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Sonora 【ソノラ】  作者: じゅん
モレンド
260/319

260話

「落ち着け……落ち着け……今まで私がやってきたこと——」


「やってきたこと?」


「ぅわぁッ!?」


 背もたれに寄りかかり、上向きながら目を瞑っていたベルだったが、開けた瞬間、目の前に少女の逆向きの顔があった。いつの間にか背後から接近していたらしい。同じ学校の制服。少し幼い。


 前に回り込み、驚かせたことを軽く謝罪をしながら、少女ははにかんだ。


「ごめんごめん、なんだか集中してたみたいだからさ、どう話しかけるか迷って」


 その結果、覗き込むようになってしまった。だが、他人の驚愕や仰天する様を見るのは好き。なので確信犯。


 呆気に取られつつも、時間をかけてベルは落ち着きを取り戻す。初対面ではない、一度だけ会っている。


「……ふぅ、えーと……?」


 でも名前、なんだっけ? フランス人ではないから、微妙に覚えづらくて。たしか——


「リディア・リュディガー。ケーニギンクローネから留学で来た。前に会ってるよね、ベル・グランヴァル。ブリジットから聞いたよ。花を音に変換できるんだって? 興味あるなぁ」


 先ほどと同様、リディアは細かな情報も漏らさないよう、顔を間近に寄せる。鼻先が触れそうなほど、吐息がかかるほど。


 彼女の言葉通り、少し前にブリジット・オドレイを介して二人は軽く会話を交わしていた。そのため知らない仲、というわけでもないのだが。


「う……」


 突然のことすぎて、ベルにはまだ状況を素直に受け入れることができない。距離感の近さに戸惑うというか、普段はそうでもないのに少し人見知りしてしまっているような。


 あくまで余裕たっぷりなリディアは、携帯の画面に映し出された映像に食いつく。


「? どうしたの? 動画?」


 聴いたことがあるような、そんな曲が流れている。ピアノ曲。残像が出るほどに速いタッチ。詳しいことはわからないが、たぶん上手いのだろう。恐ろしく。素人だが、それくらいはわかるほどに。

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