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127話
名言に心当たりがあるベアトリスは、その考えに同意する。
「アーネスト・トンプソンですね。実はバラに棘がある理由は、よくわかっていないんです。茎が自立しないため、フックのように引っ掛けて上へ伸びるため、なども言われていますが、実際のところは謎なんです」
結局、花のことを完全に知ることはできない。ただ、自分達に都合のいいように解釈するだけ。
ひとつ、許可を得て手に取り、サミーはバラをまじまじと眺める。棘が指に食い込むが、どこか懐かしさが甦る。
「なるほど。外敵から守るため、かと思っていたが、違うんだね」
いいことを聞いた、とでも言うように、心にメモする。いつかどこかで使えるネタかもしれない。
「虫なんかは全然関係なく食い荒らしますからね。全ては長年の研究の結果です」
動きに反応して、その鋭いフックが食虫植物のように伸びればいいのだが、そういうわけでもない。残念ながら、とベアトリスは苦笑する。




