表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Sonora 【ソノラ】  作者: じゅん
スケルツァンド
289/319

289話

 正反対に年齢よりも幼く見えるシャルルは、あと少しで卒業する初等部の制服にまだ『着られている』状態。そんな彼は花のこと。それについて話す時、饒舌になる。


「南北アメリカや中南米が原産のキク科の花なんです。夏から秋にかけて咲くことから『百日草』とも呼ばれています。色々名前はありますが、花の名前が店名というのも嬉しいですよね、なんだか」


 そして、そんな自分に気づいてなんだか恥ずかしくもなる。どこまで語っていいのか。わからないけども、語りすぎて変なやつに思われないか。身を強張らせる。


 少年が嬉々として説明するので、聞いている側のレティシアも楽しくなってくる。


「そういうものかしら。ま、私からしたらなんでもいいのだけれど」


 なぜなら。好きだから。彼のことが。混み合う街を、まるでランウェイかのように煌びやかに。


「……レティシアさんが花に興味がある、とおっしゃったから来ているわけで……」


 なんだか身の危険を感じるシャルル。対照的に曇りがちな表情のまま進める足取りは、沼にハマったかのように重い。


 たしかに興味はあるし、花のない生活は考えられない。フランス人だし。だがそれ以上にレティシアにとっては、この少年と一緒にいることこそが最重要なわけで。


「あるわよ。なんだかシルヴィもお父様のお手伝いをしていると聞いたし、私だけ除け者にされるのは我慢ならないでしょう?」


 それ以外にもこんな理由でも。シルヴィがやるなら自分も。なんとなく対抗意識。女の勘だけど。あの子のほうが一歩、いや半馬身差くらい先に出ている。いや絶対。そんな匂いがする。


 ……その予感にシャルルは少々ドキッとする。だが、それは顔に出さないように。冷静冷静。


「でしょう、と言われても」


 女性の勘は侮れない。ベアトリスの場合は女性というより姉の、なのだろうか。なんにせよ、常に注意していなければ。いや、なんでことに。腑に落ちない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ