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王宮で色々やらかしたので王太子の婚約者にはなれないと思っていたのに、何故か王太子の婚約者になりました

 私は王妃様に呼び出されたお茶会で、陛下に公爵家自慢の想い出の花を渡そうとして盛大に転けて王太子のエミールに大笑いされたし、出されたケーキを陛下の分まで食べてしまうという令嬢の礼儀作法の観点からは大いに問題のある行動をしたということで、王太子の婚約者になるのは難しいと思われた。


 私に取っては万々歳の結果だった。

 王太子の婚約者にならなかったら、ヒロインを虐めることもないし、悪役令嬢になることもない。元々大人しい私が悪役令嬢のクラリスの役なんかやるのは無理なのだ。

 私はほっとした。


 それよりも私はせっかく公爵令嬢に転生できたのだ。食事は公爵家の専属のシェフが腕によりをかけて作ってくれるからとても美味しいし、3時のおやつも王家のと比べても勝るとも劣らない味なのだ。まあ、イチゴがないのは残念だったけれど……

 それに公爵家には王宮ほどではないが、大きな図書室があった。本好きの私としては王立学園に行くまでの10年間、引きこもって読書三昧な贅沢な引きこもり生活が送れるのだ。

 大変なお妃教育もないし、王妃様に気を使う必要もない。お父様もお兄様も嫁に行かなくてもこの公爵家にずうーっといてくれても良いと言ってくれているし、これほど嬉しいことはなかった。



 そう思って私は公爵家の豪華な図書室で優雅に読書三昧の生活を送っていた。


 私専用の子供椅子を執事の長のセバスチャンが手配してくれて、そこにちょこんと座って公爵家の歴史の本を読んでいた。紅茶を片手に読むなんて5歳の子には出来なかったが……本は重いしから取るのはデジレに取ってもらっていた。1枚1枚めくるのも結構大変だったけれど……


 使用人達は私が図書室で本を読みたいというと、

「あのクラリス様が……」

 侍女頭のフランシーヌは目が点になっていたし、

「これで天国の奥様も喜ばれましょう」

 セバスチャンは涙目になるし、

「流行病になるのもたまにはいいことがあるのですね」

 デジレは訳の判らないことを呟いてくれていたが……


「おおおお、クラリスは天才ではないか」

 親馬鹿のお父様は喜んで早速私の家庭教師を増やそうとしたのを私は慌てて止めたし、

「あの勉強なんて嫌だと叫んでいたクラリスが……」

 お兄様は目を点にして驚いていた。


 だってスマホもゲームも何もないから、他にすることないし……

 本を読むのは昔から結構好きだったのだ。主に小説だけど……。

 さすがに小説は公爵家の本棚にはほとんど無かった。

 まあ、でも、やることはないし、暇だから私はそこらにある本を片っ端から読むことにしたのだ。


「お嬢様。旦那様がお戻りになられました」

 外の音を聞きつけたデジレに声をかけられた時、私は読書に熱中していた。

「えっ、随分早くない?」

 私は驚いた。まだお昼にもなっていない。


「クラリス様。旦那様がお呼びです」

 そこにフランシーヌが呼びに来てくれた。

「えっ、何の用なんだろう?」

 私は少し不吉な予感がした。


「クラリス、喜びなさい。お前がエミール様の婚約者に決まったぞ」

「えっ?」

 満面の笑みを浮かべたお父様の言葉に私は口をぽかんと開けていた。


 な、なんで?

 あの後、珍しく礼儀作法の先生から怒られたし、その時の王妃様の目つきも厳しかったから絶対にないと安心していたのに!


「どうした? あれだけ王子様の婚約者になりたいと言っていたではないか」

 お父様が不思議そうな顔をした。


 いやいやいやいや、それは転生する前のクラリスであって、私は違う!

 私はそう叫びたかった。

 でも、そんなことが気弱な私には言える訳なくて……


「いえ、あの、王子様の前で転けてしまいましたし、ケーキも二個も食べてしまいましたから」

「ああ、その事か? 別に気にすることもなかろう。王妃様はエミール様があれほど笑うのを初めて見たとご機嫌だったし、陛下もクラリスのことを中々物怖じしない良い性格だと気に入っておられたぞ」

 お父様は笑ってそう言ってくれたけれど、失敗して笑われて良かったって、お笑い芸人ではないんだから。それに陛下は私が食い意地が張っているのを気に入られただけで……どう見ても一国の王太子の婚約者を決める基準じゃないでしょう!

 私は思いっきり叫びたかった。


 だって普通、婚約者決めって、顔合わせの後に王子と二人だけで話す、いや子供だから遊んだりして相性とかも見るんじゃないの? 私は美味しそうにケーキを食べて、陛下と王妃様の質問に満面の笑みで答えていただけで何もなかったのだ。

 だからてっきりこんなドジっ子は要らないと思ったからあそこで終わったと思ったんだけど……


「王妃様が言われるにはエミール様はいたくお前が気に入られたそうだ。何でも、あの想い出の花を部屋に置いておられて何度も見ては笑っておられるそうだ」

 ええええ! どういう事? 私を王子のお笑い担当で婚約者にするって事なの?

 私は訳が判らなくなった。

 これがゲーム補正って奴なんだろうか?

 女神様が言っていた。

「ちゃんと悪役令嬢をやらないと碌な事にならないわよ」

 って。

 お笑い担当で婚約者ってありなの?


 だからヒロインが出てきたらあっさりと婚約破棄して、断罪されるって事?


 ああん、せっかく王子の婚約者を回避できると思ったのに!

 私は頭を抱えてしまったのだ。

ここまで読んで頂いてありがとうございます。

頭を抱えたクラリスでした。

こんなクラリスが悪役令嬢なんてできるのか?

次は王宮で王太子殿下とご対面です

続きが気になる方はフォロー、評価☆☆☆を★★★して頂けたら嬉しいです(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾


『もふもふ子犬の恩返し・獣人王子は子犬になっても愛しの王女を助けたい』

https://ncode.syosetu.com/n9267kb/</a>

こちらはお昼頃更新の物語。

こちらもよろしくお願いします

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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

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3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
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なろうの掲載ページ『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://ncode.syosetu.com/n3651hp/

第一部は書籍化の規約上3分の1残して後は他者視点で繋いでいます
「えっ、ゲームの世界の悪役令嬢に生まれ変わった?」
頭をぶつけた拍子に前世の記憶が戻ってきたフラン、
でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。
しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
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このお話の前の話

『もふもふ子犬の恩返し・獣人王子は子犬になっても愛しの王女を助けたい』https://ncode.syosetu.com/n9267kb/

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