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私の持ち物に守護の魔術をかけてくれていたのには自分だと王太子が宣言して出ていきました

「何を騒いでいるのです!」

 ロッテンマイエル先生の怒り声が響いた。


 ゲッ これは最悪の状態では?


 アニエスが遠くでにやりと笑うのが見えた。


「ロッテンマイエル先生。バルバラさんがクラリスさんの礼儀作法の教科書を見たら、こんな風な顔になってしまったのです」

「ちょっと止めてよ」

 嫌がるバルバラの手をクロエは無理矢理退けて、片目パンダになったバルバラの顔を見せたのだ。


 私は一瞬、ロッテンマイエル先生の目が少し嬉しそうになった気がした。

 驚いて再度見たら厳しい顔のままだったけれど……まさかあの氷のロッテンマイエル先生が笑いそうになったなんてあり得ないよね。


 男達がどっと笑ってくれたんだけど……バルバラは涙目だ。


「酷いわ、皆して笑うなんて! これも全部クラリスさんのせいよ!」

 バルバラが怒りでにらみつけてくるんだけど、ゴメン、私もその顔見て笑いそうになった……


「先生、クラリスさんは今笑いそうになりました!」

 アニエスが余計な事を叫んでくれた。


「酷いわ。クラリスさんって女の子を傷物にして笑うくせがあったのね」

 クロエが更に言ってくれるんだけど。


「クラリスさん。これはどういう事ですか?」

 ぎろりとロッテンマイエル先生が眼鏡を直しつつ私を見てくれるんだけど……


「えっ、私ですか?」

 私は目を見開いた。そんな事言われても知らないんだけど……私は教科書には何もしていないし。そういえばエミールが何かごそごそしていたような気がしたけど、風邪で寝ていた私は詳しく見ていなかった。


「あのロッテンマイエル先生。クラリスさんは今まで私と一緒にいたので、関係無いと思いますけれど」

 横からフェリシーが戸惑って答えられない私の援護射撃をしてくれた。持つものは友達だ。


「そんな訳無いでしょう。バルバラさんがクラリスさんの教科書に触った途端にこうなったのよ」

「そうよ。絶対にのろいか何かの罠をかけていったのよ」

 クロエとアニエスが指摘してきた。


「でも、そもそも、何故バルバラさんがクラリスさんの教科書に触れるの? おかしいじゃない!」

 フェリシーが突っ込んでくれた。

 そうだ。そこがそもそもおかしいわ。

 私が頷いてバルバラを見ると、バルバラは私から目をそらして、

「それはその……」

 すぐには答えられなかった。


「教科書が机の中から落ちそうになっていたから、直そうとしたのよ」

 クロエが横から助け船を出してきた。

「そ、そうよ」

 慌ててバルバラが頷いてくれるんだけど……なんかめちゃくちゃ怪しいんですけど!


「ふうん。あなた、クラリスさんの教科書をまた、隠そうとしたんでしょう」

 フェリシーが指摘すると

「そんなこと無いわよ。今回が初め」

「バルバラ!」

 思わずポロリとバルバラがばらしそうになってクロエが止めようとしたけれど、遅かった。


「バルバラさん。どういう事ですか?」

 ロッテンマイエルがぎろりとバルバラを睨んでくれた。

「ヒィィィィ」

 バルバラはもう真っ青だ。


「バルバラさん。あなたはクラリスさんの教科書を隠そうとしたのですね」

「いえ、その」

 バルバラは真っ青になった。

「バルバラさん!」

 そこにロッテンマイエルが一喝したのだ。

「も、申し訳ありません」

 バルバラは頭を下げた。


「本当になんということですか? クロエさん。あなたも知っていましたね!」

「えっ、いえ……」

「クロエさん!」

「も、申し訳ありません!」

 慌てふためいて誤魔化そうとしたクロエもロッテンマイエル先生の一喝に頭を下げてきた。


「貴方たち二人は罰として後ろに立っていなさい」

「えっ」

「そんな」

 二人が文句を言ってきたが、

「停学になりたいのですか?」

「「いえ」」

 二人は慌てて後ろに立ってくれた。


「先生。このような呪いをかけたクラリスさんは罰を受けないのですか?」

 アニエスが余計な事を言いだした。

 でも、私はバルバラがどうしてこうなったか、少しは予測出来たけれど、本当のことは全然判っていない。


「アニエスさん。何を言い出すのですか? クラリスさんが魔力制御が中々出来ないのはこの前の爆発事故であなたも知っているでしょう?」

 ロッテンマイエル先生が思い出したくない黒歴史を例に出してくれた。

「それはそうですが」

 アニエスは不満そうに頷いた。

「もし、クラリスさんがしたのなら、バルバラさんは体中真っ黒になっていないとおかしいです」

 ロッテンマイエル先生が余計な推論をしてくれた。

 それは確かにそうかもしれないけれど、そこまで断言しなくても良いんじゃないかと私は文句が言いたかった。

 怖くて反論は出来なかったけれど……


「じゃあ誰がしたんですか?」

 アニエスがしつこく聞いてきた。

「クラリスさんは判っているはずですよね」

 アニエスが私を見てくれるんだけど。

「えっ、それは……」

 私ははっきりとは知らないし、あやふやなことは言いたくないんだけど……

「私には大体見当がつきます」

 何故かロッテンマイエル先生が目を光らせて私を見るんだけど、私は確信はないのだ。おそらくそうじゃないかな思えるだけだ。


「はい、先生、私です」

 その時扉を開けてエミールが入ってきたのだ。


「えっ?」

 アニエスは驚いていた。

 いや、どう考えてもこんな大それた事をするのはエミールしかいないだろう!


 昔王宮でやられたことを私は思いだしていた。エミールの魔術のいたずらで目が片目パンダになったのだ。泣き出したらすぐに直してくれたけれど。先生らも結構引っかかっていた。


「殿下、今は授業中ですよ。何故ここにいるのですか?」

「いや、私の愛する婚約者が虐められていると聞いたもので」

 エミールは平然とロッテンマイエル先生に言い訳しているんだけど。


「あ、愛する婚約者ですって!」

 アニエスがショックを受けたような顔をしていた。


「殿下、直ちに授業に戻ってください。話は後で聞きます」

 ロッテンマイエル先生がそう言うが、

「一言だけ忠告を! クラリスの持ち物には全てバルバラ嬢がなってしまったような守護の魔術をかけてあるから。クラリスに悪意を持って持ち物に触れるとバルバラ嬢のようになるから気をつけて」

 そう言って冷たい視線で全員を見渡すと、私にウィンクして出て行ったのだ。


 私はエミールにウィンクされて赤くなってしまった。

 でも、いつの間にお守りなんてかけたんだろう?

 そんなそぶり無かったのに!


 私は考え事をしていたせいで、射殺しそうな敵意を持った視線で私を睨んでいるアニエスに気付かなかったのだ。


ここまで読んで頂いてありがとうございます。

続きは今夜です。

アニエスの怒りがどうなるのか?

続きが気になる方はブックマーク、広告の下の評価☆☆☆☆☆を★★★★★して頂けたら嬉しいです(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾


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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

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