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王太子視点 婚約者に謝りに行こうとした矢先に邪魔しに来た聖女を怒鳴り散らしたら泣かれてしまいました

 その後、俺はロッテンマイエルに延々怒られたのだ。


 元々、俺はクラリスを探していたら、アニエスに見つかって抱きつかれそうになったので逃げ出したのだ。そうしたら今度はクラリスにぶつかって、クラリスとロッテンマイエルの二人をトレイの汁物で汚してしまった。

 本当に最悪だった。


 ロッテンマイエルは延々怒ってくれるし、怒るなら聖女を怒れと俺は言いたかった。

 でも、振り返ったらアニエスはどこにもいなかったのだ。アニエスは逃げ足だけは速いみたいだ。


 結局悪いのは俺ということになって、ロッテンマイエルには反省文の提出を求められた。

 クラリスはますます俺に怒っているし……


 クラリスにせっかく許してもらおうと思ったのに、状況は更に厳しくなったのだ。

 クラリスは俺に笑顔も見せずに、セドリックと帰って行った。



 それもこれも全ては聖女のアニエスのせいだ。

 俺は聖女に対してもう完全に切れていた。


 俺の事を名前呼びするのに始まり、婚約者でもないのに、俺に抱きついてくれるわ、胸を押しつけてくるわ、もう本当に許せなかった。

 聖女だから我慢するようにと父や母は言うが、俺にも我慢の限界がある。

 はっきり言って俺からしたら、ここまで問題の聖女なんかこの国には要らないのだ。


 しかし、教皇を呼び出して文句を言うのは後だ。

 それよりもまずはクラリスに許してもらわないと。


 俺は、翌朝早くに、イチゴにケーキに今度は花束まで用意した。

 今度も誠心誠意謝ってなんとか許してもらおう。

 俺はそう思って、今まさにクラリスの家に向かおうと部屋を出ようとした時だ。

 急遽両親に呼び出されのた。



 仕方なしに両親の部屋に向かって理由を聞くと、何故か聖女と教皇がまた来たというのだ。

 何故この大切な時に来る?

 俺は完全にぶち切れた。


「俺はクラリスの家に行きます」

「いや、まあ、そう言わずに」

「そうよ。エミール。クラリスにはいつでも会えるでしょ」

 脳天気に両親が軽く言ってくれるが、

「何を言っているんですか? 聖女の方こそいつでも会えます。

 俺は今はクラリスに謝る方が先決なのです」

「何言っているの? 婚約者と聖女様とどちらが大切なの?」

 母がそう言ってきたので俺は完全に我慢の限界を超えていた。


 俺は怒りのあまり、応接の机を殴りつけたのだ。


 バキッ

 という音と共に、机が真っ二つに割れた。


「いや、エミールどうしたの!」

 母が驚愕した顔で、俺を見た。

「そうだ、エミール。机に当たっても仕方がないだろう」

「何を言っているんですか! いい加減にしてくれ!

 俺は今すぐクラリスに謝りに行くと言っているのに、それを邪魔したのは父上と母上ではないですか! 教皇も聖女も父上と母上が面倒を見られたら良いのです。そうすれば如何に問題があるかわかりますよ。俺はもう十分だ」

 俺はその机を更に叩きつけたのだ。

 俺の激怒の様子にさすがの両親も驚いていた。


「あの聖女は何なんですか? 人間としての常識が全くないではありませんか! 俺のことを平気で名前呼びするわ、婚約者でもないのに抱きついてくるわ。それも胸を俺の腕に押しつけてくるのですよ! それもクラリスの前で!」

「いや、まあ、エミール。それは聖女が貴族の礼儀作法を身につけていないだけで」

「はああああ! 平民でも娼婦でもない限り、婚約者でもないのに男に抱きついたりしませんよ。いつから聖女は娼婦になったのですか?」

 俺がそう叫んだ時だ。

 扉が開いて侍従に教皇とアニエスが案内されてきたのだ。


「王太子殿下、聖女様を娼婦呼びとは酷くないですか」

「そうです。娼婦だなんて酷いです」

 教皇とアニエスが文句を言ってきた。


 その事が俺の怒りを更に増幅させた。

「事実だろうが!

 婚約者でもないのに俺にベタベタしてきて、挙げ句の果てに近寄るなと言うのに、俺の手に胸を押しつけて来るんだぞ! それを娼婦でなくて何だと言うんだ?」

 俺は教皇と聖女の前で怒鳴り散らしたのだ。


「そんな……ウェーーーーン」

 いきなり聖女が号泣しだした。


 さすがの俺も驚いたが、

「ふんっ、泣いたところで俺は許さないからな。貴様が娼婦のような振る舞いをするから俺は先生には睨まれるわ、クラリスには嫌われるわ。本当に最悪なんだぞ。教会はどういう教育をしているんだ!」

 俺は怒り狂っていたので、教皇相手にわめき散らしていた。


「いや、殿下。それは聖女様はまだ、聖女になられて1年と少し、一生懸命、癒やし魔術を練習しておられる途中なのです。当然礼儀作法までは中々手が回らずに、ご迷惑をおかけするかも知れませんが、

 決して悪気があってされている訳ではないのです」

 教皇が説明する間もアニエスは号泣し続けていた。


「ふんっ、そんなの判ったことか」

 俺が信じられずに言うと、

「そんな、酷い! 私もこんなところにいずに家に帰りたいのです」

 アニエスが泣きながら言った。


「猊下。家に帰りたいって、無理矢理、家族から引き離したのですか」

 母が教皇を睨み付けた。


「いえいえ、そんなことはございません。聖女様がおっしゃるには、何でも、この世界の両親のところに来る前に、別の世界で生きていらっしゃったそうで、女神様に半ば強制的に呼ばれてこの世界来られたのだとか。この世界のために役立ってほしいと頼まれてきたものの、自分の前にいた世界の両親の夢をたまに見られるそうで、起きた時に良く泣いておられるのです」

 教皇はそう言って目をこすっているのだが、俺には信じられなかった。


「そうなのか? 聖女様も大変なのね」

 母はあっさりと同情しだしているんだけれど。俺には信じられなかった。


「まあ、殿下の激怒される点については聖女によく言って直させます」

「本当だな!」

 俺は確認した。

「はい」

 聖女は泣きながら頷いた。


「だから、今しばし、温かい目で見てやって頂ければと思います」

 教皇はそう言って俺を見たが、俺は軽く頷くに止めた。アニエスの今までの行いを見る限り、俺には教皇の言うことが信じられなかった。


「いや、今日お邪魔したのは、王宮の皆様、特に騎士の方々は日々訓練で怪我などをされていらっしゃると思うのです。それを放課後お邪魔して癒やし魔術をかける許可を得られないかとお願いに参ったのですが」

 教皇がまずいと思ったのか話題を変えてきた。


「まあ、それは良いことではなくて」

「そうだな。王宮のけが人に対処してもらえれば有り難い。でも、聖女様も勉強に忙しいのでは無いのか」

「聖女様が言われるには女神様に頼まれたのは困っている人を助けるように言われているので、できる限り癒やし魔術をかけたいとのことなのです」

「そうか、ならば王宮でしてもらえるのは何ら問題はない。王宮の癒やし魔術師達にも話しておこう」

 俺の怒りを置いておいて、話はドンドンまとまっていった。

 結局、何故か俺が泣いている聖女をまた、学園に送っていくことになったのだった。










ここまで読んで頂いてありがとうございます。

聖女の涙は本当なのか?

続きは明朝です。

続きが気になる方はブックマーク、広告の下の評価☆☆☆☆☆を★★★★★して頂けたら嬉しいです(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾

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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

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