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Sonora 【ソノラ】  作者: じゅん
ヴォランテ
227/319

227話

 その細く白い指先から放たれる、煌めく粒子。羨ましい、という欲望がブリジットに侵食してくる。


「……私も花のこと詳しくなれば、もっとショパンに近づけるかな?」


 貪欲に。手段はなんでも、もっと彼のことを知りたい。これは恋のようなもの?


 オススメは一切しない。だが、共有できたらベルとしても嬉しいが。


「覚えることも多いよ。ピアノの練習時間も減るだろうし。ただでさえリースとか、指先での細かい作業が——」


 と、作業を脳内で映像化したところで、動きが止まる。細かい作業。指先で。チクチクと。それは、ひとつの可能性を押し広げるもの。


「? ベル? どう、したの?」


 突然。いや、突然の奇行に走ることは今まで何度かあったので、ブリジットとしては反応に困る。またなにかするんだろうか? だが、より深く思考に潜るようなその姿に、声のかけ方ですら迷う。


 また室内を歩き出すベル。このほうが考えがまとまるらしい。自分なりの発見。


「……ねぇ、ガーランドとかリースって、色々な道具を使うよね……? 布とかワイヤーとか」


 問われたブリジットは、咄嗟に想像してみる。作ったことはないのであくまで想像。


「うん、まぁそうだと思うけど。固定したり貼り付けたり、とかもあるんじゃないかな」


 形からするに、そういったものを使用する。はず。


 間髪入れずに、さらに問い詰めるのはベル。誰か自分の予想に賛同者が欲しい。


「てことは。それは『手芸』ってことだよね? 切ったり縫ったりする」


 そのはず。むしろ、花よりもそちらのほうが近いまである。造花を使う時点で、花屋だけに限定されていない。どこにでも売っているものだ。


 いまいち把握しきれないブリジットは、答えへの最短ルートを模索した。


「そう……なのかな。なにかアテがあるの?」


 アテ。そう、アテがある。神の導きに感謝するべき出会いがベルには。


「……いいこと思いついた……!」


 その顔は、八区の花屋の店主の悪い顔によく似ている。

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