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断罪されることなく、犯人の聖女と教会魔術師が捕縛されました

「その本は確かにクラリスの机の中にあったというのだな」

 じろりとエミールはダンケルを見て確認してくれた。


「はい。確かにクラリスさんの机の中にありました」

 ダンケルが何故か言い張ってくれるんだけど……


「クラリス、ダンケルはそのように言っているがどうなのだ?」

「私はその本は今初めて見ました」

 エミールが聞いてきたので、私は否定されるとは思ったけれど、一応本当のことを言った。

 まあ、元々この話が茶番ならば、何を言っても駄目だと思うが、一応反論はしたのだ。


「そもそも、何故ダンケル先生が私の机の中を調べるのですか?」

 私は一応聞いてあげた。我がクラスの担任はロッテンマイエル先生なのだ。それに普通は生徒の机の中なんて調べないだろう。


「何か変なものが入っていないか全員の机の中を見たのです」

「本当なのか?」

 ダンケルの言葉にエミールは更に質問してくれた。

 エミールは一応確認しているふりをしているがこの手順は私を断罪する上で必要なことなのかもしれない。


「はい。アニエス様にも付き合っていただきました」

「なるほど。アニエスもクラリスの机の中にこの本があるのは確認したというのだな」

 エミールがニコリと笑うのが見えた。


 ああ、やっぱり、これは出来レースなんだ。

 私は判ってしまった。

 これは私をえん罪に貶めて断罪するためのエミールとアニエスが企んだ茶番なんだ。

 私が何を言っても無駄なのだ。

 私はそう判った。


「はい。私もダンケル先生と一緒に確認しました」

 アニエスも頷いてくれた。


「なるほど。で、その本を見つけたのはいつだ?」

「今日の朝です。ダンケルが怪しいから机の中を調べましょうと言ってくれたので、二人で調べたのです」

「その本に載っている聖遺物が無いと気付いたのはいつなのだ」

「それからすぐに調べましたからお昼頃かと」

 エミールの質問に考えながらダンケルが答える。


「そうか、昼に判っていたのに、何故今頃報告してきたのだ」

 何故かエミールが怒りだしたんだけど、これは茶番じゃないの?

 そうか、エミールが怒り出すのも茶番の中の一コマなんだろうか?


「申し訳ありません。私もまさかクラリス様がこのような大それた事をなさるとはすぐには信じられず、各方面に確認していたものですから」

「しかし、クラリスが、どうやって教会の聖遺物を盗み出すのだ?」

 そうだ。普通は私では無理だ。でも、当然言い訳は考えいるんだろうなと私は諦めムードだった。


「それは判りませんが、公爵家の暗部を使ったのだと思います」

「ほお、クラリス、ダンケルはそのように申しておるが」

「いいえ、私は一切しておりません」

 エミールの質問に私は一応否定しておいた。

 やっていないものはやっていないのだ。


 尤も何を言っても無駄だと思うが……


「嘘を言わないで。私はちゃんと今日、あなたの机の中でこの本を見つけたのよ」

「そうだ。神妙に白状するのだ」

 アニエスとダンケルが言ってくれた。

「そうよ、クラリスさん、嘘はいけないわ」

「素直に白状しなさいよ」

 取り巻き達も言い募ってくれた。

 何を言ってももう私のせいにしてくれるのかもしれない。

 壇上に上げてくれた時からエミールも断罪するつもり満々何だろう。


 エミールは私の手を離してくれないし……あれ? でも、繋いでいる手がいつの間にか恋人つなぎになっているんだけど、何で?

 断罪する相手にする繋ぎ方じゃないわよ!

 私はエミールを睨み付けたのだ。


「カンダベル!」

 エミールは私の視線は無視して、私の魔術実技のカンダベル先生を呼んでくれたんだけど……まさかカンダベル先生までもグルなの?


 私は呆然としてしてしまった。


「はい、御前に」

 カンダベル先生が壇上に上ってくれた。


 壇上は二十人くらいは乗れる広さなんだけど、何故かエミールは私を自分の後ろに隠してくれたんだけど、何故?

 私には全然理解できなかった。


 私が怒り狂ってカンダベル先生や聖女に襲いかかると思ったんだろうか?

 私はフェリシーみたいにそこまではしないわよ。


「今朝、ダンケルとアニエスがこの本をクラリスの机の中から見つけたと言っているのだが事実か?」

 私はカンダベル先生までがグルかもしれないと思うと、とても悲しくなった。


「確認いたしましょう」

 カンダベルは

「スクリーン」

 と叫ぶとそこに大きな画面が映し出された。


「私の教室だ」

 画面に映ったのは誰もいない我がクラスだった。

「私は婚約者を守る意味で婚約者の机に余計な事をするものがいないかカンダベルに記録の魔道具を設置してもらっていたのだ」

 エミールが説明してくれた。

 えっ?

 そんなことをしてくれていたんだ。

 私は知らなかった。


 そして、画面にはしばらくするとアニエスとダンケルが二人して現れたのだ。

 元々私の机の中に本を入れていてくれたんだろうか?

 あれっ? でも、ダンケルが同じ本を持っているんだけど、


 画面を見ていた二人は青くなっていた。


「ここがクラリスの席よ」

「ではここに入れますよ」

 アニエスの言葉にダンケルが答えて、私の机の中に本を入れてくれた。

「これで聖遺物をゴモラのダンジョンに入れた犯人はクラリスに決定ね」

「本当にクラリスも良くやってくれましたな。聖遺物の効力が大きすぎて魔物の発生が止められずにどうしようかと思い悩んでいた我々の代わりに、魔術で証拠の聖遺物諸共ダンジョンを消し去ってくれましたし、こうやって犯人になってくれるのですから」

「本当に。馬鹿とはさみは使いようね」

「本当に、そうですな」

 そう言うと二人は高笑いしてくれたのだ。


 その様子が画面にははっきりと映っていた。

 皆の視線が一斉にアニエスとダンケルに向かったのだ。


「ダンケル、アニエス、これはどういう事だ?」

 氷のようなエミールの声が響いた。


「いや、これは何かの間違いで」

 ダンケルが必死に言い訳しようとした。

「そうです。私達はクラリスさんとカンダベル先生にだまされたんです」

 そう言ってアニエスがエミールに抱きつこうとしたが、

 ガチン

 とエミールが張った障壁に頭から激突していた。


「痛い、殿下酷いです」

 アニエスが叫んだが、

「捕まえろ!」

 エミールは騎士達に命じていた。

「ちょっと何するのよ。私はこの国の救世主の聖女様なのよ」

 アニエスが叫んで抵抗しようとしたが、

「何が聖女だ。厄災女の間違いだろう。構わん。ひっ捕まえろ」

 エミールが叫ぶと同時に騎士達があっという間にアニエスとダンケルを捕縛してくれたのだった。



ここまで読んで頂いてありがとうございました

断罪されたのは聖女でした。

ブックマーク、広告の下の評価☆☆☆☆☆を★★★★★して頂けたら嬉しいです(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾


まだまだ続きます

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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

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しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。
しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
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