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王宮で表彰されましたが、多くの貴族達はアニエスの方が活躍したように思っているみたいでした

「せ、セバスチャン! これはどういう事だ!」

 なんかお父様の怒り声が聞こえる。


「いや、まあ、旦那様。私も今、旦那様と一緒に来たところですから」

「じゃあ、デジレ、どういう事だ?」

「すみません。私が来たらクラリス様が気持ちよさそうに寝ていらっしゃったので……」

 デジレがお父様に謝っている声がする。



「ん、どうかしたのか?」

 私の頭の上からセドリックの声がして、起き上がる気配がした。

「く、クラリス」

 喜んだ声が聞こえて私はぎゅっと抱きしめられたんだけど……


「な、殿下、何をしていらっしゃるんですか?」

「く、クラリスから手を離してください!」

 お父様とお兄様の怒り声がした。なんか揉めているみたいだ。


 仕方が無いから、私が目を開けたら目の前にはエミールの分厚い胸板があった。

 顔を上げるとエミールの満面の笑みが見えた。

 思い出した。私、エミールの胸元で寝てしまったのだ。


「クラリス!」

 そう言ってエミールにキスされてしまった。

 えっ!

 

「「「殿下!」」」

 エミールは皆に怒られていた。

 私もさすがにお父様とお兄様や使用人達の前でキスされて赤くなっていた。


「嫌だ。まだ、帰りたくない!」

 その後、迎えに来ていた近衞等に、エミールは嫌々王宮に連れて帰られて行った。



 翌日も次の日もエミールは学園には来なかった。

 熱でも出たんだろうか?

 私は少しだけ心配にもなってお父様に聞いたら、全く問題はないとあっさりと言われたので、心配しなかったのだ。



 そして、翌日、ゴモラ村から騎士団が帰ってきた。


 私の屋敷の前を通るからということで、私も、お迎えすることにした。


 皆、疲れ切っているみたいだったけど、大半のものは五体満足に帰ってきたようだった。


「おい、クラリス様だぞ」

「本当だ」

「クラリス様。ありがとうございました」

「ありがとうございました」

 皆、私を見ると驚いて頭を下げてくれた。

 えっ、なんかカオスなんだけど、


 本当に私はちょっと顔を出して魔術でダンジョンを破壊して帰ってきただけなのだ。

 本当に現地には3時間もいなかったし、騎士団の皆さんの方が長い間現地にいて大変だったはずなのだ。


 でも、皆、私を見ると頭を下げてくれるんだけど……


 いたたまれなくて、私は途中から顔が完全に能面になっていたと思う。


 ただ、馬車に乗った聖女のアニエスだけが私を射殺しそうな視線で、睨んでくれていたのだ。

私はその呪いの視線と言えるものを受けて怖気が走った。



翌日からアニエスは学園に来たのだ。


「アニエス様。大変だったでしょう」

「ええ、本当に。傷つかれた騎士様たちを癒やすのは中中骨が折れましたわ」

遊んでいたアニエスが何か言っている……


「まあ、アニエス様は騎士様たちに癒やし魔術をかけられたのですか?」

「ええ、中には瀕死の重傷の方がいらっしゃって、本当に大変でした」

「まあ」

「さすが聖女様ですわ」

「アニエス様しかそのようなことは出来ませんわね」

皆が私とアニエスを見比べてくれたんだけど。

どのみちアニエスのことだから、私はちょっときて何もせずに帰って行ったみたいなことを言いふらしているんだと思う。

目立ちたくない私はそれでいいけれど……




そんな中、私は王宮に呼ばれた。

今回のゴモラのダンジョン討伐の件らしい。


王宮に着くと早速、控え室に案内された。


控え室には教皇と聖女アニエスが既に来ていた。


お兄様が言うにはアニエスは現地では我が儘ばかり言ってエミールをたいそう困らせていただけらしい。そんなアニエスが何でいるのかは疑問だったが……

アニエスは騎士達に囲まれてご満悦みたいだった。


私が控え室に入ると、その瞬間、慌てて騎士団長と魔術師団長がやってきた。

アニエスを取り囲んでいた騎士達を始め騎士達も慌てて私の周りに飛んで来たんだけど……


「これはクラリス様。此度のゴモラ討伐は本当にありがとうございました」

「討伐がうまく行けたのは全てクラリス様のお陰でございます」

騎士団長と魔術師団長が私の前に跪いてくれたので、残りの騎士達も慌てて跪いてくれて私は面食らった。


「いえ、私はちょっと攻撃しただけですから。討伐できたのは皆様方のお力です」

私が慌ててそう言ったが、


「何をおっしゃっているのです。ダンジョンに大量に溢れた魔物ごと、ダンジョンのコアまで破壊して頂けたではありませんか」

「クラリス様のお力が無ければ王国も危うくなるところでした」

両師団長が言ってくれるんだけど……


「まあ、皆様。私はロワール公爵家の一員として王国の為に当然の事をしただけですから」

私は慌てて言い訳した。


「そう言って頂けると我々共もありがたいです」

「未来の王妃様がこのように王国に尽くして頂ける方で、我々も忠誠の誓いがいがございます」

騎士団長と魔術師団長の言葉に皆頷いているんだけど……私はあまり目立ちたくないんですけど……


「な、何よ、あの女、私が未来の王妃なのに」

アニエスの叫び声が聞こえたような気がしてそちらを見ると怒り狂った表情でアニエスがこちらを睨んでいるんだけど……命の危機を感じるのは私だけだろうか?



その後、私は謁見の間に騎士団長と魔術師団長のエスコートで案内されたのだ。

なんかとても目立っている。王国の2大巨頭にエスコートされているんだけど。

確かまだ若くて見目麗しい魔術師団長は攻略対象の一人だったはずだ。


「「「おおおお!」」」

両師団長のエスコートで私が入ってきたことに驚きの声があがる。

後ろから怒りのアニエスの視線を感じるんだけど……



私の後ろから今度はアニエスが教皇のエスコートで入ってくる。

「アニエス様!」

「聖女様」

ヒューヒュー

こちらの方が大歓声で迎えられた。


貴族達はアニエスが今回は活躍したと思っているんだと思う。

まあ、目立ちたくない私はどうでもいいんだけど……



「皆のもの。此度、何故かゴモラのダンジョンがスタンピードを起こし、ゴモラの街並びに王国全体が危機に及んだのは聞き及んでいると思う。その危機を魔術の一撃で解消してくれたのが、王太子エミールの婚約者でもあるクラリス・ロワール公爵令嬢だ。よってここに、百年ぶりのブルゾン王国勲章を与える」


国王の声に一斉に拍手が鳴った。

でも、皆よく判っていないみたいだ。

何で聖女が最初に表彰されないか理解していないみたいだし……


私は前に進み出ると陛下から勲章が首にかけられたのだ。


騎士を中心に一斉に拍手が鳴った。


陛下の横のお父様も少し目が笑っていた。


陛下の逆の横にいるエミールも喜んでくれているみたいだ。


「クラリス・ロワール、今後の活躍も期待している」

「はい」

陛下に言われたから頷いたけれど、今後魔術を使うことは無いと思うんだけど……



「そして、騎士達の多くに癒やし魔術を与えたアニエス・ボラック男爵令嬢。その方にはエミール勲章を与える」

「「「ウワーーーー」」」

私への歓声を消し去る凄まじい大歓声が起こったのだ。

でも、エミール勲章って何? 私は初めて聞くんだけど……


「アニエス様!」

「素晴らしいです!」

大声援が飛び交う中、アニエスはエミールから勲章を授与されて目を輝かせていたのだった。


エミール勲章はアニエスのおねだりに、仕方なしに急遽作られた勲章です。

そして、これ以降授与された者は一人もいません……

しかし、そんなどうしようもない勲章でも大声援のアニエス。

二人の対決はいよいよこれからです。

お楽しみに

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しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
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