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氷の王太子との顔合わせの時に、盛大に転けてしまい大笑いされました

 私はお父様に連れられて王宮に初めて行った。王宮は小高い丘の上に優雅な姿をしていた。前世の白鳥城みたいな白亜のお城だった。


「凄くきれい!」

 私は感激して見ていた。

 白い石畳の橋をゆっくりと馬車は通りすぎた。入り口は公爵家の馬車は顔パスみたいだった。そのまま、馬車溜まりの一角に馬車が止まった。


「ロワール公爵様、お待ちしておりました」

 侍女が慌てて駆け寄ってきた。侍女の案内で王宮を歩くが、王宮は広い。私は転けないようにゆっくり歩いていた。それをちらちらと侍女さんが何回も私を見てきたら、あっという間にお父様に私は抱き上げられていた。


「広くて申し訳ありません」

 侍女が謝ってくれたが、私が歩くのが遅いからいけないのだ。

 それから、お父様は私を抱えて、結構長い距離を歩いてくれた。良かった。私が歩いていたら、1日がかりになっていた、と思えるほど王宮は広かった。


 やっとたどり着いた陛下のお住まいの宮殿は、また、とても大きくて私は目を見開いた。


 前世だったら「でっけーーーーー」

 と令嬢ならぬ言葉で叫んでいたと思う。


 応接の手前で下ろされた私は歩いてもいないのに呼吸が大分速くなっていた。

 ついに氷の王太子とご対面だ。

 お兄様によると令嬢に冷たいそうだから、冷ややかな目で見られるのだろうか?

 まあ、私は大人しい地味令嬢だから相手にもされないと思うけれど、なんとしても婚約者になるのだけは避けないと。見目麗しい令嬢は他にいるはずだ。

 大人しく静かにしていればこの後選ばれることはないだろう。



「クラリス、緊張しているのか?」

「大丈夫です」

 そう返事したものの私は冷や汗をかいていた。


「良く来てくれたな」

 中に入ると、低くてずっしりとした男らしい声が響いた。なんと、席には国王陛下もいらっしゃったのだ。

 部屋の中には金髪碧眼の陛下と、少しきつそうなグレーの瞳をした栗色の髪の王妃様。それと真ん中にはとても可愛い銀髪碧眼の王子様がいたのだ。氷の王子様というには可愛すぎたが……


 でも、真ん中の王子様はとてもつまらなそうに見えた。

 そらそうよね。親に連れられてじっと座っている事って子供には拷問だ。


「陛下ご機嫌麗しく」

 お父様が挨拶した。

「うん、そちらの可愛らしい娘がその方の娘か?」

「はい、クラリスです」

 誇らしそうにお父様が紹介してくれた。


「クラリスと申します」

 私はカーテシーした。何回も今日のために練習したのだ。

 一応きちんとできたみたいだ。


「おお、良くできたの」

 陛下が褒めてくれて、私は得意になってしまったのだ。


「これを、陛下に」

 私は父から袋を受け取って中から一輪の虹色の花を取り出した。


「ほう、思い出の花か」

 陛下が珍しそうに言ってくれた。


 我が家に古くから伝わる想い出の花だ。この花はこの世界というか、公爵家にしか咲かない花で、なんと前世風に言うと短い映像を保存できるのだ。


 その珍しい花を陛下に差し出そうとして、少し、焦ってしまったみたいで、足がもつれてしまった。


「きゃっ」

 私は悲鳴をあげて、そのまま盛大に転けてしまったのだ。


 私の馬鹿! 

 肝心な時に何をしているのよ!

 私は穴があったら入りたかった。


 想い出の花は私から飛び出して、丁度手持ち無沙汰にしていたエミールの手元に飛んでいったのだ。

 エミールが受け取ると、いきなりエミールの目の前に「きゃっ」と叫んで転ける私が映ったのだ。

 最後はなんとも言えない悲惨な顔を上に向けた、私が映っていた。


 ええええ!

 なにこれ!

 家で確認したときはカーテシーする可愛い私が写っていたはずなのに!

 今のショックで上書きされた?


 本来は想い出の花に魔力で念じた後に、花の前で演じたことが記録されるはずなのに、私が転けた瞬間、魔力が流れるか何かしたのだろう。それが上書きされたみたいだ。


 ギャーーーー!

 私は心の中で盛大に悲鳴を上げていた。


「大丈夫か?」

 後ろから慌てて父様が私を抱き起こしてくれた。

 私は思わずお父様に抱きついていた。

 本当はもう泣き出したかった。



「わはははは」

 その時だ。今までつまらなそうにしていたエミールが突然吹き出したのだ。


 私は唖然としてエミールを見た。

 この子笑えるんだ。

 思わずそう思ってしまうほど、今まで不機嫌そうにしていたのに!

 氷の王子様が笑ったのだ。



「ほう、エミールが笑うなんぞ、いつ以来だ?」

「珍しいわね」

 陛下と王妃様が二人で驚いておられた。


 でも、エミールが思い出の花の茎の部分を握る度に、「きゃっ」と叫んで転ける私が映つるのだ。最後は悲惨な顔を上に向けた私の顔のドアップで終わっているし……


 最悪!

 もうやめて!

 私は恥辱にまみれて涙目になった。


 それを見て、

「エミール、いつまでもやるのは失礼だぞ」

 陛下が注意してくれた。


「申し訳ありません」

 エミールは慌てて止めてくれた。

「クラリス嬢にも謝る必要があろう」

 陛下に言われて一瞬嫌そうな顔をしたけれど、

「クラリス嬢、ごめん」

 一応しおらしく謝ってくれた。

 でも、目が笑っているんだけど。


 さすがの私も気落ちしていた。よりにもよって陛下達の前で転けてしまうなんて!

 でも、王太子の婚約者にならないためにはその方が良かったのかも。こんなドジな女が王太子の婚約者になったら問題だときっと陛下ご夫妻も思ってくれたはずだ。


 私はそのまま帰りたかったけれど、席に着いた私達の前にケーキが出てきたのだ。

 セバスチャンの言ってくれた王宮の特別なケーキだ!

 私は目を大きく見開いた。


「イチゴだ」

 私は思わず期待に満ちた目でケーキの上の赤い果物に釘付けになった。

 なんとケーキの上にはイチゴが載っていたのだ。イチゴはこの世界ではとても貴重なもので公爵家の私ですらほとんど食べたことがなかった。


「ほお、クラリス嬢はイチゴが好きなのか」

「はい」

 陛下の言葉に思わず私は満面の笑みで頷いていた。

「そうか、じゃあ、食べて良いぞ」

 陛下が言ってくれた。

 皆がじっとこちらを見てくれる。


「えっ、でも」

 マナーの先生には皆が食べてから最後に手を付けるように言われていたのだ。


「ああ、マナーなら構わない。何なら、儂の分も食べるか」

 陛下がそう言ってケーキ皿をこちらに置いてくれたのだ。


「いえ、そんな」

「良いではないか。ケーキなど甘い物は儂は苦手だ」

 陛下がそう言ってくれた。

「じゃあ、これも」

 エミールまでイチゴをフォークに軽く刺して私のお皿の上に置いてくれたのだ。


「エミール、そのようにはしたない」

 王妃様がエミールを注意したが、

「良いではないですか。母上。私とクラリス嬢の仲なのです」

 エミールは平然と王妃様に言い返していた。

 まあ、エミールとは笑われる仲だけど……

 私は散々皆に勧められて、仕方なしに、ケーキに手を付けたのだ。

 ケーキはとても美味しくて、イチゴもとっても美味しかった。


 でも後で、マナーの先生に2個もケーキを食べた事を怒られたのだ。


 普通は食べないらしい。


 でも、良いのだ。王家の皆様には、私はすぐに転けた上にたくさんケーキを食べる礼儀知らず令嬢としてインプットされたはずだ。これで王太子の婚約者にならなくて済む。

 私は心の底から喜んでいたのだ。



ここまで読んで頂いてありがとうございます

国王一家の前で盛大にやらかしたクラリスでした。

ブックマーク、広告の下の評価☆☆☆☆☆を★★★★★して頂けたら嬉しいです(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾


果たして、クラリスの思惑通りなるのか?

続きは明朝です。

お楽しみに


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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

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しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
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