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サマーパーティーに行ったら婚約者が私が婚約者の選んだ衣装を着ていないとショックを受けていました

 エミール許すまじ。

 私は完全に切れていた。


 あんな衣装送ってくれて、胸の無い私に胸の開いたドレスってどういう事?

 私を馬鹿にするにもほどがあった。


 そして、考えたらゲームの私の衣装だった。


 エミールの瞳の青と銀髪の銀だ。


 可哀相なクラリスはエミールからアニエスのついでに買われて贈られた衣装を着てエミールに断罪されたらしい。

 どこまで私を馬鹿にすれば良いのよ。


 もうこうなったらもう許さない!


 私は断罪された時の為に友人を助けようと思って集めた資料を王太后様に送ることにしたのだ。

 エミールがしたこともめちゃくちゃ誇張して送ることにしたのだ。



 私は真っ赤なドレスを着ていた。

 普通は赤いドレスは悪役令嬢が着ているんだけど、ゲームでは確かクラリスは青いドレスを着て断罪されていた。

 エミールに相手にされないからクラリスが勝手にエミールの色のドレスを着ていたのかと思ったのに、エミールからアニエスのついでに買われたドレスを着て断罪されていたなんて、考えたらクラリスも可哀相だ。相当酷い虐めをしていたみたいだけど、そもそも私も筆入れを隠されたり、酷い事言われたりしているんだけど。絶対にヒロインの方が強いし。

 クラスでは今こそ違うけれど、一頃はぼっちだった。

 この赤は私なりの戦闘服だ。

 でも、王太子に公爵令嬢の私が勝てる訳ないし。

 私一人なら、修道院に行くのはやぶさかでない。

 公爵家の修道院は山の麓でとても空気が美味しいのだ。

 それに料理も美味しい。

 孤児院も併設しているから子供達に勉強を教えつつ、青春を読書三昧で過ごすのも良いかもしれない。

 夏休みに色々お話ししましょうねって王妃様に言われているんだけど、少なくとも断罪されたらそれは回避出来るみたいだし。あの書面を書いてきたということは王妃様は余程怒っているみたいだし、出来たら近寄りたくないし。

 本当は今日のパーティーも行きたくないけれど、欠席裁判で公爵家が没落するのは避けなければいけないし、もし、友達が断罪されそうになったらそれだけは防がなければいけない。

 だからこの戦闘服なのだ。


「おい、クラリス。殿下から贈ってもらったドレスを着なくて良かったのか?」

 お兄様がと心配して言ってくれたけれど、

「アニエスさんに買うドレスのついでに買われたドレスなんて要りません」

 むっとして私は言い返したのだ。


 結局せっかく多くの人にエスコートのお申し込みは頂いたんだけど、お兄様が

「クラリスは殿下の婚約者だから、さすがにまずいだろう」

 そう言ってくれて私をエスコートしていってくれる事になったんだけど、エマの事はほっておいて良かったんだろうか?


 学園に着いたら

「キャー」

「セドリック様よ」

 女どもの黄色い声がした。


 私が降りると

「誰あのケバケバしい女は?」

「やあね、妹の地味な黒眼鏡のクラリスさんじゃない」

「ああ、あの。赤いドレス着ても地味なのは地味なままね」

 なんか酷い言われようだ。


 まあ、地味女だから地味で良いんだけど。


 私の真っ赤なドレスが地味に見えるほど今日の学園は色とりどりのドレスとタキシードで溢れていた。

 金ぴかのタキシードから果ては虹色のドレスまであるんだけど、何なのこれ?

 仮装パーティーでないんだから……

 私の真っ赤なドレスが全然目立たないわ。


 そこへ大きな歓声があがった。


 王家の馬車だ。


 王家の馬車からは真っ黒のタキシードを着たエミールが降り立った。

「キャーーーー」

「王太子殿下」

「今日も素敵です!」

 大きな声援が上がる。

 そして、エミールはアニエスをエスコートしていた。

 アニエスはなんと金ぴかのドレスを着ているんだけど。

 見た目が私に贈ってきたドレスととてもよく似ていた。胸元がとても開いていて乳首が今にも見えそうなんだけど……なんて破廉恥な! それでも聖女かと私は叫びたかった。

 ゲームの時はもう少し抑えめの色だったと思うんだけど、頭がお花畑だから仕方が無いんだろうか?

 相も変わらず、でかい胸をエミールの腕に押しつけているんだけど……


「お兄様、さっさと行きましょう」

 私は見たくもないのでお兄様を引っ張って行こうとした。


「クラリス」

 何故か後ろからエミールの驚いた声がしたんだけど、

「クラリス、何故赤い色を」

 なんかエミールはショックを受けているみたいだけど、私には意味がわからなかった。

 アニエスの劣化版の衣装を私に着せて皆で虐めたかったんだろうか?


 その時に前からマクシムが歩いてきたのが見えた。

「これはクラリス嬢。私の色を身につけて頂いているんですね」

 マクシムがにこりと笑ってくれたんだけど、そういえばマクシムの髪の毛は真っ赤だった。

 うーん、単に令嬢の戦闘服は真っ赤だと思っていたから赤い衣装を着ただけなんだけど。


 私とお兄様を挟んでマクシムとエミールの視線がバチバチと音を立ててぶつかっているのが判ったんだけど、二人は何を争っているんだろう?


「まあ、本当ですわ。クラリスさんは殿下という婚約者がいらっしゃりながら、他の方の色を身につけていらっしゃるのですね」

 アニエスがエミールの隣で声高に言ってくれたんだけど……


 婚約者がいる男の腕に胸をはだけて押しつけている淫乱聖女が言うなって私は叫びたかった。


ついにサマーパーティーの開始です。

続きは今夜

お楽しみに!

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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

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しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。
しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
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