158 ライアンとサラ
初めてこちらを見つけていただいた方へ。
ありがとうございます。
1話がとても短いものになっております。あっという間に負担なく読み終えてしまう短さです。ですので3日に一度朝6時更新という短いスパンです。 たまに遅れまる場合が(^0^;)
ちょっとの暇な時間の穴埋めになれたら嬉しいです。
ちらほらと、あらすじが挟んでおります。もし興味がありましたら、そちらをちょこっと除いていただければ、なんとな~くわかっていただけるかとw
よろしくお願いしますm(_ _)m
リュカとアイラがシガスの家族とお祭りに行っている頃、ライアンはサラを伴って王宮に来ていた。
「悪いなサラ」
「しょうがないわ。アイラのピンチなんだから」
サラは苦笑しながら言う。
「でもいきなりやって来て、王宮に一緒に来てくれと言われた時はさすがに驚いたけどね」
「悪かったな。時間がなかったからな」
アイラがマティスに懇親会に誘われていたのはライアンもサラも知っていた。昼休憩の時にマティスがアイラを誘っていたからだ。最初アイラは断っていたが、マティスのあの手この手に根負けし引き受けた形だ。その時に1人はなんだからとアイラは同じく懇親会に出席することになっていたライアンに一緒にいてくれるように頼み、当日王宮の入口で待ち合わせをしていたのだ。
「まさか頼んだ本人がすっぽかすとはねー」
「ほんとだぜ。ジン先生に会わなかったらどうなってたことか」
いっこうに来る気配がないアイラを心配していたライアンの所にジンがやって来たことで発覚したのだ。
「あれ? ライアンどうした?」
「ジン先生か。アイラを待ってるんだ」
「アイラ?」
「ああ。マティス殿下に誘われて、今日来るはずなんだけど来ねえんだよなー」
「なんだと?」
ジンは驚き声を上げる。その態度にライアンは訝しげな顔を向け、
「ジン先生? 何か知ってるのか?」
と訊ねる。するとジンは、罰が悪そうに言う。
「実は俺の仕事の手伝いで最南端に行ってたんだが、体調を崩して今日は知り合いのお宅で休んでて帰って来れなかったんだ」
「は? まじか」
「ああ。だから今日は来ることが出来ない」
「どうするんだよ」
「さてどうしたものか。皇太子の約束をすっぽかしたとなるとやばいよなー」
「だなー。下手すりゃ牢屋行きだぜ」
そこで2人は考え、サラをアイラの代役ということで来てもらったのだった。
「どうせアイラが実家に帰ったと言うのも嘘なんでしょ?」
サラをアイラの代役として王宮に来てもらうためにライアンがサラの父親についた嘘が、「アイラの祖母が命の危険があるため実家に帰ってしまい、代わりが必要になった」というものだった。
「当たり。きのうジン先生の手伝いで遠くまで行ってたみたいだが、体調不良で帰ってこれなかったみたいだ」
「でも今日のことも本人は忘れていたんでしょうね」
「俺もそう思うわ」
2人は苦笑する。アイラのことをよく分かっている2人だ。
そして懇親会の会場の大広間へと来ると、入口の扉の前で止まる。
「さあ、殿下は頼むぜ」
ライアンは曲げた肘を横に並ぶサラへと出すと、
「あまり期待しないでよ」
とサラはライアンの腕へと手を伸ばし軽く添える。
「じゃあ行きますか」
そして2人は大広間の中へと入った。
中は各界のトップの者や貴族など、高貴な者ばかりが煌びやかな衣装を身に纏い、各々話していた。その様子を見ながら2人は邪魔にならないように部屋の隅へと移動する。
「さすが王族主催の懇親会ね」
「今日はやけに人が多いな」
「そうなの?」
「ああ」
ライアンが周りを見ながら言う。
「いつもはもっと少ないんだけどな。今日は何かあるのか?」
すると遠くにライアンの父親を見つけた。
「学園長の所に行かなくていいのかしら? 学園長の息子さん?」
サラが揶揄を入れながら聞く。
「いいんだよ。隣りにもう1人いるだろ? あれは俺の兄貴だ。だから後継者が挨拶すればいいから俺は関係ないんだよ」
言われて見れば、確かに背の高いライアンと髪色が一緒の若い男性がいた。
「お兄さんいたんだ」
「ああ」
そう頷いたライアンの顔が少し曇ったためサラは、
「お兄さんと仲でも悪いの?」
と訊ねる。だがライアンは首を横に振る。
「いや、別に悪いわけじゃない」
そう言うが、ライアンの顔はどこかやはり陰りがある。その表情にサラは見覚えがあった。
「兄弟、何かと色々あるわよね」
サラが自分と重ねて言った言葉だとわかったライアンは、
「そうだが、サラとは少し違うけどな」
と苦笑した。
「兄貴は今は商社に勤めてるが、そのうちに戻って学園を告ぐ予定だ」
「そうなのね。じゃああなたは気ままね」
「そういうこと。さあ。俺らは俺らで楽しもうぜ」
大広間の奥ではマティスとエドモン国王が謁見の間である人物と面会をしていた。
「久しいな、ティエム大司教」
「久しぶりでございます。陛下に殿下。1年ぶりでしょうか」
「うむ。そうだな」
ティエム大司教はマティスへと視線を向ける。
「殿下もお元気そうで。また一段と凜々しくなられましたな」
「そうかな。あまり自分では分からないものです」
ティエム大司教は笑顔を見せ、そしてまた国王へと視線を向けると一度お辞儀をする。
「陛下、今日は新しい聖女のお披露目をいち早くされるとお聞きしましたが、それでよろしかったでしょうか?」
「ああ。そのつもりだ。今日来ている者達には知ってもらう良い機会だと思ってな」
そう国王は言うが、誰よりも先にこの場で伝えることで、有権者達は自分は国王に認められ特別なのだという優越感を与え、反対に誰にも口外をすることを禁じることで、抑制力を上げる目的なのだろうとマティスは思った。現に、
「お言葉ですが陛下、まだ次期聖女は学生でございます。学生の間は世間に公表することは禁じられておりますゆえ」
「わかっておる。ちゃんと口外はするなと厳重に言うつもりだから安心せい」
とティエム大司教とエドモンは話していたのが証拠だ。
「で、次期聖女はもう来ておるのか?」
「はい。神殿で清めてから王宮に参りましたので、今別室で着替えております」
「そうか」
するとティエム大司教がマティスへと視線を向ける。
「殿下、恐縮ながら一言よろしいでしょうか?」
「ああ」
「ありがとうございます。殿下ももう16歳でございます。まだ学生という立場ではございますが次期国王というお立場。もし良いお相手がまだでございましたら次期聖女の者はどうでしょうか?」
「え?」
「前聖女エリシア様は独身の身でございましたが、代々聖女のお方は皆王族のお方と結ばれております」
「だからと言って僕が聖女と結婚しなくてはならないということではないのではないですか?」
「ええ。さようでございます。ただ昔から聖女と結婚した国王の代は子にも恵まれ国は繁栄するという言い伝えがございます。現にその時代の国はとても繁栄したと神殿の歴史書にも記載されております」
そこでティエム大司教はエドモンへと視線を向け頭を下げる。
「陛下、だからと言って今の国が繁栄していないということではございませんのでご気分を悪くなさらないように」
「わかっておるよ。ティエム大司教。それは前々国王の祖父から小さい時に耳にタコができるほど言われていたことだ」
エドモンの父の前国王は聖女を嫁にもらわなかった。それをずっと国王の祖父である前々国王が文句を言っていたのだ。前国王のマティスの祖父は恋愛結婚だった。そのため頑固として前聖女エリシアと結婚することを拒んだのだと聞いた。そして前聖女エリシアもまったく結婚に興味がない女性であったため、2人が結婚することはなかったのだという。
ティエム大司教はマティスへと視線を戻す。
「一度お考えくださいませ」
「ありがとう。頭に入れておくよ」
するとティエム大司教が言う。
「もしかしてもう心に決めていらっしゃる女性がお見えでしたか?」
「え?」
「そのようにお見受けしたものですから」
「あっ……」
そこで黙ったマティスにエドモンが反応した。
「なんだ、そのような女性がいるのか? マティス」
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