表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

24/81

教室の手前で私達の前に現れた聖女は、止めようと突き出したエミールの手に自分の大きな胸を押しつけてくれました

「「「キャーーーー!」」」

 エミールが馬車から降り立った途端、女達からの悲鳴にも似た甲高い歓声が飛んだ。


「王太子殿下よ!」

「エミール様!」

「エミール様は今日もお姿が凜々しいわ!」

 女達の声援が響く。


「でも、今日も誰かを連れておられるみたいよ」

「また、聖女様かしら?」

 女達の声が聞こえた。


 皆の注目を浴びている。


「クラリス、行くぞ」

 なんかエミールがやる気満々なんだけど……


 ええええ! 

 この中に私が出ていくの?

 私は嫌だったんだけど……


「さあ」

 強引に手を引かれて下ろされたのだ。


「だれ、あの地味な子は?」

「あれよ。あれ。王太子殿下の婚約者の」

「確か、ロワール公爵家のご令嬢だと」

「でも、本当に地味よね」

 ギャラリーからも呆れられているんだけど……


 だから私はエミールと一緒に降りたくなかったのに!


「でも、エミール様。あの子の手を引いているわよ」

「それも、恋人つなぎよ」

「嘘、信じられない!」

 女達の悲鳴が響いた。


「エミール様なら可能性があると思っていたのに」

「あなた、何を言っているのよ。腐っても相手は公爵令嬢よ。子爵家のあなたがクラリス様に勝てる訳ないでしょ」

「そんなの判らないじゃない!」

 女達は好き勝手に言ってくれてるんだけど……

 ゲームでは婚約破棄されて、その上断罪までされて、男爵令嬢のアニエスに取られるからその通りなんだけど、腐ってもって何よ!


 それに私の手を引いているエミールはニコニコしているんだけど……これって王家特有の愛想笑いじゃないの?

 私の前では素顔でいるって言ったのに!


 私の心の疑問は無視して、そのままエミールは私の手を引いてゆっくりと教室の方に歩いて行ってくれた。いつもよりもゆっくりだ。私を時たま見ては笑顔なんだけど、これって絶対に王家の愛想笑いだよね!


 でも、そのまま何事もなく行ける訳もなく、

「エミール様!」

 後ろから声がしてアニエスが走ってきたのだ。


 ゲームではこんな場面なかったんだけど……

 まあ、ゲームではエミールはクラリスの我が儘な態度にいい加減嫌になっていたし、クラリスの手を引くなんて事はなかったけれど……

 婚約者が二人で歩いているところに、普通、男の名前呼びながら駆け寄ってくるか?

 さすが空気を読まない聖女だ。

 でも、今日のエミールは慌てて私を後ろに守る形にして、前に出てくれた。

 一応守ってくれようとしたのだ。


 しかし、なんと駆けて来たアニエスはそのままエミールに抱きつこうとしてくれたんだけど、信じられない!


 でも、さすがにエミールがさっと身を引いてくれた。

 運動神経の悪い私なら確実に転けていただろう。


 しかし、アニエスは運動神経は良いみたいで、そのままエミールの動きについてきた。

 そして、そのアニエスの動きを止めようとしたエミールの左手に抱きつこうとしてくれたのだ。


 止めようと前に突き出したエミールの手にそのまま抱きつくと丁度アニエスの大きな胸が当たったのだ。


「キャッ」

「「えっ?」」

 エミールの手はアニエスの大きな胸をむにゅっと掴む形になっていた。


 エミールは驚いた顔をして固まっていた。

 私はエミールのたわわな胸を掴んでいるアニエスの手を見て唖然としていた。


 アニエスは一瞬驚いた顔をしたが、

「キャッ、エミール様って大胆です。でも、もっともんでくれていいですよ」

 そう言って喜ぶと両手でエミールの手を更に自分の胸に押しつけたのだ。


 嘘、エミールがアニエスの胸をもんでいる!

 ピキッと自分の中で何かが切れるのが判った。


「おい、やめろ! アニエス!」

 エミールは余裕のない声で狼狽して手を引こうとするが、アニエスはぎゅっとエミールの手を掴んで離さない。それもエミールはアニエスを名前呼びした!


「いや、クラリスこれは違うぞ」

 エミールは慌てて振り向いて私に言い訳してくれた。


 そういう事はアニエスの巨乳から手を離してから言いなさいよ!

 私は切れていた。


 慌てたエミールはアニエスの胸から手を無理矢理引っ張って離そうとした。

 でも、アニエスはエミールの手を掴んで思いっきり自分の胸に押ししつけていたから、そのまま、一緒に引かれてエミールに抱きついてくれたのだ。


「えっ?」

 半分私の方を見ていたエミールは大きく体勢を崩した。

 そしてアニエスに抱きつかれたまま倒れてくれたのだ。


 その倒れる前に私はエミールの手から自分の手を思いっきり引き抜いていた。


「エミール様! 強引なエミール様も好きです」

「いや、違うぞ、クラリス」

 完全に切れた私は抱きつかれて言い訳してくるエミールを無視して歩き出したのだ。


 私の視界の端で思いっきり自分の胸をエミールに押しつけるアニエスの姿が見えた。

 その目は勝ち誇って私を見ていたのだ。


「いや、ちょっと、クラリス!」

 後ろからエミールの悲鳴が聞こえたが、私は振り返りもしなかった。


 嫌なら抱きつかれなかったら良かったのだ。

 それもアニエスの胸をもんでいた!

 ピキピキッと私は完全に切れていたのだった。

ここまで読んで頂いてありがとうございます。

完全に切れたクラリスでした。

続きは今夜です。

続きが気になる方はブックマーク、広告の下の評価☆☆☆☆☆を★★★★★して頂けたら嬉しいです(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾


もう一つの更新中の

『もふもふ子犬の恩返し・獣人王子は子犬になっても愛しの王女を助けたい』

はお昼更新予定です。

https://ncode.syosetu.com/n9267kb/


20センチくらい下、私の4冊の書籍案内の下に直接リンクも張ってます

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

最新の作品はこちら

『悪役令嬢に転生したみたいだけど、王子様には興味ありません。お兄様一筋の私なのに、ヒロインが邪魔してくるんですけど……』https://ncode.syosetu.com/n3871kh/


私の今一番熱い人気の作品はこちら

『【電子書籍化】王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど……』https://ncode.syosetu.com/n9991iq/


表紙画像
1巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』
上の表紙絵はおだやか先生が可愛いエリーゼを守る格好良いお義兄様を描いて頂きました。
このなろうで書いたのに【お義兄様との洞窟探検】2万字の描き下ろしが追加されています。
小さいヒロインのエリーゼはダンジョンに潜りたいとお義兄様に無理やり連れて行ってもらって、巻き起こす大騒動。
後で知ったお義父様(皇帝)が怒るもエリーゼの前に撃沈、更に行ったダンジョンにはなんとあの…………、とても面白いお話になっています。

■【3千字のSS商人の娘の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DD3SHSJV/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/86f757d2dd7d3674900eac6783288ad5/

表紙画像

表紙絵はおだやか先生が美しい、お義兄様とエリーゼのキスシーンを描いて頂きました。
2巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』
こちらの新規書き下ろしはセッシーとの出会いです。皇帝一家でセシール湖にお出かけしたエリーゼはお義兄様たちと湖の地下宮殿に冒険に出かけます。
反逆の陰謀と共にそこにいたのは巨大な水竜で…… とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【3千字のSSドレス工房の主の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/2/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DGQ7J6VH/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/178537d615973d18a4cb8adc53c66c16/

3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
3巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』
こちらの新規書き下ろしは学園に出る幽霊竜退治です。学園時代のお義兄様の幽霊騒動にエリーゼが一緒に冒険します
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【3千字のSS連れ子様の護衛騎士・シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/3/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/-ebook/dp/B0DK55BWGS/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/e9901759f61337b88109b29ff7a5ffb0/

ぜひとも手にとって見ていただければ嬉しいです。

アルファポリスのレジーナブックスにて

【書籍化】

しました!
2023年6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙画像
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。


■アマゾンへのリンク

■楽天ブックスへのリンク

■hontoへのリンク


手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

なろうの掲載ページ『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://ncode.syosetu.com/n3651hp/

第一部は書籍化の規約上3分の1残して後は他者視点で繋いでいます
「えっ、ゲームの世界の悪役令嬢に生まれ変わった?」
頭をぶつけた拍子に前世の記憶が戻ってきたフラン、
でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。
しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。


私の

3番人気の作品はこちら

『モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~』https://ncode.syosetu.com/n8311hq/

私の

4番人気で100万文字の大作の作品はこちら

『皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!』https://ncode.syosetu.com/n8911gf/

最新の短編作品はこちら

『婚約破棄されやけ酒飲んでると軽い男が声かけてきたので張り倒したら、何故か執着されました』https://ncode.syosetu.com/n2191kg/




このお話の前の話

『もふもふ子犬の恩返し・獣人王子は子犬になっても愛しの王女を助けたい』https://ncode.syosetu.com/n9267kb/

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ