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Sonora 【ソノラ】  作者: じゅん
ヴォランテ
240/319

240話

 だが今回はカルトナージュでの依頼。難易度はそれなりに高いらしいが、そこに信頼関係をベルは感じた。


「でも、オードならできる、ってジェイドは任せてるわけで」


 そこが問題。できるギリギリのところを無意識に突いてくるそのいやらしさ。オードの悩みの種。


「全く、簡単に言うなっての。それなのに今のところ、リターンがないのよ。ギブとテイクがね、バランス悪い」


 充実感はあるっちゃあるけど。それは言わないでおこう。


「うーん……まぁ、私にはどうにもできないわけで……頑張って、としか」


 応援はできる。それだけ。ベルはそれだけなら全力でやる、と心に誓った。役に立つかは別として。


 あいつにもこれくらい、他人を思いやる気持ちがあればね、とオードはないものねだり。


「ま、やるだけやってみるしかないか。ベルもま、上司と上手くいくように祈っとくわ」


 心の中で祈るだけ。特になにか行動をするわけではないけど。


 上司。花。ガーランド。いくつかの単語がベルの胸に去来する。そして思いついてしまった。どうしよう。言っていいのかな。いい? いいよね? 言っちゃえ。


「……ねぇ、もし、もしもなんだけど。ガーランドにフローラルフォームとか、つけたらどう、かな? そういうの、聞いたことある?」


 ベアトリスさんに言ったらなんと返されただろうか。でも言うだけ。手芸の点から聞いてみたくなった。が。


「……たしか、ないこともなかった、はず。ネットに入って、結婚式なんかでは使われてた、ような……」


 そっちは本職ではないため、オードも聞いたことがある程度。というか知っときなさいよ。二回目。


 長い期間飾っておくため、適してないことはわかってはいる。だが、あまりやられていないからこそ。自分はフローリストなのだから。ベルは挑戦したい。


「普通はエバーグリーン、こういった常緑針葉樹を使うってのはわかるし、これなら数ヶ月間楽しめるってのもわかる。生花ならドライフラワーになっていく過程も。だけど、フラワーアレンジメントと同じようにやってみたい」


 花は自由。自由は楽しさ。それを知ってしまったから、やって後悔なら望むところ。たぶん、シャルルくんも「うわぁ……」みたいな目で見てくるだろう。


 なんとなく『覚悟』のような、プロフェッショナルな心意気をオードは察した。そして携帯でなにかを検索。


「それはもうあたしの仕事じゃないわね。〈ソノラ〉で聞くべき。生花だし、普通はやらないから。それにほら」


「? ……あっ」


 見せられた液晶画面。そこに出てきた文字を見て、ベルは気落ち。

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