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プロローグ

<遺跡の森>

 明るい森の中を静かに進んでいく。

 苔むした岩場をゆっくりと慎重に登る。5年前には毎日のように登った道だ。

 肩にかけた猟銃の位置を少し直す。


「……おっと」


 ちょっと滑った。いかんな。油断しているわけじゃないが、最近はこういうところを歩いていなかったせいで感覚が鈍くなっているのもしれない。このあたりは魔物が出るわけじゃないからといって気を抜いているわけではないのだが。

 この岩場を登りきって少し進めば、遺跡前の"広場"にでる。

 猟師になりたてのころ、数ヶ月を過ごして、猟師としての基本を学んだ猟場だ。


 遺跡前の"広場"についたところで周りを見回す。俺以外には誰もいないようだ。思えばここ2年くらいは新入りはいなかったな。この森は魔物が出ないから安全に狩りができるが、金になる獲物もいないから初心者以外は寄り付かない。だから考え事をする場所に選んだのだ。

 "広場"といっても、別に整備されているわけではない。森の中の"空白地帯"というだけ。下草はあるが、木が生えていないエリアがぽっかり空いている。おそらく"遺跡"が現役の数百年前の頃は本当に広場だったのだろう。

 遺跡前の大岩に荷物をおいて、一息つく。遺跡は5年前と変わらない佇まいを見せていた。遺跡は石造りの建築物だ。とはいっても今は入り口の近辺を残して殆どは土の中だ。大昔の学者チームによると、この遺跡は博物館か何かではないかとのこと。入口近くには展示施設らしきものがあるそうだ。建物のほとんどは土砂に埋まっていて発掘もここ見られたそうだが、崩落の危険が高すぎて、結局のところ、それ以上の調査は断念されて今の状況。これといった新発見もなく、それほど価値もなさそうということで、それ以降は朽ちるままになっている。石造りの入り口はなかなかに立派な様相を呈していて、このまま朽ちるのももったいないと個人的には思うのだが。

 入口のあたりを少し覗く。古代文字が描かれた石板がそこかしこに散乱している。学者ではない俺には何が描かれているのはさっぱりだが、それでも、石板を見るのはなんとなく面白い。たわむれに、いくつかの石板の文字を手帳に書き写す。特に意味もない行動だが、今はとにかくやったことがない行為を優先する。



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