241話
「調べたけど、ガーランド型のネット入り、どこも取り扱いがないわ。あまり売れなかったのかもね」
オードによる非情な宣告。だが考えてみると、結婚式の花はみんな持って帰ったりするため使う必要はないし、基本生花やフォームは屋内専用だ。屋内であればスワッグや、普通に花瓶などにアレンジメントすればいいだけ。
悲しいがベルも同意するしかない。重い嘆息。
「……たしかに、使い道が狭い、かも」
だが、同じことを考えた人はいるということ。つまり需要は細いがある。それだけが救い。
なんだかすごい申し訳ないことをしてしまったような気のするオードだが、事実を伝えただけ。私は悪くない。
「ま、ガーランドはこんなもんね。何個も何個も作って、それで覚えるしかないわ。この時期だけだから、来年には忘れてるかもだけど」
少しでも気を楽に。指先が不器用というわけでもなさそうだから、すぐに作れるようになるだろう。
それでも。まだ道はある。ベルは最後まで諦めたくない。思いついたことは失敗するまで。
「……ちょっと、待っててもらっていい? 少しだけ、すぐ戻る!」
それだけ残し、急いで階段を降りて行った。ないなら、それならそれで手はある。
いい? と聞かれたが、答える前にすでにいない。ひとり取り残されたオードは、去っていった方向目掛けて遠い目をする。
「……あの子も血筋はジェイドと変わんないわね……」
たぶん、家系を遡れば、どこかでぶつかるのだろう。あたしはそういうのを引き寄せる力でもあるらしい。




