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聖女の取り巻き達は聖女のおかげでスタンピードが終わったと噂していましたが、友人達が真実を話してくれて最後は礼儀作法の先生に褒めらて喜びました

 カンダベル先生は屋敷の玄関に転移してくれた。


「お嬢様。おかえりなさいませ」

 いきなり帰ってきたので、玄関口を掃除していた一人の侍女が私を迎えてくれて、

「せ、セバスチャン様、大変でございます」

 もう一人は慌てて屋敷の中に飛んで行った。


「カンタベル先生、遠いところまで、往復して頂いてありがとうございました」

 私は頭を下げた。

 朝移動してからまだ3時間くらいしか経っていない。

 先生にとって私を連れた遠いゴモラのとの往復も結構大変だったと思われた。

「なあに、君の活躍に比べれば全然大したことでは無いよ」

 当然だという顔で先生は流してくれたけれど……


「お疲れでしょう。少しでも屋敷の中で少しお休みください」

 私はそう誘ったのだが、

「いや、君も魔力を全開で使ったのだ。疲れているだろう。私もこれから王宮に行って今回の件を報告せねばならないから遠慮させてもらうよ」

 カンダベル先生は私の申し出を辞退してくれたのだ。


「お、お嬢様。いかがされたのですか? 朝立たれたばかりと思っておりましたが」

 セバスチャンが飛んで来た。


「いや、執事長殿、クラリスさんの活躍でゴモラのダンジョン征伐は大方終えられたのだ」

 カンダベル先生が報告してくれた。

「なんと、誠にございますか? クラリス様のご活躍でこんなに早く、ゴモラのダンジョン討伐を終えられたと言うのですか?」

 セバスチャン等は驚いてくれた。


「そうなんだ。詳しいことは又王宮からお話があると思うが、宰相閣下にもよろしくお伝えね願いたい。それとご本人は魔力を急激に使われたので、出来たら今日はもう休ませてた方が良いと思われる」

「重ね重ねありがとうございます」

 セバスチャンと先生の声を聞きながら私はとても眠くなったのだ。


「では申し訳ないが私はこれで失礼する」

「ほとんどお構いもいたしませんで申し訳ありません」

「ではクラリスさん。また」

「カンダベル先生、ここまでお送り頂いてありがとうございました」

 私は転移するカンダベル先生をお見送りすると、セバスチャンに抱えられるように部屋に戻ってそのまま眠りについたのだった。


 私は翌朝まで起きずにお父様達は結構心配したみたいだが、私は単に魔力の使い過ぎでぐっすり寝ていただけだったのだ。

 翌朝起きた時には、元気いっぱいだったのだが、その日は家で大人しくするようにお父様に制限されてしまった。




 学園に行ったのは翌朝だった。


「皆さん。聞かれまして。聖女様の活躍でゴモラの街が救われたそうですわ」

 教室に入るとバルバラ達が話しているところだった。

「本当ですの?」

「ゴモラのダンジョンの奥底まで命がけで潜られてなんとか浄化されたそうですわ。」

 取り巻き令嬢達が話しているんだけど、どこからそんなガセネタを仕込んできたんだろう?

こいつらの情報源が不明だ。どのみちアニエスがガセネタを流しているんだろう。

「どこかの令嬢が行かれてもほとんど役に立たなかったなんじゃありません事?」

 バルバラは私を見て笑ってくれたんだけど……

 私がさすがにむっとした時だ。


「クラリス、聞いたわよ。あなた、ゴモラのダンジョン一人で完全に消滅させたんですって」

 フェリシーが教室に飛び込んでくるなり、叫んでくれたのだ。


「な、何を」

 文句を言おうとしたバルバラだったが、


「あっ、私も父から聞きました。騎士団が全然討伐できていなかったのを、一撃でダンジョン諸共消滅されたって。今は王宮もその話で持ちきりだって」

 ルイーズが続いてくれた。

「まあ、制限なしでぶっ放していいって良いってカンダベル先生に言われたから」

 私が言い訳すると

「凄いじゃない。さすが、学園にクレーターを作った女は違うわね」

 目をキラキラしてフェリシーが感心して言ってくれるんだけど。


あっという間に、アニエスの取り巻き達は端に追いやられて、私の周りに人が集まってきたのだ。


「その事はあまり言わないでよね。皆に怒られたんだから」

 私が少しむっとして言うと

「だって、聞いたところではゴモラのダンジョンあった山も消滅させたんでしょ」

「何でも直径五十キロの巨大な穴が空いたとか」

「私はゴモラの街諸共吹っ飛ばしたと聞きましたけれど」

 伯爵令嬢達がとんでもないことを言い出したんだけど、


「いいこと。そんな酷い事はしていないわよ。なくしたのはゴモラのダンジョンだけよ」

 私が皆に言い張ると、

「そうなんですね。ゴモラの街に被害があったとのか心配しておりましたの」

「人の住むところに被害は一切与えていないわよ。それと穴の直径は十キロほどよ」

 私は間違いは直さなければならないと訂正させたのだ。


「クラリス。十キロも五十キロも変わらないんじゃ無い?」

 フェリシーが聞いてきたけれど

「5倍も違うじゃない! そこまで巨大穴は開けていないわよ」

 私が言うと

「でも、十キロって言うとこの学園も王宮も全て含まれるわよね」

 ルイーズがとんでもないことを言い出したんだけど……

「な、なんなのよ。これもそれも全部、アニエス様が今まで色々されてきたから出来た事よ」

 遠くでバルバラが言ってくれたけれど、


「聖女様って何か役に立っていたの?」

 フェリシーが取り巻き達がいるにもかかわらず、平気で私に聞いてきた。

「うーん。騎士団長にもっと働けって怒られていたわよ」

「そんな訳無いでしょう」

「そうよ。少し活躍したからってアニエス様の悪口を言うのは許されませんわ」

 取り巻き達が激高した時だ。


「何を騒いでいるのです。直ちに席に着きなさい。授業は始まっていますよ」

 そこにロッテンマイエル先生が入ってきたのだ。

 私達は慌てて、席に着いた。


「最初に皆さんに報告しておくことがあります。このたびのゴモラのスタンピードですが、クラリスさんの活躍によって無事に収束することが出来ました。クラリスさん。私のクラスの生徒が活躍してくれたこととても誇りに思います」

 ロッテンマイエル先生が最初に盛大に褒めてくれたのだ。

「は、はい」

 私は取りあえず頷いておいた。ロッテンマイエル先生に褒められるということになれていないので、私はとても戸惑った。でも嬉しかったのは事実だった。

 でも、褒めてくれたのは最初だけで、授業中はいつもの厳しいロッテンマイエル先生に戻っていたけれど……

結局アニエスがいないので、一番怒られていたのは私だった。


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