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闇の聖遺物を私が使ったと断罪されてしまいました

「嬉しい! エミール様。私が身分の低い男爵令嬢で王太子殿下と仲良くしているのが気に入らないと私を散々虐めてくれたクラリスさんを、ご自身の婚約者にふさわしくないと断罪、婚約破棄して、聖女である私を婚約者にして頂けるのですね」

 エミールの嬉しそうな大きな声がパーティー会場に響いた。


「アニエスは何を言っているのだ? 何故私がクラリスを婚約破棄しなければいけない?」

 エミールがアニエスに不思議そうに聞いてくれた。

 いや、少し怒り気味なのはその声から判ったんだけど……私を断罪するのではないのか?

 それにこの聖女は何を言ってくれるのだ! 私がアニエスを虐めた事なんて全くない!


 しかし、私はゲームのようにアニエスによって断罪されるんだろうか?

 ゲームでは確かそんな理由で断罪されていた。

 でも、虐めてもいない私の何を断罪するんだろう?

 これはエミールとアニエスが元々決めた茶番なんだろうか?


「はい。クロエ」

「はい。私はアニエス様と一緒のクラスにいるクロエと申します」

 アニエスの指示でクロエが話し出した。

「私はクラリス様がアニエス様の机の中から取りだした筆入れを池の上に浮かべたのをはっきりと見ました」

 クロエが私がされたことをアニエスがされたように言ってくれたんだけど……


「私はそれを取るために池にはまってしまったのです。水がとても冷たかったです」

「まあ、なんて可哀相なアニエス様なんでしょう」

「さすが我が儘公爵令嬢は違いますわ」

 アニエス達が勝手に盛り上がってくれた。

 でも、それはされたのは私でその私をエミールが見ずに飛び込んで抱き上げてくれたんだった。

 もう終わった昔の良い想い出だ。


「バルバラ」

 次いでアニエスはバルバラを指さしたのだ。

「私はアニエス様と同じクラスのバルバラと申します。私はクラリス様がアニエス様の教科書を机の中から取りだして隠すのを見たのです。それを指摘しようとしたらクラリスさんは私にご自分の教科書を渡して私が取ったように見せかけて私の目に魔術で黒いマークをつけられたのです」

「まあ、バルバラは大変だったでしょう」

「はい。とても辛かったです」

 アニエスがバルバラに同情してくれたけれど、これも私がされたことだ。


 もっともインクをつけられたのはエミールの魔術に引っかかったバルバラで辛かったのは事実だと思うけれど……


 何の茶番をしてくれているのだ?

 まあ、でも、ゲームの断罪の大半はこのような茶番なのかもしれない。


「それに今も王太子殿下も見て頂いたではありませんか。私がジュースをぶっかけられたところを!

 私は事ある毎にクラリス様に、嘲られて、婚約者でもないのに、王太子殿下に近付くなと虐められていたのです。

 今も私は何もしていないのに、『男爵令嬢のくせに私の側に寄るなと』言われてジュースをぶっかけられたのです」

 アニエスが目をうるうるとしてエミールを見てくれるけれど、私はこの茶番がいい加減に馬鹿らしくなってきた。

 こんな事で私は断罪されるのか?

 私が白い目でアニエスを見るとさすがのアニエスも目を逸らしてくれたんだけど。


「ふんっ、それだけではございませんわ。ゴモラのスタンピードの件でございます」

 アニエスが言い出した。


「ゴモラのスタンピードの件だと?」

「はい。ダンケル」

 エミールの疑問にダンケル先生が壇上に上ってくれた。


「教会から学園に派遣されているダンケルです。ゴモラのダンジョンは元々魔物の数も近年少なくなっており、スタンピードなど起こるのはおかしいと我々共教会は考えていたのです」

「そうだな。それは騎士団からも言われた」

 ダンケルの言葉にエミールが頷いてくれた。


「普通ではないのに、何故魔物があふれ出しスタンピードが起こったのか? 我々共も理解に苦しみました。何かあるのではないかと。これを発見したのはたまたまでした」

 そうダンケルは言うと袋から一冊の古い本を取り出したのだ。

「何だ、それは?」

 エミールが質問したくれた。

「これは教会に保管してある闇の聖遺物の使い方が載っている本でございます」

「闇の聖遺物?」

「はい。それは何もないところに魔物をどんどん生み出す聖遺物なのです」

 ダンケルが説明してくれた。


「そのようなものがどこにあるのだ?」

「初代国王陛下より教会が管理するように言われており、教会で保管されているはずでした」

「はずだったというのは?」

「ゴモラのスタンピードが終わった後に確認したところ教会の宝物庫から何者かによって盗まれた後だったのです」

「な、なんと、教会の管理責任はどうなるのだ?」

 エミールが氷のように冷たい声をだした。

 それは私もそう思った。そのような危険なものを教会なんかに保管させるんじゃなくて、騎士団か何かに保管させておいた方が良かったのではないか?


「殿下のお怒りは重々に後ほど受けさせていただきます。今はこの本があった場所が問題なのです」

 私はダンケルの言葉に不吉なものを感じた。


「どこにあったのだ?」

「はい。クラリス様の机の中にありました」

 ダンケルの言葉に皆一斉に私を見たのだ。


 そんな本なんて、知らない!

 でも、これがこの断罪の肝なんだろう?

 この本でえん罪にするつもりなんだ!

 私は唖然としたのだった。


ここまで読んで頂いてありがとうございました

果たしてこれは仕組まれた断罪劇なのか?

続きは今夜です

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