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待ちぼうけ…られる訳もない?






「じゃあ此処で待ってて…」

「直ぐに着替えて来るから…」

「綴也、俺達が制服に着替えるまでヴェコを頼む…」


綴也とヴェコは公園で待つ事になった。

本来なら綴也も旧友達の寮に同行しても問題はなくはない。

しかし今回はカイルの恋人が急遽同行しているので着替え目的に戻り短時間

とはいえ学生寮に恋人を連れて行くのはどうかと思い綴也も公園で待つ事に

なった。

ちなみにそのアドバイスをした電子製命体はいつの間にか姿を消しているが

きっと自分を見ていて興味が湧いたら突如として現れるので綴也はあまり気

にはならなかった。


(いえいえ…いつ綴也さんが何かやらかすか楽しで仕方ありませんからいつ

でも出て来れるのですが身体を複数出すだけでも意外に容量を使いますから

…一応は節約しておかないと何だこの通信料は!?って色んな所からツッコ

まれますから…)


という何かが聞こえてきた気がするが幻聴ではなくきっと自分にしか聞こえ

ない様に何か囁いてきたのできっといないだけで自分を見ているのが良く理

解出来た。


(きっと遠くに現れるだけでも凄い通信料が掛かるのかな?)


本来ならば監視者と監視対象という色々ツッコみを受けそうな関係なのだが

ツッコむ人間も一人もいないし綴也もミトラも何も悪い事はしていないし突

如現れて賑やかしになっているので独りぼっちが多い綴也にはある意味有難

かった。


「ねえテッ君…カー君の学校の制服ってどんなの?」

「え?」


待っている最中にヴェコから正にシンプルな質問が飛んできた。


「ヴェコちゃんカイルの制服姿見た事ないの?」

「だってカー君ってば私には一度も制服姿見せてくれなくて…」

「そうなの?…何でだろう?」


どうして彼女がそんな事を自分に聞くのかと思ったが二人の事情を知る綴也

は直ぐに理解した。


「そうだね…」


綴也は様々な事情からカイル達が通う学校の制服を着て違う学校に通ってい

る。

自分も一か月位とは言え自分が普段来ている服は覚えていたし試しに見せ合

いをして盛り上がった事もあった。

もし自分も合格していたらどうだったのか思うが今となってはどうにもなら

ない事だった。


「テッ君?」

「ごめんもし自分が合格してたらって考えてた」

「ごめん…」

「良いよ良いよ…カイルの制服姿か…」


ヴェコには謝られたが不合格になった事は受験の結果である以上は文句は無

い。

文句を言いたのならば不合格ならもっと早くに知らせてほしいというのが正

直な思いだった。


「SF…かな?」

「SF?」

「うん、何だかSF漫画や映画にとかに出てきそうな服装だった」

「そうなんだ…カッコいい?」

「それは見てのお楽しみって事かな…」

「そっか…カー君どんな格好だろうね…」


と恋人の制服姿に興味津々の子供の様に目を輝かせるヴェコと共に綴也は話

しながら待ち続けた。


「なあ、そこのおねえさん…」

「ん?」

「?そんな人いないよ?」

「いや…いるだろうそこに…そこに」


その会話の最中にヴェコとミフルに旧友達ではない声が掛かった。

言葉の意味が分からなかったヴェコの一言に男は彼女を指さした。

男の後ろには複数の男達がいた。


「俺らと遊ばうよ…」

「私カー君待ってるから…遊ばない」

「あの…」

「うるせぇ!!クソガキには聞いてねえ…」


ただ単に旧友達を待っているだけだと綴也が言う前にヴェコに声を掛けた男

は怒鳴って来た。


「良いからこっちに…来て…」

「ヴェコちゃん!!」

「きゃ!?」


綴也がヴェコの手を引きヴェコを後ろに庇う様に立つ。

綴也は目の前にいる男達が明らかにヴェコに何かよからぬ目的で近付いてい

る事が分からない程鈍くはない。


「僕達人を待ってるだけなんですけど…」


綴也が言い終える前に男達はナイフやら武器を取り出していた。


「せっかく穏便にすまそうって思ったけど仕方ねえ…」


そんな心算は明らかに無い様に見える男達はナイフを手に綴也達に襲い掛

かって来た。


「ヴェコちゃん下がって!!」

「テッ君!?」


綴也は男達の方へ接近し一人目のナイフを持つ手を狙い蹴り上げて手からナ

イフを飛ばしバットを持つ二人目を腕をつかんで投げ飛ばし鎖を持っていた

三人目の足を足で払って倒した。


「くっ!?」

「グぁ!?」

「え!?」


綴也は続けて襲い掛かってくる武器を持った男達を次々と撃退していった。

中学時代に喧嘩の経験が無くはなくまた一応アイディアルの経験もあり先程

のイリュシオンのあの理不尽に見えた集団の速さに比べれば男達の速さは遅

い位で綴也一人でも十分対応は出来る位だった。


「く、くそ…小学生のくせに!!」

「この人は友達の大切な恋人だ!!何がしたいのか興味ないけど…」

「おい!!どうした!!」

「は!!」


新たな声がして向くと明らかに男達を纏めるボスという雰囲気の男が更に何

十人かの集団を連れてやって来た。


「へへ…お前ら…この人はな有名な姫神殺しなんだよ…」

「「え?」」


男達の言葉に綴也もヴェコも凍りついた。

男達はそれで嬉しそうな表情をしているが二人は別の理由でそうなったに過

ぎない。


「なあ…お嬢さん俺らと遊ぼうぜ…?」

「い、嫌!!私はカー君を待ってるって言ってるでしょう!!」

「そうか…じゃあ…やっちまうか?」


自称姫神殺しの命令に集団が襲い掛かる。

綴也には今更ながら少しばかり迷いがあった。

中学時代に誰かを守る為とはいえ喧嘩になったがそれでも下された事もある

し最近も喧嘩に巻き込まれて処分された。

綴也はできれば手は出したくはなかった。

綴也には二十四時間監視している電子製命体がいるが何も言ってこない。

何であれ自分で手を出した以上自分で何とかしなさいという事だ。

周りを確認すると別の集団に囲まれていてヴェコと一緒に逃げるというもの

難しくなった。


「ヴェコちゃん…着いて来て…」

「う、うん…」


自分の行動がヴェコをピンチにしてしまった事に怒りが湧いて来るが今は流

石に抵抗しなければならない。

それに自分の仇名を友人の恋人と言うのもあるが女の子を集団で脅すのに使

っているのを見て何も思わない人間でもない。

後で問題になるし処分もされるだろうが綴也も覚悟を決めて男達を押しのけ

て突破する事を試みる事にした。


「ぐぇ!?」

「ぐぁ!?」

「な、何だ!?」


だが綴也達の後ろの方から男達が倒される音と声が聞こえた。

カイル達が来たのかと思えば見知らね女の子が現れて男達を次々と拳と蹴り

で倒していたのが見えた。


「え?」


次々と男達を倒した女の子は綴也とヴェコを庇う様に立っていた。


「何?」

「何だ!?テメェは!?」

「明らかに悪者そうな男から女の子を守ってる勇気ある男の子に加勢しに来

たのよ…そんな事も分からないなんて…」


背丈は男達とそう変わらない。

突如現れた謎の女の子に驚いた綴也の目に着いたのは彼女の服装だった。

それはどこかSF漫画を想像させる服装。

自分でも来ている通うはずだった高校の制服に似ていた。


「よく見るとアンタも良いな…なあ俺等と…」

「貴方たちみたいな何百年もなくならない犯罪者なんてお断りよ。そんな事

も解らないなんて…これだからあんな区別を受けちゃうのよ…」

「じゃあちょっと痛い目に遭ってもらおうか!!」


自称姫神殺しの掛け声と共に男達は女性に向かって行く。


「ヴェコちゃん!!離れて…」

「君はその子を守ってなさい!!後はお姉さんに任せなさい!!」


そう言って女性は男達を次々と倒していく。

明らかに数は彼女が一人なのに三分もしない内に男達が次々と倒されて残り

は自称姫神殺しと複数の男達だけになった。


「て、てめえこの…」


追い詰められて歯噛みしている男たちと綴也達の耳にサイレンの音が聞こえ

た。

それは明らかに警察の車両のサイレンだった。


「な、何で警察が…」

(ミーちゃんが呼んでくれたのかな?)

(だと思う…)

「このご時世にナンパとか…貴方もバカね…ナンパは貴方達みたいなのがい

るから犯罪なったのに…自分から警察に自首して一生後悔するといいわ」

「テメェ…くそ!!逃げるぞ!!」


男達は逃げ出した。

その一言が切欠になり倒れていた男達も痛む体を起こして必死の形相で逃げ

ていく。

まるで捕まったらそれがどうなるか解っていてその恐怖からか怯えながら必

死に逃げていった。


「あの…ありがとうございました」

「良いのよ…貴方も良くああゆう奴に立ち向かったわ…お姉さん褒めてあげ

るわ…えらいえらい」

「いやあの…ちょっと…僕はあの…」


突如頭なでなでされる綴也はそろそろ自分が高校生である事を説明しないと

と思った。


「警察には前もって通報はしてたけどこんなに早く来てくれるなんて…うん

?」

「?」

「何かどこかで…ってああ!!」

「へ?」

「今から学校行かないといけないのに…職質されるかな…」

「あの…?」

「まあいっか…ごめん坊や気にしないで!!私急ぐから…もうすぐ警察も来

ると思うから職質はお姉さんの方がきちんとしてくれると思うから!!じゃ

あね!!」


そう言って女の子は綴也に振り返り手を振って急ぐ様に去っていた。

急がなければいけないからか焦っているが去り際はどこか颯爽という言葉が

浮かぶ雰囲気の女の子だった。


「行っちゃったね…あのお姉さん…」

「天行の制服だね…多分」

「カー君の所の?」

「うーん、女の子の制服はパンフレットにも写っていた筈だけど…あんまり

分かんないや」

「おーい!!待たせたな…」


綴也とヴェコが声のする方を向くと旧友達が制服姿の綴也と変わらない姿で

歩いてきた。


「ごめんね…カイルが…着替えるのに手間取ってね…」

「いや、まあ…」

「恋人の手前きちんとしたかったらしいみたいでね…」

「やかましい!!」

「「………」」

「ん?どうした?二人共?」

「ああ…実は…」


綴也が先程の一部始終をカイル達に語った。


「そうか…すまねぇ…そんな事になってたなんて…」

「でも通りがかった人に助けてもらったし…」

「うん、すごくカッコよかったよ…」

「それにもうあの連中は私もですがあの女の子が通報して警察も近くに来て

ますから直ぐに捕まりますよ」

「ってだから突然出てくんなよ!?」

「やっぱり警察が良いタイミングで来てくれたの…ミフさんだったんだね…」

「綴也さん一人ならば自己責任と言いますけど流石にヴェコちゃんを巻き込

むのは違うと理解はしてますから…」

「ったく…まあ気を取り直して学校行くか?」

「でも…あの人にお礼を…」

「話に聞いた限り多分その人ウチの制服着ていたのなら学校で会えるよ…」

「そうなの?」

「この近辺にウチの学校の様な制服を制服にしている学校は無いから…ね…」

「そうなの?」

「まあな…うちの学校制服は人気の一つだが奇抜とも思われてるらしい…」


カイルの言葉に納得出来る様な出来ないような何と言えばいいか解らないが

あの女の子もカイルと同じ学校ならば学校に行けば会えるならその時にお礼

を言えれば良いかもと思いトラブルはあったが無事合流した綴也は天行学園

に向かう事にした。


「放しやがれ!!」

「うるさい!!おとなしくしろ!!」

「俺はやってねえ!!俺は!?」

「女性と小学生を襲ってただろが!!お前の記憶を見たんだ言い逃れできる

か!!」


すると公園から出てからしばらくして何か叫び声が聞こえた。

近くを通ると誰かが警察官に捕まっているのが見えた。


「「あ…」」


近くまで来て捕まっている者の顔を見るとそれは先程までヴェコに近寄って

来た自称姫神殺しの男だった。


「ね?言ったでしょう?」

「う、うん…」

「こいつの記憶の中にある小学生と大学生が見えました…」

「だな…これで確定だな…」

「あ、ああ…」

「こいつの判決も決まった連れていけ…」

「ま、待ってくれ…」

「この都市日本には記憶を調べるって最も簡潔なな証拠証明があるんだ…証

拠を隠しても自分自身が証拠になる以上逃げられると思ったか?」

「………………………………ッ」


自称姫神殺しの男が警察官に連れられて車に乗せられて行く光景をほっとし

た気持ちと何か苦々しい気分で綴也は見送った。


「良かったね…すぐ捕まって…」

「だな…」


ヴェコは捕まって良かったねと心の底から笑みを浮かべてきたが授業で刑罰

の話を聞いた事がある綴也達はホッとしながらも何とも言えない気持ちであ

った。


「行こうぜ…ああなったのはアイツの自己責任だ…」

「カー君の言う通りだよテッ君…行こ?」

「うん…」

「ああ…ちょっと坊やとそこの大学生さん?ちょっと事情を確認するから話

聞かせてもらえるかな?」


パトカーを見送り気分を変えて学校に向かう前に警察官に呼び止められて綴

也達は職務質問を受ける事になった。


「ま、当然ですよね…」

「まあ犯人も逮捕されたから簡単に済むから少しだけ良いかな?」


目的の天行学園への道のりはまだ先の様だった。


Mル…待ちぼうけにナンパに遭遇しそこに颯爽と謎のヒーローが

   現れてってやつを女性に変えた展開ですね。


N子…ナンパ男達逃げるのに必死だったわね。


Mル…まあ捕まれば良くても最低でも一生娑婆の飯は食べられま

   せんから…


N子…ナンパって言うけどこういうので出てくるナンパって明ら

   かにやろうとしてる事って人さらいよね?


Mル…だからナンパも犯罪ですと都市の法律に明記されてしまっ

   たんです。


N子…お茶に誘っても?


Mル…犯罪です。


N子…遊びに誘っても?


Mル…犯罪です。


N子…じゃあ所謂逆に女性から男性に誘うのは?


Mル…そこは自己責任という事でOKです。

   犯罪と明記しているのは男が異性を面識のない異性を勧誘

   する事ですので…


N子…差別にならない?


Mル…まあ、何世紀近くもこの手の事が無くならなければこれ位

   の区別が必要って思えてくるんですよ…きっと


N子…それで最も重い罰がアレですか?


Mル…ええ。アレです。


N子…都市日本…恐ろしい街!!


Mル…否定もできませんがそれでも人さらいと言う犯罪をなくせ

   ない者共の欲望の方が恐ろしいというべきですね。

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