175/319
175話
第九、と言って思い浮かぶのはベートーヴェン。しかし、実はヨーロッパで演奏される機会はあまりない。頻繁に演奏されるといえば、年末の日本もしくはドイツのライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団くらいなもので、この曲は特別なものとされている。
第四楽章『歓喜の歌』とも呼ばれているが、欧州連合では『欧州の歌』としている。晴れの舞台で演奏される曲として認知されているため、指揮をしたことのないプロの指揮者も多い。ヨーロッパの年末はヘンデルやバッハのオラトリオが習慣化している。
そして曲には意味がある。作曲家の背景、時代が必ず関わっており、なにかしら伝えたいことがあるからこそ、作られたわけで。ならばその特別な曲、ベートーヴェンはなにを伝えたかったのか? ということに関しては、本人不在のまま答えが出ている。
アレ・メンシェン・ヴェルデン・ブリューダー。つまり『人類、みな兄弟』。なぜここだと言えるのか? それについては、とある技法が関わってきている。




