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Sonora 【ソノラ】  作者: じゅん
マルカート
200/319

200話

《映画『SEVEN』でサマセットが言っていたな。感情で生きているヤツは面白い、と。まさにキミだ》


 言っている意味は全くわかりませんでしたが、電話で伝えたところ、お会いできることになりました。ありがたいことです。最近は、サロンや大きな会場などの花がメインで、個人のアドバイス的なアレンジメントはやっていないそうですが、面白そうとのことで引き受けていただけることになりました。


 しかし、自分は花を購入したいわけではないのですが、大丈夫でしょうか。もちろん、なにかアドバイスをいただけるのであれば、M.O.Fの方の花。しかも、もうあまり個人へはやっていないとも言いますし、喜んで買わせていただきたいのではありますが。


 後日、学校終わりに寄らせていただきましたが、店内では本当にバッハの曲がかかっていました。ですが、不思議とマッチしていて、クラシックをやらせていただいている自分としても、非常に落ち着ける雰囲気で安心しました。


「話は聞いた。好きな子がいると。安心しろ。愛の伝道師、リオネル・ブーケ様に不可能はない。モテて仕方ないから、このモテ力は誰かに分けなければ、と思っていたところだ」


 自分も言ってみたい。妙に演技がかっていますが、こういう人でもM.O.Fは取れるのだな、と勉強になりました。


「俺くらいになると、最早相手の名前の聞こえだけで、どんな花が喜ぶのかわかる。そこから顔や好きな男性のタイプまで。M.O.Fでもできるのは相当限られてくる。任せてくれれば、最高のアレンジメントを用意してやろう」


 とのことなので、名前を伝えてみました。よし、これで上手くいくぞ。


「無理だ」


 無理だそうです。


「俺は神だが、神にも無理なことはある。その子はたぶん、年下で背が低くて、ぬいぐるみのように扱える、眼鏡の少年がタイプなはずだ。キミとはかけ離れすぎている。残念だ」


 えらく具体的に無理だと伝えられましたが、自分としては諦められるはずがありません。そこをなんとか、と食い下がりました。


「俺の弟子が八区で花屋をやっている。そっちのほうが、恋愛ごとには詳しい。電話しておくから、そちらに行きたまえ」


 愛の伝道師だと言っていた気もしますが、たらい回しにされました。しかし、望みが完全になくなったわけではありません。お弟子さんのほうが適している、とのことでしたので、紹介していただいて、そちらへ向かうことに。お店の名前は〈ソノラ〉というそうです。

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