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体験談系エッセイ

おかしなことが立て続けに起こった日

作者: 七宝

 先日、『消えた男』というエッセイを投稿した。

 内容を簡単に説明すると、私の前を歩いていた男性がトイレに入ったと思ったらそのまま消えてしまった、という話だ。男性が入った数秒後に私も入ったのに、トイレのどこを見渡してもいなかったのだ。


 これに対し私は2つの仮説を立てた。


 1つ目はデジャヴ的な脳の誤作動なのではないかという説。

 2つ目は天井に張り付いていたのではないかという説だ。


 この体験をし、文字にして投稿したのが11時過ぎのことだった。

 この日私は図書館にこもって小説を書いていたのだが、それ以降も不思議なことが立て続けに起こったため、またこうしてエッセイを書くことにした。


 まず、さきほど紹介した『消えた男』が6階の図書館内のトイレだったのだが、その数時間後にまた同じトイレでおかしなことが起きた。


「うぅ〜」という女性の声が延々と聞こえるのだ。

 力の入っていない、本当にただ「う〜」と言っているだけの、心霊番組などでよく聞くような声だった。


 しかし、トイレから出るとそれも収まる。というか聞こえなくなる。


 数時間後にまたトイレに行くと、同じ声がした。もしかしたら『消えた男』の時も私が気づかなかっただけで、ずっと聞こえていたのかもしれない。


 20時を過ぎた頃に私は図書館を出た。10時間近く小説を書いていた。


 電車に乗る前にトイレだけ済ませておこうと思い、別の階のトイレに行った。図書館内のものと違って少し汚い、作りの違うトイレだ。


 ここでも同じ声がした。


 図書館のトイレで聞いた、透けているような気味の悪い女性のうめき声が聞こえるのだ。


 ここで私はあることを思い出した。

 もう数ヶ月も前になるが、この声によく似た声を聞いたことがあったのだ。


 数ヶ月前のある日、私は図書館で小説を書いていた(日課)。

 軽く本を読んだり、小説を書いたりしていると、ふと眠気を感じた。


 夢と現実の狭間で気持ちよく船を漕いでいると、突然耳元で小さく「おニュー」と声がした。

 なにが新しいのか分からなかったが、あまりにも突然のことだったので私は震え上がり、色んな人にそのことを話した。


 これが、トイレのうめき声とそっくりなのだ。十中八九同じ声優が担当しているのだろう。


 だが、この日起きたおかしな出来事はそれだけではなかった。


 この日私は電車で最寄り駅まで帰ったのだが、駅のホームで電車を待っていると、後ろで「タタタタッ」と足音がした。

 振り返ってみたが、誰もいなかった。

 階段やエレベーターを確認してみたが、この時ホームには私と駅員しかいなかった。


「おかしいな⋯⋯」


 ともやもやしながら電車の来る場所へ戻ると、一瞬目の前に顔が見えた。

 真っ暗闇の中に、真っ白な顔が浮かんでいたのだ。そしてそれは、恐らく女性の顔だった。


 以上が私が3月5日に体験した不思議な現象である。


 ここからは考察タイムだ。1つずつ見ていこう。


 まずは『消えた男』だ。


 冒頭でも述べた通り、私は2つの可能性を考えた。

 デジャヴのような感じで、本当は私の前に男性などいなかったのに、トイレに入った瞬間に男性がいたという記憶が生まれたという説。

 もう1つが男性が天井に張り付いていた、という説だ。


 正直私には真実がどちらなのかは分からない。もしかしたら全く別の原因があったのかもしれないし、オバケなのかもしれない(有り得ないけど)。


 私はとにかくオバケを信じていない。理屈が分からないからだ。存在出来るはずがないと思っている。あと怖いし。

 だから私はオバケ以外の可能性を考える。


 トイレの声はどうだろうか。

「おニュー」とよく似た声だったこともあり少しゾゾっとしているのだが、これはオバケを信じているのではなく、うーん、なんだろう。やっぱりオバケが怖いのかもしれない。


 頑張って考えてみた結果、「換気扇とか、なんかそういうやつ」があの音なのかもしれない、という結論に至った。

 トイレの作りや管轄は違うかもしれないが、一応は同じ建物内のトイレなのだ。同じ換気扇とかなんかそういうやつが使われていたとしてもなんらおかしなことはない。

 ただ、聞いたのはこの日だけだった。


 あとはなんだ、あれか。ホームの足音と顔か。


 足音は実は見当がついている。

 その時私の左後ろに駅員がいたのだが、その駅員が私をビビらせようとして足音を立てた、または太ももを叩いて足音っぽい音を立てたのだ。絶対にそうだ。


 顔は⋯⋯


 ん〜〜〜。


 もう認めるしかないのか⋯⋯





 認めるしか⋯⋯ないのか⋯⋯!



 この日は本当におかしなことばかりだった。朝から立て続けに不可解な現象に見舞われる。不幸極まりない1日だった。


 この日の出来事はハッキリ言って異常だった。いろいろ仮説は立ててみたものも、どれも考えにくいものばかり。

 もう本当に私も認めるしかなくなってしまった。


『消えた男』『女性のうめき声』『ホームの足音』『暗闇に浮かぶ顔』『耳元でのおニュー』


 これらは全て、視覚と聴覚で感じるものだ。

 ということは、幻覚と幻聴の可能性が限りなく高いワケだ。


 幻聴はまだしも、幻覚は中々ヤバいのではないだろうか。1日にこんなに見るものなのだろうか。


 薬物なんてやったことないのに。

 ストレスもそんなにないはずなのに。

 疲れも人並みにしか溜まってないはずなのに。


 でも認めるしかない。実際に見たり聞いたりしたのだから。幻覚と幻聴だ。


 なんならさっきも見た。

 ショッピングモールのトイレに行ったのだが(またトイレかよ)、ここでも私の前を歩く男性がいた。距離もあの日と同じくらいだったと思う。


 当然だが、この時私は「この人消えるんかな」などとは1ミリも思っていなかった。


 だがやはり、消えた。


 ドアのないタイプの、人が来ると明かりがつくタイプのトイレだったのだが、数秒遅れて私が入った時は真っ暗だったのだ。

 誤作動を疑った私はトイレ内を見渡したが、個室にもどこにも人はいなかった。


 これからもこんなことが続くのだろうか。

 やだなぁ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 取り憑かれてるのかな!おつかれさまです( ֊ ̫ ֊) 「うー」という声は、私の職場でもよく聞こえます。 これはうちの職場の建物のデザイン上、風が通ると笛みたいに鳴る部分があって(たぶ…
[一言] たまにありますよね、スターリンが頭から離れないときとか、わりとたまにw
[良い点] おニューは怖い:(´◦ω◦`):
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