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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

この世に、人に迷惑をかけない死に方など存在しない。

作者: 矛盾

この世には、人に迷惑をかけない死に方など存在しないようだ。


死にたいと、どうしても思ってしまうが、それを踏み止ませるものは、人に迷惑をかけたくないという気持ちだ。


私が死んだらこの世は私は知らない世界となるが、遺された者のことを考えると死ぬことができない。


電車へ飛び込んだら、踏切内に留まったら、何万人もの人へと影響を与えてしまう。そうすると、遺された家族は大金を支払わなければいけなくなる。

貯えがあるわけではない私の残高では、到底賄える額ではないだろう。

自宅で首を吊ったり、部屋の中にガスを充満させても同じことだ。大家さんに迷惑をかけるだけでなく、上下左右の住民が住むことを辞め、上下左右の住民にとどまらず、全世帯が住むことを辞め迷惑をかけてしまう。数年後に住むだろう住民にも影響を与え、近隣の住宅へも迷惑をかけてしまう。

そうなれば、遺された家族への請求額はこれまた私の残高では、到底賄える額ではないだろう。


それならばと、家族の戸籍から抜ければ、分籍すればいいのではないかと考える。

だが、分籍しても家族に相続権はあるようだ。

私の微々たる残高を貰っても、支払う額の方が桁違いに多い。そんなのは迷惑だ。


どうやっても、この世には、人に迷惑をかけない死に方など存在しないのだ。

世の中は、そうできている。


死にたいと思っても、近くの未来にも、遠くの未来にも楽しみが存在している。とんだ矛盾だなと思う。

昨日観たドラマの続きを早く観たいから、早く来週になって欲しいと願うし、友人とは老後に同じ老人ホームへ入ろうと約束をしている。

死にたいと思うはずなのに、生きられるであろう近くの未来に早くなって欲しいと願い、自分から切り離そうとしている老後を語ってしまう。

矛盾でしかない。


気持ちは常に、矛盾を生み出してくる。

その時にどの感情の比重が重いかで、言動が変わってしまう。

泣いていても、スマホを触る手は止めずに楽しさを探してしまう。

矛盾でしかない。


生きていても死んでも人に迷惑をかけるので、これも矛盾だ。


この世には、人に迷惑をかけない死に方など存在しないし、矛盾のない事物など存在しないのではないだろうか。

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