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Sonora 【ソノラ】  作者: じゅん
モレンド
273/319

273話

 なんとなく、そんな少年の考えがサミーには読める。〈ソノラ〉に関わる人物。リオネル、ベアトリス、あとサキナ。一筋縄では行かない人々。


「だから誰よりも先頭に立って、こうしてほしいあぁしてほしい、というのを伝えられる人物が優秀な映画監督なのかもね。一例だけど」


 そのために彼は、自身の作品を何度も何度も見返して確認している。そして他者に要求することも、ただ単に『こうしてほしい』ではなく『こうすることでこうなるから、だからこうしてほしい』と伝えることにしている。気持ちを落とさないために。


 言葉というものは本当に難しいもの。伝え方ひとつでプラスにもマイナスにもなる。主張の強いフランス人相手が多い。迷いは伝播するから、監督は独裁するべき。しかし独裁者であってはいけない。監督というものは、ただの役割。


「悪い脚本、というものはないと私は思うね。観た人がつまらない、と感じたならそれは制作した側のミス、失敗。脚本にルールはあるかもしれないけど、映画にルールはないんだから、いくらでも味付けは変えられるし」


 だからいつも、出来上がった作品でも自信がないことのほうが多い。絶対面白い、はずなのに、まだなにかできる気がして。できた気がして。


 なんとなく、この人と働くことができる人達は、とても幸せなんだろう。まだ少ししか喋ったことのないシャルルではあるが、会話を通じてそういった波長が流れてくる。


「花も、全ては活け方次第ですからね。枯れた花も、ドライフラワーとして人気がある。むしろそれにしか出せない味がある」


 咲き誇っている花もいいけど。枯れた花もいい。やっぱり花は難しい。だから面白い。


 まだCM2くらいのはずだが、この子は随分と大人びている。サミーも会話を通じてそう認識した。


「……シャルルくんは、映画監督に一番必要なものってなんだかわかるかい? 色々あると思うけど」


 おそらく、これは共通していることなのだろう。人それぞれ、とはならないものがひとつある。

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