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Sonora 【ソノラ】  作者: じゅん
モレンド
275/319

275話

 そうこうしているうちに、どうアレンジメントするかを決めたサキナが一式をテーブルに置く。だが——。


「はいはい、それじゃ準備できましたよ。これ探すのに手間取りましたけど」


 用意されたもの。それは、チェスの駒ほどのサイズと形をした、ガラスの花器。透明度が高く、小さいながらも芸術品。


「これは——」


 それはシャルルですら、店にあることを知らなかったフラワーベース。見たことはある。聞いたこともある。だが、実物があるとは思ってもいなかった。


 デンマーク王室御用達、北欧ブランド『ホルムガード』。そのオルドイングリッシュシリーズ。ガーデニングの専門家であり、花の芸術家でもあるクラウス・ダルビーとで共同開発された、いわゆる『ソリティアベース』と呼ばれる一輪専用の花器である。


 完全ハンドメイドであり、若干の個体差が存在するが、それこそがこのブランドの魅力でもある。どんな空間にも溶け込む、シンプルかつ気品のある職人の逸品。


 ということはつまり、必然的に選ばれる花も一輪なわけで。イメージと違ったサミーは眉を顰める。


「……これだけ? オーキッドっていったらこう——」


「大袈裟でデカデカと場所を取る感じ、ってことですか? 変わりませんて、たくさん使おうが一輪だろうが」


 伝えたいことが伝わればいい。それがサキナの根底にあるもの。なので今回はこれだけ。シンプルだし、ごちゃごちゃとするよりもだいぶ好き。


 しかしシャルルとしてはその口調に違和感を覚える。


「もう姉さんの代わりってこと忘れてますね……」


 そういう設定だったはず。もう触れなくてもいいのかもしれない。


 そういえば、とサキナも目を丸くする。が。


「いいからいいから。細かいこと気にしてたら大人になれないよ」


 すぐに切り替え。きっと向こうも私らしく、なんて喋っていないだろうし。でもちょっと見てみたいかも。明るく振る舞うベアトリス。

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