159 気になる女性とは
初めてこちらを見つけていただいた方へ。
ありがとうございます。
1話がとても短いものになっております。あっという間に負担なく読み終えてしまう短さです。ですので3日に一度朝6時更新という短いスパンです。 たまに遅れまる場合が(^0^;)
ちょっとの暇な時間の穴埋めになれたら嬉しいです。
ちらほらと、あらすじが挟んでおります。もし興味がありましたら、そちらをちょこっと除いていただければ、なんとな~くわかっていただけるかとw
よろしくお願いしますm(_ _)m
するとティエム大司教が言う。
「もしかしてもう心に決めていらっしゃる女性がお見えでしたか?」
「え?」
「そのようにお見受けしたものですから」
「あっ……」
そこで黙ったマティスにエドモンが反応した。
「なんだ、そのような女性がいるのか? マティス」
「い、いえ、そういうわけでは……」
歯切れの悪い反応を見せるマティスにエドモンはにぃっと笑う。
「なんだマティス、気になる女性がいるようだな」
「ええ……まあ……」
「どこの令嬢だ? 学園で知り合ったのか? 今日はこの場所に来ておるのか?」
「ええ……」
つい応えてしまい、はっとし、
「あっ、いえ、違います」
と否定するが、すでに遅しで、
「なんだ、そうなのか。挨拶をせねばならないな」
とエドモンは目を輝かせ訊いてきた。
「いえ、まだ、そういう関係でもなんでもないですから!」
マティスは慌てて否定する。
「わかっておる。どのような女性なのか気になっただけで、何もしないから安心しなさい」
エドモンはそう言うが、信用ならないとマティスは思う。だがこうなってしまったらどう説得してもだめなことも分かっている。だからマティスはこれ以上否定するのは諦め、「はあ」と嘆息するのだった。
そこへ側近が部屋に入ってきて言う。
「陛下、聖女と後見人のホルスマン伯爵が見えました」
するとセイラとグレイが入って来た。そしてエドモンとマティスの前で頭を下げる。
「久しいなホルスマン伯爵」
「お久しぶりでございます陛下。ご健勝で何よりです」
「うむ。ソフィア嬢、いやまだセイラ嬢かな。そう緊張しなくていいぞ」
「は、はい……」
形式的な挨拶はしたが、目の前に国王とマティスがいるためセイラは顔を上げることが出来ず、緊張から体は硬直しうまく話す事ができない。どうすればと思っていると、
「陛下、それは無理でございます。陛下を初めて前にすれば、緊張するのは当たり前でございます」
と、ティエム大司教が助け船を出してくれた。
「そうか。それは悪かったな」
「いえ……」
エドモンに言われ、セイラはただ首を横に振るしかできなかった。
「では私どもはこれで」
ティエムはそう言い、頭を下げると、グレイとセイラを連れて下がっていった。
3人が部屋から出て行くと、エドモンがマティスへと視線を向け、
「さあ、マティスの気に入った子を見に行こうか」
と笑顔で言ってきた。何もしないと言ってたではないかと思う一方、どう見ても楽しんでいるのが分かりマティスはムッとする。
「父上、そういうのはやめてください」
「はは。すまんすまん。今までそういう話がまったくなかったからな。嬉しくてな」
「本当に変なこと、言わないでくださいよ」
――絶対にアイラは父上に言われたら逃げるタイプなのだから。
マティスは心の中で言う。
「わかっておる。ただ挨拶するだけだ。最初からプレッシャーをかけてうまくいかないことは分かっておるからな」
「わかっていただけているならよかったです」
「では、行こうか」
「はい」
そして懇親会が始まったのだった。
グレイとセイラは、謁見の間を出るとティエム大司教と別れ、大広間へと移動した。
「大丈夫かいセイラ。相当緊張していたようだけど」
「はい。凄く緊張しました」
セイラは正直に応える。
「そうだろうね。初めてならばそうなるのは当たり前だ。だがまだこれで終わったわけじゃない。今からが本番だ。今日ここに来ている者達に、君が聖女だということ発表するんだからね」
「はい。がんばります」
グレイは笑顔を見せ周りを見渡すと、1人の人物に目が止まる。
「あれは……。セイラ、あそこにいるのは君の姉ではないかい?」
「え?」
グレイの視線を追うと、そこにはサラがいた。
――サラ。
そこでサラの周りを見る。
――アイラは来てないのかしら。
見てもアイラの姿は見えなかった。
「話さなくていいのかい?」
「はい……」
下を向いて言うセイラにグレイは言う。
「もしかしてまだ一度も話していないのかい?」
「はい」
「そうなんだね。じゃあ今日話せるといいね」
「……はい」
セイラは返事をするが、あまり乗り気ではなかった。サラは自分が妹だということを知っているはずなのに話しかけてこない。なぜ話しかけてこないのか? だがそれは自分も同じ事だ。自分より裕福に育ち、何不自由もなく育ったサラ。どれだけ疎ましく思ったことか。だが今ならそれは仕方ないことだと思う。それにサラは関係ないのだ。原因は両親であり特に母親なのだから。
母親は産みの父親とは政略結婚したが、義父のことが忘れられず離婚しセイラを連れて義父と結婚した。その時はよかったのだろうが、義父の仕事がうまくいかず失敗した頃からセイラの人生の歯車は狂い始めたのだ。
――もし義父の仕事が失敗しなかったら、生活にも苦しまず普通の生活が送れていて、サラにも普通に接することが出来ただろうか……。
何度も思ったことだ。
だがどうしてもサラとは話すことが出来ていない。サラと仲が良いアイラもサラを自分に紹介しようとしないということは、姉妹だということを知っていてあえて紹介しないということなのだろう。だから余計に話しかけることができないでいた。
そんなことを悶々と考えていると、国王エドモンとマティスが入場するというアナウンスが入り歓声が上がったため顔を上げる。するとエドモンとマティスが奥の扉から入って来た。
「今日は皆よく参った」
エドモンの挨拶が始まった。セイラはそこで自分が紹介されることを思い出し緊張する。
――そうよ。今はまず与えられた役目を果たすのが重要よ。
そこで気持ちを切り替える。
エドモンの挨拶が終わると、その時がやって来た。
「今日は皆に報告がある。皆も知っていると思うが、聖女エリシアが亡くなり、少し前新しい聖女が決まった。まだその者は学生だが、今日私の親愛なる諸君に、まずいち早くお披露目をすることにしようと思う」
そこで歓声が起った。
「では次期聖女を紹介する」
それが合図だった。セイラとグレイが国王とマティスがいる大広間の2階へ続く大階段を上り国王の横へと行くと国王が、
「この者が次期聖女のソフィアだ。皆の者よろしく頼む」
と発表した。
「ではソフィア、挨拶を」
「はい」
セイラは一歩前に出ると、何度も練習した挨拶をした。
それを下で見ていたサラは複雑な気分になる。
「やっぱ、気になるか?」
隣りにいたライアンが声をかけてきた。
「そうね。複雑な気分だわ」
サラは正直に応える。
「複雑?」
「ええ。嬉しいような、悲しいような……かしら」
「へえ」
そう言って笑うライアンにサラは怪訝な顔を向ける。
「なに?」
「いや、ただその気持ち、分かるなーと思ってな」
「え?」
「俺も兄貴にそういう感情があるからな」
サラはライアンがライアンの兄を見た時の表情を思い出す。やはり気のせいではなかったようだ。
「お互い色々ありそうね」
「だな」
するとマティスがライアンとサラを見て不思議な顔をした。
「殿下、アイラがいないことに気付いたな」
「そうね。私がいるから驚いているみたいね」
「そりゃそうだろ」
「知らないからね」
「別に悪いことはしてないから堂々としていればいいんだよ」
2人は悪戯な顔を見せ笑った。
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