初めてのナンパ(1)
「異世物語」初段 その一
〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️
今回は、Nの子供時代のエピソードである。
没落したとはいえ、元が極めて高貴な家であったため、Nは領地をいくつか持っていた。
ある日、Nは、タカガリをするといって、ボデイガードや従者たちをを伴って、「霞のかかる地」と呼ばれる領地に出かけて行った。
「霞のかかる地」は旧都にあり、寂れた田舎だったため、魔物が繁殖していたのである。
ちなみにタカガリとは、戦闘能力の極めて高い凶暴な魔鳥に、魔導師が洗脳操作を施し、魔物を狩ることである。
当時、魔鳥による狩猟は、身分の高い男のステイタスとされていた。
Nはまだ十二歳だったけれど、長男として大きな期待をかけられていたためか、早熟で、大人びた言動をすることも多かった。
N自身も、自分はいっぱしのオトナであると自負する気持ちが強かったのだろう。
どんな状況に遭遇しても、自分が理想とする「大人の男」の振る舞いをするように、自分を厳しく律していた。
そんなNが、自らの所領である「霞のかかる地」で、この世のものとも思われぬほど美しく、艶かしい姉妹を見つけてしまった……
️〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️
「イセ姉さん、何書いてるっすか?」
「やばい男の話」
「ああ、次の同人誌の原稿っすね。ヨシコ様も楽しみにしてるって言ってたっすよー」
「そうなの? プレッシャーだわね」
「今回のネタは何すか?」
「背伸びしちゃった美少年」
「ショタですかい。姉さんにしては珍しいジャンルっすね」
「いや、どっちかというと、やばい厨二病かなー」
「ほうほう。痛そうで、いいっすね。仕上がり待ってますよ!」
️〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️
参考文献…「伊勢物語」初段
*N……在原業平っぽい誰か。
*霞のかかる地……旧都となった奈良の春日。
*鷹狩り……異世界の翻訳者によって魔鳥とされているけれども、普通の鷹で、魔物を狩ったりもしていない。そもそも奈良に魔物はいない。
*イセ姉さん……伊勢。藤原継蔭の愛娘。中宮の温子に仕えていた。恋多き女性。
*ヨシコ様……藤原温子。宇多天皇の中宮。伊勢とは切磋琢磨しあうライバル関係でもあったらしい。




