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13.魔人撃退!

ブックマーク登録ありがとうございます!頑張ります!

 

 この剣があれば勝てる。俺はそう確信していた。


 俺が召喚した剣は、勝利の剣。フレイという女神が所有していた神器だ。フレイは炎を司る神で、勝利の剣にも炎の力が宿っている。

 まさかここに来て、中二病時代に掻き集めた知識が役に立つなんて、思わなかった。


 警戒心を高めた魔人の赤い瞳は、俺だけを捉えたそこから来るプレッシャーが凄まじい。

 今までに出会った魔物からは感じた事もない限りない圧倒的なの恐怖。

 魔人が恐れらている理由が、やっと理解できた気がする。


 牽制し合う状態の中、最初に動いたのは魔人だった。


「死に絶えろ!」


 ダークボールに似た黒い球を高速で放つ技の様だ。

 触れたらマズい事は分かっていたので避ける。


 反撃を試みる隙もなく、次の攻撃が炸裂する。避けた黒い球が破裂し、その破片が周囲に襲い掛かる。鋭い破片が見境なく俺に襲いかかってきた。

 小さな破片は、さっきの球体とは殺傷力の桁が違う。

 例えるなら榴弾の様なものだ。一人の敵に弾を直接当てる事よりも、当て損なった弾の破片を無差別に多くの敵に当てる事を目的とした技。

 確実に俺を仕留める事だけを考えての技だ。


「全部燃やす!」


 避けられない。それなら勝利の剣(フレイ)力で燃え尽くせば良い。

 火炎を周りに発生させて、弾の破片を全て焼き払う事に成功した。

 しかし、その反動なのか微かに体が軋んだ。神器の使用には、それなりの負荷があるらしい。

 長くはもたないな。早く決着を付けないと。


「炎よ!私に力を貸して!勝利の炎(フレイ・フルフレイム)


 魔人を炎で囲み、凄まじい火力で魔人を燃やしたが、魔人を倒しきるには至らなかった。

 炎の中で笑う魔人からは余裕が伺える。余裕な魔人に反して、俺の体の痛みは増していく。


「良いぞ!良いぞ!!久方ぶりの痛みだ!!」


 魔人は、痛みを感じ歓喜の声を上げた。

 魔人が俺を舐めている内に最大火力の技で、畳み掛ける。それが出来なければ、俺の方が消耗し切ってしまう。

 さっきの技の感触的に魔人を消し飛ばす事は可能だ。

 後は確実に当てる事と、体が保つかが問題。まあ。それは意地で何とかしてみせる。


「ハァハァ・・・どんどん来なよ!私は、まだ余裕だよ」


 軽く挑発する。魔人は格下に挑発されるのが癇に障ったのか、眉間に皺を寄せた。


「そんなボロボロで良く言えたな!」


 魔人は、技を使わずにその身だけで突っ込んで来た。

 チャンス!やるならここしかない!


「フーゴ!コイツを抑えて」


 アリスの所に居たフーゴが、俺と魔人が衝突する寸前に飛んで来て、ガッチリと魔人を押さえつけて離さない。


「貴女は強かった!だけど貴女は人間の力を侮り過ぎた。それがの貴女の唯一の敗因だ!」


 魔人はフーゴの拘束から抜け出そうと足掻くが、命令を遂行しようとするフーゴの力は異常なもので、ビクともしていない。

 勝利の剣から繰り出される炎は、勝利の炎だ。故にこの勝利は必然的なもので、当たり前の勝利。


「くらええええぇぇ!!紅蓮撃砕(フレイム・ブレイク)


 残っている魔力を全て剣に乗せて、思いっきり叩き込んだ。

 それと同時に命令する。


「フーゴ戻ってえ!!」


 フーゴが消えた事で、拘束から解かれた魔人は直ぐに逃げ出そうとするが、火炎はまるで生きてるかの様に魔人の体に巻きついて離さない。

 劈く悲鳴が耳に刺さった。魔人であれ死は怖いのだ。

 炎に飲み込まれた魔人は圧倒的な火力により骨の髄まで焼かれた。

 流石と言って良い程の強度を誇っていた魔人は、微かに体の一部を残して死に絶える。

 体の一部と言っても本当に一部分だ。頭部の口元だけが残り地面に転がっていた。

 驚く事にまだ声を出せるみたいで、モゴモゴと何かを言っていた。


「グフッ・・・ハアハァ。我を倒すとはやるではないか、人間。グッ・・・だが、お前は、我が主人には勝てぬ・・・」


 そう言って魔人は死亡した。


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 魔人は死亡する寸前に主人である色欲と呼ばれる艶やかな女性に言葉を残していた。


(主人様よ。我はここで死に絶えます。この娘は強い。時期に勇者にも匹敵する程の力を有するかも知れません。我の様な下級の魔人では敵わない。そしてこの女は。これから更に成長するでしょう。もしかしたら主人様達を脅かす存在になるかも知れません。お気をつけてください。)

 その言葉を残して魔人は死を迎えた。


 その言葉を受け取った主人である色欲は、眷族の死を悲しむでも無く静かに笑った。

 色欲は嬉しかったのである。下級の魔人とは言え人族が魔人に怯える事無く立ち向かい撃破した事が。


 先の戦いで見た勇敢で愚かな人族を思い出し、懐かしのその光景に恋い焦がれた。

 またあの素敵な時が、訪れる事を微かに願い。いずれ出会うで、あろうその存在に期待を募らせ想いを馳せた。


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 魔人の死亡を確認する余裕なんて、ボロボロの俺にはなかった。

 どうやらさっきの技で、本当に魔力を使い切ってしまったらしい。

 それに体が有り得ないくらい重くて痛い。手を動かそうとしても、酷い痛みで動かせない。

 勝ったとは言えここまでボロボロになるとは。


 俺が空を仰いでいると、ゾンビと戦っていたデオンさん達が、ゾンビが行動不能になったのを確認して俺の方へやって来た。

 俺の意識は既に朦朧としていて、もう直ぐに気絶する事は明白だった。


 冒険者の悲鳴にも似た歓喜の声と、アリスがすすり泣きして俺に抱きつく感触があったのを微かに感じながら、意識は何処かへ飛んでしまった。


 ガタンガタン。


 電車を彷彿とさせる様な酷い揺れで、目が覚めた。どうやら馬車の上の様だ。

 記憶は、はっきりしている。魔人を倒した後に魔力切れで気絶した。

 太陽がまだ空に浮かんでいるのが確認出来た。確か魔神と戦っている時、太陽は空にあった。

 今の太陽の位置と、エリクの町まで半日くらい掛かる事を考えると、思っていた時間程、気絶していた訳じゃないのか。


 横に人が居る感触があった。良い顔をして心地好さそうにアリスが添い寝している。

 アリスには心配を掛けてしまった。

 お礼も兼ねて、頭を優しく撫でると、笑ってゴニョゴニョと寝言を言った。

 聞き取れなかったが、幸せそうだったから、良い夢を見ているのだろう。


 体はまだ痛い。腕も足も少し動かすだけで大きな針に刺された様な痛みが走る。

 ただの人間に神の武器は二が重いのだろう。例えそれがスキルによって作り出した贋作であっても、相応の反動があるらしい。


「おっ!エレン起きたか!」


 前の方からデオンさんの声が聞こえた。

 どうにかして顔を合わせようと思ったが、痛くて動かないので声だけで返す。


「デオンさんも居たんですね!すいません、体が痛くて動けないんです」

「気にするな。そもそもお前のおかげで俺たちは助かったんだ!礼を言うぞ」


 穏やかな声色で、そう言った。


「いや、みんながゾンビを止めてくれたおかげですよ!それで・・・町はどうなったんですか?」


 大体予想は出来たけど、実際に話を聞かないと分からない事も多いと思う。

 もしかしたら、最悪な状況は、避けられているかもしれない。魔人を倒した事によってゾンビは普通の人間に戻ったとか、そう言う事もあり得るかもしれない。


「あぁ、そうだな。じゃあ、お前が眠っていた3日間の話をするぞ」


 待て待て!眠っていた3日間とは何の話だ?

 まだ1日も経っていないんじゃ?それは予想だったけど、流石に3日間も眠れる訳が無い。言い間違えでしょ?


「今3日間って聞こえたんですけど、3時間の間違いですよね?」

「いや3日間だ。みんな心配していたぞ!特にそこのアリスは、心配しすぎで倒れそうになってた」


 聞き間違いではないみたいだ。まさか3日間も眠り続けてるなんて思わなかった。

 1日なら、まだ有り得る話しだけど、3日間眠り続けるとか俺の体はどうなってるんだ?

 そういえばお腹が異常に空いている。まるで3日食事を抜いた様な空腹感だ。これが確固たる証拠って訳か。


 俺は近くにあったパンを食べながら眠っていた3日間の事を聞いた。


 まずゾンビは、その町の人達で間違いないという話から始まった。

 俺が魔人を倒した後にそのゾンビ達は、壊れた機械の様に動きを止めたらしい。その状態から人間に戻る事は不可能だとデオンさんは言葉を詰まらせながら語った。


 最悪だ。俺が悔いても仕方がないのは、わかっている。けど、やっぱり助けられなかったのが心残りだ。


 不幸中の幸い。地下に逃げ延びた人達が、意外にも多く居たらしく、町の復興はその人達とエリクの町からの支援で行う様だ。

 そして焼き残った魔人の死体は、ひとまずエリクに持ち帰る事となった。


 デオンさんによると、魔人の死体は王都の騎士団がエリクに回収しにくるだろうと言っていた。

 魔人の全容は明らかになっていなくて、この死体も貴重な情報源だとも言っていた。


 多くの犠牲の上に成り立った勝利だ。腑に落ちない事の方が多かったし、あの魔人の言っていた「主人」とやらにも警戒しないといけない。


 この先、必ずそいつと戦う事になると思う。そうなった時今のままだと勝てないのは明白。

 強くならないといけないな。これからは、もう少しレベルの高いクエストに挑戦して、経験を積もうと決意した。


 それから暫くして、エリクに辿り着いた。そこでアリスがちょうど目を覚ます。


「うん?エレンお姉ちゃん!大丈夫なの?」


 心配そうにアリスが言った。俺は微笑んで答える。


「体が少し痛いけど、問題ないよ!大丈夫!」


 パァっと笑顔になって「よかった!」と緩い顔をして言った。因みにマジで可愛い。


 何故俺が死ぬ程頑張ったのかと聞かれたら、アリスの笑顔を守る為と答えるだろう。

 それだけアリスの笑顔には価値がある。最早価値を付けることさえ愚かだと言える。


 この後、デオンさん達は、伯爵邸に事後報告に行くらしいのだが、俺にそんな体力は残っていないので宿まで送ってもらった。

 宿に着くとミルが俺たちのボロボロの姿を見て飛び上がる程、驚いていた。


 階段を上がって部屋に行くのも一苦労で、いざ部屋に入れても、体が汚すぎてベッドに寝転がる事すら出来ない。

 強すぎる力には、それ相応の代償が必要って事は理解できるが、それでも生活に支障が出すぎだ。


 その日から約一週間くらい動けない日が続いた。

 身の回りの事はアリスとミルの協力のおかげで、何とか出来たが、本当に大変だった。

 まあそのおかげでアリスとミルはすっかり仲良くなっている。

 唯一体を痛めて良かったと思う点がそれである。


 ギルドに行く前にお互いのステータスを確認した。


 名前 :エレン

 種族 :人

 レベル :20

 攻撃 :256

 防御 :196

 素早さ :281

 魔力 :153

 賢さ :93

 ユニークスキル :<絵本の世界(ザ・ワールド)> <神眼>

 スキル :なし

 技能:<見切り> <剣術 中> <体術 中>

 魔法 :なし

 耐性 :<物理耐性 小> <魔法耐性 小> <魔耐性 中>

 加護 :<女神の慈悲>


 レベルが上がった事によって色々と変化しているが、特に気になるのがユニークスキルの<神眼>だ。

 目に違和感は無く、今までと何ら変わりはないが、目に何かの能力があるのは確かな様だ。

 それは後で調べる事にしてアリスのステータスを見よう。


 名前 :アリス

 種族 :人

 レベル :12

 攻撃 :51

 防御 :41

 素早さ :93

 魔力 :176

 賢さ :79

 ユニークスキル :<魔法固定(ロック)>

 スキル :<暗黒>

 技能:<魔素吸収>

 魔法 :<ダークボール> <影打ち(シャドウ・ストライク)> <黒の破裂弾(ダーク・バースト)>

 耐性 :<物理耐性 小> <毒耐性 小> <暗黒耐性 中>

 加護 :なし


 アリスのユニークスキルが発現していた。

 今の段階ではどんなユニークスキルかはわからないけど、名前からして予想は出来る。


 これも俺の<神眼>と一緒に後で詳しい事を確認してみよう。

 俺たちは前回の報酬を受け取る為にギルドに向かった。





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