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Sonora 【ソノラ】  作者: じゅん
アフェッツオーソ
67/319

67話

 以前、放課後一緒に行ったカフェでいきなりシルヴィに言われた。


「あたしさ、ピアノってよくわかんないけど、ベルのは温かくて好きだったんだ」


 あまりにもいきなりのことで、あたしはびっくりした。もうピアノを止めてしばらく経っていた。最近知り合ったばかりの彼女が、自分の演奏を知っていることに驚いた。ピアノとかよりもギターやドラムを好みそうなのに。


「だってお前、自分が思ってる以上に有名なんだぞ。少なくとも名前くらいは皆知ってるんじゃないか?」


「ええ、私も聞いたことはあるわ。コンクールを総ナメにしてる『ベル・グランヴァル』と言えば、ちょっとした有名人よ。確か同じ学年にファンだっていう子もいたはずだもの」


 同意するレティシアにもちょっとびっくりした。でも、美人なレティシアの方がファンとかいそうだけど。


「興味ないわね」


 一刀両断ですか。


「あたしのファンは?」


「そんなの幼馴染に男子が多いんだから、そっちに聞きなさい」


 うーん、あたしはシルヴィみたいに元気な子がタイプの子もいると思うよ! 元気出して!


「ホントか!? なら、この三人なら向かうとこ敵なしだな! でもそれじゃ二人はどんなのがタイプなんだ?」


 いきなりそう言われても……レティシアは?


「そうね、『好き』って言ってくる男性より、自分から盲目的に愛せる男性かしら。とりあえず今のところはいないわね」


 なんか……すごいイメージ。でももし現れたら、その人って他の男子から妬まれそう。


「身長とか高くてワイルドで年上に五ユーロ!」


 え、レティシアの恋人予想にお金賭けるの!?


「勝手に予想立てないの。でもなら、シルヴィは……スポーツ万能のバリバリ体育会系に五ユーロ賭けるわ」


 レティシアまで! じゃあ……あたしはどんな人だと思う?


「太鼓とか叩く人」


「ソリストかしら」


 やっぱり音楽なんだ。でもごめん、あたしもうピアノは――


「止めたらしいわね。ファンの間でも理由解明がなされていないらしいわね。なにしろいきなりだったから」


「もったいないなー、せっかくそこまで練習したのに。あたしだったらピアノ練習とか絶対発狂してるぞ!」


「シルヴィには絶対に『演奏する』という動詞を使うことはないわね」


 そ、そこまで……? でもごめん、やっぱりあたしは……わかんない。でも音楽に関する人ではないと思う。


「だったらクラスのギィ君なんて合ってるんじゃない? なんか知らないけど『胸は手に収まるくらいが』とかなんとか言ってたじゃない」


 それって、あたしが胸が貧しいってこと!? 確かにレティシアは大きいけども!


「まぁそれが好きなヤツがいるってわかっただけでも収穫だろ」


 ていうか……案外シルヴィも胸、あるよね。レティシアはともかくシルヴィまで……。


「そうか?」


 ちょ、ちょっと! 公共の場でいきなり自分の胸揉むのは!


「やらない方がいいわね。さすがに」


「じゃあレティシアのならいいか?」


 余計ダメに決まってるでしょ!

ブックマーク、星などいつもありがとうございます!またぜひ読みに来ていただけると幸いです!

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