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Sonora 【ソノラ】  作者: じゅん
コン・アニマ
124/319

124話

 夜。シルヴィも帰宅、というより無理やり帰し、軽く食事を済ませ、あとは寝るだけ。だが、姉はまだ店のイスに座り、天井を見ながら何かを考え込む。力が抜け、寝ているかのようにも見える。


 そこへ、階段を降りてきたシャルルが声をかけた。


「どうしたの?」


 その要領を得ない問いかけに、ベアトリスはムッとする。


「なにがだ?」


 やっぱり、とシャルルはひとり納得。


「機嫌よさそう」


 なにがあったのかは知らないけど。悪いよりはいいに越したことはない。そのまま店奥のキッチンへ。


「とりあえず紅茶でいい? コーヒー?」


 姉の機嫌がいいと自分もいい。なにかイタズラを仕掛けられないし。お湯を沸かし、紅茶を淹れようとカップを取り出して、気づく。


「ティーカップ新しくしようか。少し痛んできてるし——」


「シャルル」


 ベアトリスが弟の名前を呼び、今度は行儀悪くイスに足を乗っける。サンダルを脱ぎ、裸足。寒くはないのだろうか。


「紅茶といえばイギリスだな」


 もしくは、ドイツ北部のフリースラント。ひとり当たりの消費量世界一。キャンティを入れるとさらに美味しい、というのは今はどうでもいい。


 よくわからない話の流れになると、だいたい悪いことの前兆。シャルルは少し不気味に感じる。


「まぁそうだけど……どうしたの?」


 と、質問したところで、意を決したベアトリスがガバッと立ち上がり、部屋全体を見回す。


「ふむ……」


 これで全てのピースは埋まった。だが、その絵が正しいのかは知らない。正しいかどうかは、彼に無理やり感じ取ってもらうしかない。


「フローリストはおせっかいな奴しかなれんな」


 花の声が、聞こえる。

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