妹が織田信長だった件。(1/5)
「きゃーっ!」
悲鳴が聞こえた。外からだ。
家の手伝いをしていた俺は剥きかけのイモとナイフをその場に放って駆け出した。
全力全開全速力だ。
通りを挟んで斜向いにある空き地まで飛んでいった俺は「やだー」と嫌がる妹と、妹の服を引っ張っている男の子を認めると、
「こらーっ!」
速度そのまま男の子に体当たりをかましてやった。
男の子が吹っ飛ぶ。
「おにいちゃーん」と妹が俺に抱きついてきた。涙目だった。
妹の年齢は7歳。俺の5つ下になる。
いま俺が体当たりで吹き飛ばした男の子は10歳か9歳か。妹よりも少し上で俺よりは下の年齢に見えた。
「いてて」
少し向こうで男の子が起き上がる。見た目だけ派手に転がっただけで特に怪我はしていないようだった。
「おい」
男の子に近付いて耳打ちをする。俺の背中にしがみつくように隠れている妹の耳には届かないように小さな声で。
「妹に手を出すな。これ以上すれば――お前の家が燃えるぞ?」
「え……?」
男の子は一秒間ほど言葉を失った後、
「うわーんっ!」
大泣きしながら走り去っていってしまった。
「ふんっ」と俺は鼻を鳴らす。忠告はしたからな。
「おにいちゃん」
イジワルな男の子が居なくなってようやく妹が俺の背中から離れた。
だがその顔はまだ泣き出しそうなままだった。
俺は妹を安心させる為、その頭を優しく撫でてやる。
「もう大丈夫だ。――信長」
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