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Sonora 【ソノラ】  作者: じゅん
モレンド
257/319

257話

 そこにちょうど、男性客が店内に入ってくる。ドアベルが鳴り、音が生まれる。静かにドアが開く。


「……なにごと?」


 ただならぬ雰囲気を感じ取り、一歩その場で後ずさった。職業柄、空気を読むのは得意なほう。むしろ読めないと仕事が滞る。ゆえに、なんだか異質なものを肌で感じた。


 ここは自分がなんとかせねば。シャルルは気を取り直し、接客に応じる。丁寧に。落ち着いて。


「こんにちは。ご予約の方ですか?」


 だとしたら指名されていたのは姉。果たして大丈夫なのか、という緊張は持ちつつ。


 虚をつかれたが、男性は軽く挨拶をしつつそのまま店内へ。


「あぁ、そうだけど……たしかリオネルのところの子だよね、キミ」


 キミ、とはシャルルではなく姉、のほうを見ながら。少し戸惑いの目で。リオネル・ブーケとはビジネスでの付き合いがあり、そこからプライベートでの親交に繋がった。そんな彼からここは以前紹介されたわけで。


 しかしサキナはその問いを正すべく、注意を挟む。


「私は今日はベアトリス・ブーケということになっています。どうぞベアトリスと呼んでください」


「……どういうこと?」


 全く意味がわからないため、男性は首を傾げた。この子はサキナ・ラクラルさんなわけで。〈クレ・ドゥ・パラディ〉で何度も会ったことがある。間違えるわけがない。


 痛いほどその気持ちがわかるシャルルもそちらに同調する。


「僕にもなにがなんだか……」


「ま、とりあえず座っちゃってくださいな、サミー・ジューヴェ監督」


 少し素の自分を出しつつ、サキナはイスへの着席を促した。

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