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王太子と聖女の急接近を伝える噂が飛び交う中、ダンジョンごと魔物を私の魔術で消滅出来ないかと考えつきました

「今日は王太子殿下の活躍で、やっとゴモラの街が開放されたようよ」

「殿下の横にはアニエス様が微笑んでいらっしゃったそうよ」

「街の人間が美男美女の素晴らしいカップルだと褒め称えていたとか」

「なんて素晴らしいんでしょう」

 アニエスの取り巻き達が、私に聞こえるように大きな声で話していた。

 最近毎日のようにどこから仕入れてきたのか、噂話をこれ見よがしに私に聞かせるように話してくれるのだ。

 それを聞く度に私は心が痛くなった。

 やっぱりエミールはヒロインの魅力にとりつかれてしまったのだろうか?


 あれから私は何度も手紙をエミールに送ったけれど、返事は一切返ってこなかった。

 私は無視されたのだ。


 お兄様やお父様は

「殿下は返事を書く暇もないほど働いておられるのだから仕方が無いよ」

 と私を慰めてくれるんだけど、私もそう思いたいけれど、信じられなくもなりつつあった。


 何しろエミールは攻略対象者でアニエスはヒロイン、それも転生者だ。エミールの好みとかも完全に把握しているはずだ。


 せっかくエミールとキスしたのに!

 転生した当初はエミールとの婚約を阻止する方向で動いていたのに、いつの間にかエミールに癒やされていたし、私はゲームでもエミールが好きだったのだ。

 エミールから好意を向けられたら、当然それに答えたくなるし、答えてしまった。

 まさか、ここで、アニエスとエミールが急接近するなんて想定さえしていなかったのだ。


 まあ女神様には私が幾らあがいたところで無駄だと宣言されていたけれど……神様も少しくらい私の想いを遂げさせてくれても良いじゃ無い!

 私は女神様に文句の一つも言いたくなった。

 だって私は悪役令嬢になるなんて一言も了承していないのだ。


「クラリスさん、王太子殿下がアニエスさんと仲良くしていると子爵令嬢が叫んでいますけれど宜しいのですか?」

 最近、私に近付いてきたルイーズ・フェロモン伯爵令嬢が私に忠告してくれた。


 王立学園では最近討伐でエミールとアニエスが親しくしていると噂が更に大きくなりつつあるのだ。アニエスの活躍が声高に噂されていた。それと聖女アニエスと王太子の婚約を願う声が日増しに大きくなっているように私には思えた。

 本来婚約者である私はそれを否定しないといけなかった。


 でも、私がバルバラ達を注意しても、

「まあ、アニエス様に婚約者の座を奪われそうになって気が気でないクラリス様も大変ですわね」

 と最近はクロエに鼻で笑われて終わりなんだけど……


 こんな対応で良いのか?

 私は一応宰相の娘で公爵家令嬢なんだけど……

 と思わないでも無かったけれど。

 この一年A組では、一時期はアニエスの取り巻きは少なくなっていたが、アニエスが活躍するにつれてアニエスの取り巻きの数が元に戻ってきて、クラスの過半を占めるに至っていた。


 魔物討伐の状況は騎士団が3個師団動員されて、必死に魔物を討伐しているもみたいだけど、なんとかゴモラの街を取り返した状況らしい。


 元々私は悪役令嬢だし、ヒロインのアニエスにエミールを取られるのは覚悟していたけれど……最近、エミールとの仲がものすごく良かったから、とてもショックを受けていた。

 だって私のファーストキスもエミールに奪われたし……


「クラリス、大丈夫よ。王太子殿下はあなたを見ているから」

 フェリシーがそう言って慰めてくれたけれど、私は自信が無かった。

 魔物討伐現場はとても大変なはずだ。そんな中でエミールが怪我してアニエスに傷を治してもらったかもしれない。それが縁で二人に恋が芽生えたかもしれないではないか!


 何しろ私は地味ダサ女で、ヒロインはとても可愛い巨乳女なのだ。




 その日の魔術実技でも、私は相も変わらず、障壁をひたすら作らされていた。


 私が作ったクレーターは埋められていたけれど、まだ各地にその残骸が見受けられた。


 魔物はダンジョンの奥底から沸いているらしい。魔物は恐ろしいし、出来れば近寄りたくない。でも、学園に現れたオーガは私の威圧を受けて逃げ出したんだった。

 今エミール等討伐隊は寝る間も惜しんで討伐しているらしい。


 そこまでしても魔物が沸いてくるダンジョンへは中々騎士達は近寄れないらしい。


 そのダンジョン毎攻撃したらどうなるだろう?


 民家も周りに無いはずだから、別にが魔力を制御できなくても私が全力で攻撃したらダンジョン自体を消滅するのも可能かもしれない。


 そう、私は思いついたのだ。


「カンダベル先生」

 他の生徒を見ているカンダベル先生に声をかけた。


「どうしたんだい。クラリスさん。障壁を作るのに飽きたのかな」

 ひたすら障壁を作るのは確かに飽きる。

「いえ、そうじゃ無くて、私の魔術をダンジョン目がけて放ったらどうなるかなと思いまして」

「えっ?」

 カンダベル先生は私の言葉に固まってしまった。


「それは大変なことになるだろう」

「じゃなくて、ゴモラのダンジョン目がけて打ち出せば魔物毎吹き飛ばせるんじゃ無いかなと思いまして」

「ちょっと、待てよ」

 カンダベル先生は手を休めて考え出したのだ。


ここまで読んでいただいてありがとうございます。


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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

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