301話
しかしふと、その中で気になる飲み物をサキナは発見。
「マテ茶? 飲んだことないですけど」
首を傾げて過去に遡ってみるが、たぶんない。どういう味なのかもわからない。名前は聞いたことある。なんとなく、イメージするカラーは黄色。黄色いお茶。
たしかにヨーロッパではまだまだマイナーであることはリオネルも認める。モチノキ科の潅木の葉や枝を原料としたハーブティー。タンニンやカフェインも少なく、苦味は強い。
「まぁ、南米ではメジャーかな。プロのサッカー選手とか、スタジアムに入る前に丸い形の容器を手にしてるのを見たことない?」
サッカーのカタールワールドカップで、アルゼンチン代表が五百キロほどのマテを持ち込んだ言われるほど愛飲されており、回し飲みすることで仲を深める、と言っても過言ではないほど。
グアンパというカップと、ボンビージャという金属製のストローで飲むのが一般的。おかわり用に大容量のステンレスボトルを持ち歩く人も多く、そして持ち方にも、素手で抱える『ウルグアイ式』、専用のバッグに入れる『アルゼンチン式』などがあるほど愛されている飲料。
が、フランス人の誰もがサッカーに熱狂している、というわけでもない。それはサキナも例に漏れず。
「ないですね。試合は観てもそんなとこまで見ませんよ」
球技とかよりはフェンシングとか。ルールはシンプルなほうがいい。何回教えてもらってもオフサイドが理解できずに諦めた。
歯痒さを覚えつつもリオネルは一応、理解を示す。
「うーん……まぁ、そうだよねぇ……ともかくマテ茶は『飲むサラダ』って呼ばれるくらい、鉄分やミネラルなんかが多く含まれていてね。健康にとてもいいわけだ」
「マテ茶もいいっスけど、一番は紅茶っスよねぇ。香りだけで落ち着くっス」
そこに割って入るのはアニエルカ・スピラ。ちなみにマテ茶は好き。




