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これだからド素人

第一部展延

剣の才能に導かれた自分が居る。


どうしても、負けたくは無い。


どうして、問題は無いはずだ。


お前はどうして、ここに居る。


そうやっていつまでもこのまま。


いつだってそうやって当たり前。


でも、身体が膣になる。こうして。


ああでも、恵まれている訳だ。


このペンが、愛に飢えている。


お前に名も無い剣帯を与える。


お前も剣に導かれるのだ。


お前がいつも目に余る。


だから、お前が好きだ。



愛している。

愛してやる

愛を求道して

憎しみに慾っする。

欲望に与ふる悪誕。


コロナワールドから出ると、私達は真っ直ぐ西に下っていた。不思議な事に、その道のりは緩やかで、夏日の籠る夕焼けの朝焼けた眩しさがあった。そこに、槍を持った狂人が立っていなければ..


「よぉ。テメェが聖杯代理人マスターか。」


「おっと、その手の勧誘は無しだぞランサー。いや、バーサーカーとでも言うべき代物か」


グランドランサーが告げる。短い英霊基の確認、いや、目の前の男の戦闘力を加味すれば、ここで戦って良いと言う確約にしか思えない。いや、待てよ。新しく仲間になりに来た可能性も…


「おいおい、俺の名前が知られてねぇとはどう言う事だ。この目が赤いのを見れば、俺がかの有名なコンラ様であると分かる筈だが…」

「それともアレか。躍起になって女連れ回して朝から晩まで拗らせてんのか。不思議な奴」


その言葉を遮るのは朝飯前。刀剣が背後に立っていた英霊から解き放たれる。


「おい、マスターの悪口はそこまでだ。私が許さないぞ、この白上フブキがな。」


「クク.其れ、俺が許さないと言ったらどうなるかな。」


刀身が湾曲する程の素振りで喉元に迫る太刀筋は、止まる。まるで夕焼けの赤信号に取り残された様な感慨がそこにあった。そして、今、何よりも危惧すべき意見として、聖杯、その代理人。いや、目の前のはフブキが相手してくれるからね。ほら、言ってる側から、穂先を上に斜に構えた槍を首の右から左に持っていくだけで、フブキ《セイバー》の太刀筋を()()集めてる。これは、一歩下がらなきゃなって、これが周りも微動だにせず見守ってるんだよ。ちょっとはVIPみたいに扱ってくれても良いのに。


手と手に籠める思いが乗ったか。先んじたのはフブキ《セイバー》、まあ、逸話というよりは語られた世界観からすれば、幼少期に名を挙げた英雄…いやそこは可愛いから多めに見られただけだろみたいな技量で、餅つきの要領で手を変え一歩も後ろに下がる事無く、目先まで槍を掲げるコンラとは、明らかに別人だ。でも、不思議な事に、猫背を極めた様な動きで、跡形もなく避けて行くセイバーの背中を見ながら、目の前に広がっていく光景にただ胸を張った。


「よしよし、及第点じゃねーか。この前、ウチの親父が潰した召喚直後の英霊にしちゃあ、上出来だ。」


「あ、其れ、傷付くから止めてよね。何も召喚直後の最大に警戒してる時に戦車で狙わなくても良いじゃん。あ、分を弁えたな。一本取られてでも、この仇晴らさずに居られないと思っていた。お前が後退するなら、私はマスター君を守るよ。それでも、わざわざ私にある最大の隙を狙わないなんて、お前、本当にクーフーリンの息子か。」

しがな一日中ゲームで遊んだ後の様な顔付きのセイバー、いや、体力だけなら割とアイドルってだけで他の人よりもあるからな。それにしても本物の戦士ってのは、こうまで軽々と獲物を扱うものか。不思議とこちらも目が慣れない。アレ、今の構えは_

「おいおいおい、そっちこそやめてくれよいきなり核心付くとか、明らかに狙ってるだろ。」

唐突に後ろから声がした。

「狙ってる。.先程の発言から、この槍使いの弱点は、今挙げた中に入っているのでは。例えば、そう、昔はその構えがやけに流行って、散々人殺しの道具として扱われた挙句、使い古されたテ、げふん失礼。今に廃れた戦法と。」


「英雄は、文字の中に眠る正しい栄養素を兼ね備えた作品の醍醐味/

瞬間、コンラの手には槍の穂先を魔力と解し、手裏剣術の様に、セイバー・『クー』へと解き放たれていた。喉元に迫る赤色の刺突は、真っ直ぐ首を狙って動かない速度でクーの戦杖に触れた。いや、触れたと言っても過言では無いスピードで、確かにクーが弾いた。宝具を、構えただけで既に。その翁の顔、失礼しますと言わんばかりに笑顔で、この上無い規模で起こるこの聖杯戦争の開幕の狼煙と揚げていた。


ウォンーー オゥー


誰が裏切り者なのか決めるゲームで、こんな都市伝説があった。最初に人狼を始めたプレイヤーは全て見える位置に居るものをそう名付けたのでは無いかと。そしてそれは、たった一つの特殊な事例により破れれる。


フェンリル。それは。


「百人の神々に告げる。諺の領分を取り沙汰されよ。四方の泥人形に奉る。この世界の穢れなき禊ぎ祓い給え。」

「いや、しかし、一々召喚術式を言わないと動かないとか。神霊の中でも別格の存在なんじゃ無いでしょうか。」


ただ一つ、言葉の序列を覆し得る建前。たった一つの基本願いをさえ、食い破る正真正銘の垂の槍。ある意味、願いを裏切るその信仰とは。


「願い(信仰)はいつまでも食い物さ。キミの腹の中だって、いや、分からないかもしれないよ。」



「ああ、この遠吠え?帰って来いって言う合図なんだよ。ウチは全員躾が良いもんでな。いや、分からんぞ。俺達とお前だけかも知れんな。」


最後に意味深な事を言って、霊体化して消えた。


「あ、ここ、聖杯から直接聴いた所だ。えいっ。鳴らせ。神天雷叢ゴッド・フューム。廻り巡る世界を一呼吸に。」


震える腕。鞘からの不可視の圧力を通り越して、今、消えた刃紋の一つが虚空の流れを遮る巨大な土猫となって、目の前を通り過ぎた英霊の霊基を刈り取る。


「宝具。」

思わず声が漏れていた。いや、この様な宝具は後にまで語られる程の奇跡は無い。と言うより、明らかに化かしに掛かっている妖怪の類。そしてこれは僕の所感だが、あのネコ、剣道をやっている。


「.と」


いきなり宝具の洗礼。ここで落としておきたいのは山々だけど、いや、先程の発言が正しければ、これはいつぞやに見る召喚術式のオンパレードなのでは。先ずは、相手マスターと会って、茶を飲んでから、一緒に剣道でもやらないかと誘う。これだ。



「アチアチ.いきなり霊基が消滅しながら燃えてる?!これはもしやあの全身攻撃形態の大戦争!?」

「オオー.燃えてる。今さっき飛び去ったばかりの斥候が爆弾に包まれて亡骸になってる。令和を以て命ずる。汝、その(溢れ出る槍の)魔力で自身の霊基を補強せよ。」

ピキーン


「霊基が戻りました。申し訳ない。相手が何も勝手なく英霊を周りに侍らせて居たので、つい止めてしまったのも止む無し、明らかにコレ(宝具)の事を軽視した。」


「「いいよイイよ〜、どうせ次やられたら壊滅だかんね。私達の理想のスイーツアニマルライフが駄目になるだけだよ〜。」」


フワワとモココ、古代シュメール地方の神話にて実しやかに語れる名の前の大通り、其れは、確かにこの世界において、間違いの無い“聖杯”の在処なのであった。


それは、長い旅時の果てにゆっくりと話をする様なそんな感覚。


「おい、エンキキングゥ、お前は何方の小娘を選ぶ。オレはただ一つ、この世界の発端として、この先にある全ての聖杯を獲得してやらんことも無い。」


「さぁさ、僕には分からないよ。キミの言う通り、コレが間違いの無い神話の双子なのだとしたら、そう、これは僕とギルの問題さ。」



「おや、何やら雲行き々怪しくなってきましたな。今日はこの辺りで、他の人にでも任せて、先に行きなさいな。何。家に帰れるだけ帰って、また明日、私から吉報を聞くと良い。今日は映画を見て楽しかったな。戦場はこれだから分からない。」


戦神の漏らした兆候、たった一つの夜明けを介して、聖杯戦争は第二次へと移り変わる。


「ところで願いって何だろう…」

「私」

その時、オレの脳内が激しく沸騰し始めたのを感じる。そう言うなれば、クールタイムだ。


「自我の問題か。それは僥倖。おかしな兆候としては、俺の存在だ。」


これが冠位。?そうだなぁ…そろそろ行きの電車が一周回って戻ってくるところだ。


「誰もツッコマねぇのか。冠位さんも大変だなぁ…そうだ。俺に槍術でも教えてくれよ。損はさせねぇぜ。」


ホイっと言うまでも無く六呪星の呪い.え?もういっぺんやって?


不思議なことにこの男、霊基が今も尚変動している事だ。莫大な霊基格なのは伝わるが、霊退化しても意味ない位の神霊マスター性能を宿している。お菓子、はいコレ。何コレクッキーじゃん!?大層喜びような黒上フブキを置いて、電車は回り始める。その時、不意に自分がここに居ない感覚に襲われ_気付くと、そこはお相手様の屋敷であった。アレ?なんか“化けキノコ“が塀を伝ってこちらを見ている?


貴方は仲間にしますか。はい

           ▷いいえ


「お前、何処から入った!!?うるさい獣は、クー・フーリンだけで結構です_」

「でだ。言ってやったのよ。”武人の無頼棒ゲート・オブ・アヴァロン“だってな。」

「ギル。いきなり掃射はダメだよ。こう言うのはじっと歩み寄らないと。」

「いきなり何すんだすっとこどっこいが!!」

「そうだそうだ」

男は何気ない顔で縁段に寄ると、フワワの顔に香ばしい頬を伝わらせた。

「何!?」

「お前はここで殺すのが惜しい。出歩くまでは分かるが、なぜ今に至って、ここに居る?お前ほどの神霊マスターであれば、匿う物も持っては居ますまい。」

「ギル、向こうのマスターが熱心に何やら忙しいね。僕らは聖杯をちゃっちゃと強奪せしめよう。そして…」

「「俺達がアイドルだ。」」


「〜って処までは覚えてるんでちゅね。」

大きな包帯が巻かれた俺の頭をわしっと捕まえ、血の滴る良い男、其の御尊顔は ̄


「俺がアイドルに」

「なってしまっているというわけなんでちゅね。」


霊体化の解除。そうして、また一つ新たなトリビアが_


「で、だ。俺がお前のせいで父親の勲を思い出したのは、許さねぇ…」


強靭な手脚に枷と嵌められた肢体の魔力、止まりながらに戈を動かす道程でもなければ、其の行いはただ無駄になるであろうと、決められた世界の話。また一つ、大人の階段を上るコンラと其の目の前の後ろから何やら意味ありげな視線を送ってくるフンババ達が、やはり、今回の聖杯戦争の主役だ。僕は、何の願いも持たず、『そして、私に其の願いを奪われた』何の生きた意味さえも面白みに溶けて行く白樺の裾。


目を瞑る。いや、瞑っている間、外で何やらおかしな剣戟が繰り広げられているのを見知った。そう、これは、"験担ぎの両刀"。手足を自在に動かし、其の獲物で仕留めるロマン…そして敗北の彼方と、僕でも勝てるよ。だって、剣は負ける為に取る物だから。


槍が目の前を横切る。先程見せた魔槍の類か、しかして、届く、この距離は、そこだ。足元が取られるようならこちらの勝ちだ。しかし、妙だな。お前の其の眼、まるでどこか遠い獣を見遣る瞳のうららか。


感覚。そう徒手空拳で槍を捌く技量。穂先から前を丁寧に手の甲で捌き切る。いや、右手首だったけな。この妙な間合いの侵入は_"抉り穿つ魔槍の剣"真っ直ぐに心臓を狙って来やがる親父と一緒、狩ると決めた獲物は一撃で仕留める其の心臓に原型はない。


「おかしな霊基だ。お前の其れは、単に敵の得物を前提としている。そして、何よりもカンに触るのがっはっっ……」


開戦間も無く開けた自身の敗北を悟るまでも無く、コンラは実にいい気味だと溢した。



(案ずるな。心臓だろ。抉り穿たれてもまた再生する。お前が真の槍使いならば。)



手を翳す槍を抜き取る。魔力でできた網の目は、幾重にも防護布が施されてある。それで血を拭って、目の前の敵を赤目で睨め付ける.

「よお、俺の心臓はどこにある?ああ、悪かったな。テメェの胸の内だ。親父でも無ければ必殺にはならねぇだろうがよ。」

「「其れは」」

「其れが俺に与えられた使命、この先の聖杯で待つ幾人ものアナザー・プロトタイプ。其の内の一騎にお礼を言ってないお前はここから帰れ。」

「槍だな。」

「それだけだ。」


「令和を以て命ずる。コンラよ、今すぐ下がって、こちらの相手をしなさい。其のような傍若無人な男の槍の勲は、そこの白髪の狐に任せておきなさい。」

女は、仮にも土壇場で使う言葉を見誤った。

「神霊・イザナミだ。そこの男は私が殺す。一番槍だ。」


「そういう訳だ。目を閉じな。男なら、じっと我慢しておけ。」

謎の化けきのこは続けてこう告げる。汝、三大の言霊を纏う七天。抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ__。


「お前を、聖杯でチュ。」


「メルトダウナー・パンチュ」

ゴジしゎは、放った火球を世界の裏側まで届けた。


「何故か分からないならそこで正座でもしてじっと待ってるでちゅ。」


でちゅんちゅんでち


きのこは小惑星となった。この世界に瞬く間に照らされた光景は、舞台を明転させるには十分なほどの火力だった。



翌朝、きのこ雲が観測された。


毎日を駆ける自らに嗄れた声が寄せるそれでも声は次第に遠く人々を包み込んだ。


その息吹は何よりも熱く何よりも酷かったという


声がする。君が何よりもかけがえの無かった人達を奪ったんだよと君も言うのかと


そして、舞台は再びの暗転を繰り広げた。


勝ち目のない戦いに挑むのか。


君はもうすぐ離反するよ.


あの手この手を使ってでも勝ちを得る


聖杯は誰にもわたしゃしない


俺が君を誘うまで


俺がお前をぶん殴るまで


お前が世界を手にするまで


そうして一向は東へと向かった。


あの日のことを覚えている。


「君が悪いんだよ。」


「君が世界を手放したから」


「世界は君を放っておかないと思うから」


そうして俺はパジャマを脱いだ


第n仏

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