私が怒って婚約者を屋敷に入れるなと命じたら、婚約者は大通りで大声で私に許しを請い出しました
私は破落戸どもを騎士団に捕まえさせた後、教皇の捕縛を命じると自分の館に戻ったのだ。
エミールの態度にムカムカしていた私はその結果を知るまでもなく、公爵家の料理人にデザートを一杯作ってもらってやけ食いしたのだ。
給仕するデジレ相手に散々エミールのことを愚痴ったのだ。
デジレはとても私に同情してくれた。
エミールの薄らトンカチは私に手紙で説明したとかふざけたことをほざいているそうだけど、そんなのは読んでいない。私が見たのは自分が好きなのはクラリスだけで、アニエスとの仲を疑わないでほしいと言う手紙だけだった。
そんな簡単な説明で私が理解できる訳ないではないか!
私がその辺り事を言うと
「そういえば王太子殿下からお手紙は何回かきましたけれど、クラリス様は読まずに燃やしていましたよね」
デジレが指摘してくれた。
そういえばそんなことも確かにあった。
「それはそうかもしれないけれど、手紙って何なの? 普通は私に直接話してくれるべきじゃない」
私が文句を言うと
「まあ、そうですね。そこは王太子殿下が悪いと思います」
デジレも認めてくれた。
「でしょう。だから絶対に許さないんだから」
私はやけ食いしながら言ったのだ。
おなかいっぱい食べるとさすがに眠くなって私は寝てしまったのだ。
寝る前に私は絶対にエミールは許さないと門から入れるなとデジレを通して騎士団に命じていたのだ。
翌朝だ。
私は大きな声を聞いたような気がして目を覚ました。
誰かの叫び声が聞こえたような気がしたのだ。
でも気のせいだろう。
もう一度寝ようとした時だ。
「クラリス、申し訳なかった!」
エミールの大声がしたのだ。
また、館の中に入れたの?
私がきっとして起きると、
「本当に申し訳なかった!」
また、大声が聞こえた。
でも、これとても遠くからだ。
窓から見てみると正門から叫んでいるエミールが見えたんだけど……
ええええ!
ここって王都から郊外に出るメイン街道で、人通りも多いのだ。
道行く皆がじろじろとエミールを見ているんだけど……
「ちょっと、デジレ、あれは何なの?」
私が慌てて聞くと、
「中に入れるなと命じられたのはお嬢様ではないですか。門番の騎士が王太子殿下を命令により入れないと言い張ると、今度はあのように大声で叫ばれ出したのです」
デジレが説明してくれた。
「ええええ! いつからやっているのよ」
「1時間くらい前からです」
「ちょっと、王都のメイン街道でまずいんじゃないの」
「それはそう思いますけれど」
「直ちに止めさせて」
私が真っ赤になって言うと、
「先程から騎士達も申しているのですが、クラリス様に中に入れてもらえるまでは続けると言われるだけで」
私は頭を抱えたくなった。
私はエミールを許す気にはなっていなかった。
でも、さすがに人通りの多い門の前で、この国の王太子に叫ばせておくのは外聞が悪い。
「玄関のホールまでなら入れて良いわ」
仕方がないので私が許可を出した。
「宜しいのですか、クラリス様? あれだけ絶対に入れるなとおっしゃっていたのに?」
デジレが驚いて私を見た。
「ホールの中なら叫んでもまだ大丈夫でしょう。少なくとも通行人には聞こえないわよ」
私は言い訳したのだ。
あの後、公爵家の騎士団達は教皇を捕縛に大聖堂に向かったのだ。
私を襲ったと言う事実を聞いたお父様とお兄様と何故か私が許してもいないエミールまでが激怒して、我が公爵家の騎士団と王家の騎士団と魔術師団が教会の総本山の大聖堂に向けて捕縛制圧に向かったのだ。合同騎士団の前に、聖騎士団は一瞬で降伏、大聖堂は少しの時間で制圧された。
捕縛劇の間に教皇の顔がボコボコにされていたという噂もあった。
まあ、ゴモラの街のスタンピードも教皇が関係していたようだし、教皇もだたでは済まないだろう。
教会はトップの教皇と聖女の二人が捕まって大打撃を受けたようだ。
実行犯の聖女のアニエスもダンケルも騎士団に捕まって今は牢獄に入れられている。
犯罪行為に手を染めて何人もの命を奪ったのだ。
当然、刑も重くなるだろう。
アニエスは私が女神様の言うことを聞かずに、聖女を虐めないから、女神様の命令を行うために仕方なしにやったことで自分は悪くないと叫んでいるみたいだけれど、そんなの許される訳はなかった。
というか、私が予定通り動かないからって、アニエスが犯罪行為に手を染めたのは許されることではなかった。
まあ、確かに私は女神様の言う通り、動かなかったけれど、私は一言も女神様の言う通り悪役令嬢をやるとは一言も同意していないのだ。女神様はどれだけ私が抗っても、無駄だと言ってくれたけれど、結局今はエミールがホールで私に向かって大声で謝っているようになっているんだけど……
こんなのはゲームにはなかったはずだ。
私は一応ゲームをクリアしたと思いたかった。
そんな時だ。王太后様からお茶会の呼び出しがきたのだった。
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
一応明日完結予定です。