ページ11 周りにとける音
プカリ pukari 水面に漂う
泳がないでいると 音が静かなようで
割りとよくきこえる 周りの音たち
パシャとビート坂の音
パシッと誰かの泳ぐ音
となりに水、下は水
ウォーター water h2o
co2は二酸化炭素だったかな
分解するにはどの記号を たしてひいてだっけかな
もう上がって
解散するよ という声がきこえた
光がゆれる プールサイド
腰をおろして 髪がパタパタして
ロッカーで 着替え着替え
上着でもきながら、となりにきいてみる
co2を分解すると だけど
周りに溶ける場合も あるよね
音は どうなんだろう
化学記号とかさ
ここまで話すと
プールの授業 いつもそんなこと言ってるの?
ま、割りとね
さっきまで化学教科書みてたからかな
そういえば教科書 何ページまで進んでいたかな
律儀にも 思いだしてくれる
なんだ、勉強キライかと思っていたのに
みんな勉強好きなのか
なんだぁ
これは新発見
着替えをすませ タオル持って席にいくと
さきほどの友人がきて
水溶液はやっていた
音は音波、でも授業ではまだ先
教えてくれた
放課後になり
どうやら 今後の課題めいて みえて
試しに 隣で歩いているきみに、そのことを伝えてみた
短縮授業で、プールあとで髪ぬれてるし 風少しあるし
なにか、いうことは、ないの?
という返答
なんだろう、こちらがニブいだけか 答えがうかばない
水溶液と水蒸気
それに音の化学
話し続けてみると
周りに水がとけていき
水分が蒸発すると
風がふいて
その音にのって
きみはすこしだけ 上機嫌
もうニブいなぁ
プールの授業風景
音の化学から
プール後の新鮮なきみの姿に、気のきいたセリフは言えなかった主人公はやはりニブいのでしょうか。 ついでに、作者はよくニブいね、といわれます。