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聖女達に取り囲まれて逃げようとしたら足を引っかけられて、手に持っていたジュースを聖女めがけて頭からぶちまけてしまいました

「まあ、そういえばこの衣装はマクシム様の髪と同じ色でしたわね。たまたまですわ。この衣装は王太后様から頂いた衣装ですから」

「ああ、王太后様の髪の色ですね」

 私の言葉にマクシムは頷いてくれた。王太后様の髪の色も赤かったのだ。王宮からはお詫びと称して王太后様からこの赤い衣装を贈られていたのだ。


「でも、クラリスさんも殿下の衣装よりも王太后様の衣装を優先されるなんて、殿下の事を蔑ろにされているんじゃありませんこと」

 まだアニエスが何か意見してくれた。

 でも、その前に、人の婚約者の手にはみ出た胸を押しつけるな!

 私は余程叫んでやろうかと思った。


「いや、俺でも王太后様を優先するぞ」

 エミールの後ろからやってきた王弟の息子がぼそりと呟いてくれたんだけど。


「まあ、クラリスさんはエミール様に対して愛情もないからそのようなことになるのですわ」

 アニエスが更に言ってくれた。まあ私からしたら、婚約者の私よりも聖女を優先するエミールなんて絶対に優先しないけれどね。


「お兄様。あちらにエマさんがいらっしゃいますわ」

 私はむかつく聖女等をあっさりと無視してエマの方へ歩き出したのだ。


 エミールは私に何か言いたそうにしていたが、私はエミールと話すことなんて何もなかった。



 エマのところにお兄様と行くとそこには生徒会の係でエミールの側近のバジルとシャルルもいた。


 ゲームの中で私を断罪する時に確かエミールの傍にいたはずだ。

 私としてはできればこの二人からは離れていたかった。


「クラリス!」

 そこにフェリシーがきたのだ。

「フェリシー」

 私はフェリシーと抱き合った。そして、フェリシーをエスコートしてきた男の顔を改めてみてぎょっとした。

 なんと、この前暴力を振るったフェリスがエスコートしていたのだ。


「ど、どうしたの?」

 私は驚いてフェリシーを見ると


「うーん、この前騎士団長と我が家に謝りに来てくれた時に、私が癒やし魔術をかけてあげたのよ。そうしたらフェリスがとても喜んでくれて、やたら恐縮してくれて、何かさせてほしいって言うから、サマーパーティーのエスコートしてほしいって言ったら快く引き受けてくれたの」

 フェリシーが何でも無いように言ってくれるんだけど、フェリシーは自分が暴力を振るわれたのに、そんなに急に許せるんだろうか?


「クラリス。暴力を振るわれたって言っても、私の腕を掴んでアニエスから引き剥がしてくれただけだし、私に土下座して謝ってもくれたのよ。それにもし私がアニエスに暴力を振るっていたら教会がとても煩かったろうって両親もとても気にしていたから。騎士団長の息子がエスコートしてくれるならこれに勝る護衛はいないって、両親の方が喜んでくれて断れなかったのよ」

「命に代えてもフェリシー嬢の事は家までお送りするから」

 何かフェリスの言葉がとても軽いと思ったのは私だけだろうか?


 まあ、でも、私が断罪されてフェリシーにまで被害が及びそうになったらその時はフェリシーのことはフェリスが助けてくれるはずだ。

 私を助けてくれる人は誰もいないけれど……そう思うと少し寂しかった。

 でも、友人が巻き込まれない方が大切だった。


「フェリシー、一学期はいろいろ仲良くしてくれて楽しかったわ」

 私はフェリシーには、一応、最後の挨拶をしておこうと思ったのだ。


「な、何よいきなり改まって。まあ、明日から夏休みになるけれど、あっという間に二学期でまたすぐに会えるわよ」

 フェリシーが驚いて私を見てきた。


「ううん、感謝は思いついた時に言っておかないと忘れるから」

 私は笑って誤魔化した。でも、これで心残りはもうない。


「ちょっと食事をとってくるわね」

 二人は食べ物を持っていたので、私は一人で取りに行ったのだ。


 それが間違いだった。


「アニエス様、あんなところにクラリスさんがいらっしゃいますわ」

 食事を色々取っていたらアニエスを中心とした取り巻き連中に見つかってしまったのだ。


「本当だわ。王太子殿下がアニエス様に執心していらっしゃるのに、空気を読まずに殿下を解放して差し上げないクラリスさんよ」

 クロエが何か言ってくれているんだけど……


「まあ、本当に。クラリスさん。先程も少し言いましたけれど、今日の衣装はどうされましたの? わざわざエミール様があなたのために作ってあげたマダム・キーラの衣装をマダム共々受け取らずに追い返したんですって」

「王太子殿下はあなたの為にわざわざ注文されたのに、悪いと思われないの」

 取り巻き達が煩いんだけど。

 アニエスのついでの衣装なんて私が死んでも欲しくなかった。

「失礼するわ」

 それ以上いると私も先日のフェリシーみたいにつかみかかりそうになるので、私は立ち去ろうとしたのだ。


「あっ!」

 その瞬間、私は思わず叫んでいた。

 クロエが私の足下に足を出してくれたのだ。

 それでなくても運動神経が悪いのに避けられる訳はなかった。

 その足に引っかかって、よろけて、そのまま手に持っていたグレープジュースを目の前のアニエスにぶちまけてしまったのだ。

 ものの見事にアニエスはずぶ濡れになってくれたのだ。

 良くやったと私は大声で自分を褒めたい気分だった。


 まあ、でも、私自身もそのまま地面へと激突してしまったけれど。

 かろうじて片手をついたので、少しは衝撃を防げたと思うけど、顔面に衝撃を受けたのだ。

 下手したらまた眼鏡が割れてしまったかもしれない……


「キャーーーー!」

 でも、私以上にオレンジジュースをぶっかけられたアニエスは大声で悲鳴を上げてくれた。


「何事だ!」

 そこに、氷のように冷たいエミールの声が響いたのだ。


「エミール様! クラリス様に『あなたは生意気よ』と言われてグレープジュースをぶっかけられたのです」

 そう言ってアニエスがエミールに抱きついたのだ。でかい胸を胸のない私に当てこするようにエミールの腕に擦り付けながら……

私はこの瞬間、婚約破棄のイベントのシーンに突入したことを思い知らされたのだ。


やっとお話の冒頭のシーンに繋がりました。

明朝はついに断罪シーンです。

クラリスの運命や如何に?

お楽しみに

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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

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