返せ。子が生まれるんだろう?」

凌偉は目を合わせずに続けた。


「そうですよ!あなたほど琳家のために

 働いている者はいませんよ!!

 ずっと申し訳ないと賃上げにも応じず!!

 許しません!!これからは倍渡しますからねっ!

 」嬌がふっと笑みを浮かべた。


恭信もにっこりと扇をたたみ、

「その通り。家族が増えるなら、ますます

 働かねばな。」そう言った。


景元は涙をこらえきれず、何度も頭を下げる。

「皆様……ありがとうございます……!」


「そうそう、双子だしね!ますます働かないと!」

愁飛がニコニコと笑顔で話す。


「……え?」


その場にいた全員が一斉に愁飛を見た。


「お腹の子、男の子と女の子の双子だったよ。

 元気そうだった。」

愁飛は手をひらひらさせながら微笑んだ。


倉庫の外では、夜明け前の風が吹き抜けた。

長い夜が終わり、琳家に再び静けさが

戻りつつあった。

春燕は、そんな家族のような人たちを見渡して、静かに微笑んだ。

次回の更新は【明日21時頃】です。

春燕と凌偉、それぞれの心の距離が少しずつ

近づいていく時間を、

皆さまにも見守っていただけたら嬉しいです。


「面白い」「続きが気になる」と思っていただけたら、

ブックマークや応援をしてもらえると励みになります。

感想もとても嬉しいです。


ここまで読んでくださって、ありがとうございます!

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