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不死病  作者: 葉訓
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眠気

バスを降りて改札まで歩いていく。今日はなんだか一段と眠い。確かに、毎日何となく疲れていてだるいのni変わりないのだが、それでも眠い。これは電車で寝てしまうな、と思いながら改札を通る。


いつも乗る7号車のホームで電車を待っている間も、やはり眠かった。そう言えば、少し熱っぽいような気もする。だからと言って吐き気がするとか、頭や喉が痛い、なんてことは無いから単純に疲れが溜まっているんだろう。


速度を下げながらホームに電車が入ってくる。ラッシュ時を過ぎているから、この時間はそれほど乗車している人は多くない。ゆっくりとドアが開き、電車から降りていく人を待った後乗車した。角の席にゆっくり腰をかけると周りへと目をやった。斜め前の席に体調が悪そうな人が座っていることに気が付く。とてもじゃないが、顔色が悪く呼吸が荒かった。じっと見てしまっていたせいかその人と目が合ったが、特に何かある訳ではなく、そのままゆっくりと電車は発車した。


だが、発車からしばらくしてその人が突然、倒れたのだ。驚いて咄嗟にその人の所に駆け寄り、声をかけた。すると、その人はか細い静かな声でこう言った。

「まさか、俺の最期が、ここだとは。」


そんな一言を残したその人はぱったりと動かなくなった。周りの人が呼んできてくれた車掌さんが来てくれたため素早い対応が出来た。電車は次の駅で止まり病人対応のため運転が再開されるのに時間がかかる、とのアナウンスが入った。


これはもう、講義には間に合わないなとホームのベンチに腰をかける。あの人は大丈夫なんだろうか。何か病気を持っていたのか。あの一言はまるで自分の命の期限を知っているような、そんな言い方だった。その言葉に何か引っかかりを覚え、ずっと考えていた。


しばらく時間が経ち、電車の運転再開が5分後になった時野次馬の声が聞こえてきた。やはりあの急病人は亡くなってしまったようだった。急なことすぎて何も出来なかった自分がとても不甲斐ない。


20分ほど経って電車は再開したため乗車し直した。さっきの急病人が座っていた席がぽっかり空いていて、そしてなぜだかちっぽけに感じた。命とは儚いものだと。今まで存在していた人が存在しなくなるのはこんな気持ちになるのか。

そんなことを思っていると、また大きな睡魔が襲ってきた。なんでこんな時に、そう思っていても眠気が冷めずそうしているうちに段々と意識が遠のいていくのがわかった。

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