予定変更・Ⅳ ストップ・ザ・スタンピードブラックドラゴン
本当に遅くなりました。
本文が長いのも申し訳ありません。
ですが読んでいただけたらありがたいです幸せです。
「何でドラゴンさん暴れてるの?…」
「いや…あいつは本来はこういう奴なんだよ…」
「「うんうん…」」
「動画にもなってるよ…」
ミフルが見せた映像に映し出された黒いドラゴンは暴れていた。
その手で建物を次々に壊し壊れた建物をその足で潰し粉々にしていた。
「うわ…」
「相変わらず凄い暴れぶりだ…」
「あはは…だねぇ…」
「私、戦うの放棄して怒らせちゃったかな…」
旧友達も先程まで傍から見たら互角に戦いを繰り広げている様に見えたヴェ
コですらその暴れぶりに表情が引きつっていた。
画面の向こうの黒いドラゴンは止めようとしている幻想住人達を蹴散らし潰
しているその光景に先程までその黒いドラゴンと戦っていた彼女もそうなら
ざるえなかった。
「違う…」
「綴也?」
「テッくん?」
「何だが何時ものドラゴンさんじゃない…」
そんなパニック映画の様な映像が流れている中綴也は黒いドラゴンに違和感
を感じた。
「いや、あいつはいつも…」
「「「うんうん…」」」
「でも何だか…違うんだ…」
友人達はそう感じなかったが綴也にはそう感じた。
友人達の言葉も間違いは無いかもしれないと思った位確信は無い。
でも感じた。
何故そう感じるのかは分からないし口にするにしても言葉が見つからない。
どう説明したら良いのか分からなかった。
「いやあ…凄いですよ綴也さん…」
「ミフさん?」
「まさか見分けられるなんて流石あのドラゴンの友人いや…これは幻想住人
達が情けないというべきか…何というか…」
「どういう事ミーちゃん?」
「まあ、少しネタバラシになりますけどあの黒いドラゴンは今いわゆる暴走
状態なんですよ」
「暴走!?何時通り暴れている様にしか見えねえけど…」
「やっぱり幻想住人が情けないかあの馬鹿の日頃の行いか…まあ暴走なので
自身で制御できずに身体が勝手に動いてるんですけどね…」
「正しく暴走じゃねぇか!!って全く見分けがつかん!!」
「「「うんうん…」」」
カイルの意見に友人達も頷く。
事実見分けもつかない綴也も違和感を感じなければ旧友達と同じくカイルの
反論に首肯している位分からないだ。
「でも何で…」
「簡単な事です。逆鱗を攻撃されたからです」
「…?げきりん?げきりんって…?」
「ああ…」
「成程…」
「そういう事かよ…ドラゴンだしな…」
「そ、そっか…」
「あの…げきりんって…何?」
「知りませんか…って綴也さんドラゴンという生き物すら最近知ったですも
のね…」
「「あー………」」
「まあ…ね…」
「プッッ…テッ君…」
ミフルの一言に四人は即納得したが綴也だけはその意味が理解出来ずに首を
傾げていた。
綴也はこのイリュシオンに来るまでにドラゴンという生き物を知らなかった
故か或いは友達が少なかった故の違いか逆鱗という言葉も知らなかった。
旧友達はそんな綴也に俯いている様に見えるが笑いを堪えていた。
「というわけでドラゴンのあごの下には触れられるととんでもなく怒る身体
の一部が有るのです」
「成程…ってあもしかしてことわざの逆鱗に触れたって…」
「そう、そうです。その由来とも言われていますね…」
「で…ヴェコはそこに攻撃してしまったと…ップ」
「漏れてますよ…まあ…そういう事ですね…」
「私、そんな部分攻撃してないわ。あごの下当たったのも見てる限り見てな
いわ」
「え?」
「本当なのか?」
「うん。あごの下なんて狙ってないし攻撃しても防がれたし…」
「じゃあ…何で?」
「あのドラゴンに関して言えば運営としてはネタバラシになっちゃうんです
けどこのイリュシオンではドラゴンに関しては逆鱗の位置は違うんです…」
「「「「へ?」」」」
「どういう事?」
「ウフフ…内緒です。一応ゲームの秘密というヤツですので…運営側なので
これ以上は言えません」
「わ、解かった…」
ミフルの明らかに何かを隠すしている言い方に首をかしげるがゲームにとっ
て大切な事だと言われれば聞く事は出来ない。
それに綴也にとっては今画面の向こうで友達が文字通り暴れているのをどう
するかだ。
「それでどうします?このまま外に出ます?今なら綴也さんを通せんぼする
輩もドラゴンが暴走中ですからそれ所じゃないでしょう…」
「そんなの止めるに…」
「少し待って下さい。言いましたけどあれはトラブルではありません。ゲー
ムの仕様にあよるものです。時が来れば元に戻りますし今頃当人は身体が思う
様に動けない事に辟易しているでしょう」
「でも…」
「今回はたまたま綴也さんがいた時にああなっただけです。友人とはいえ貴
方が悲しそうな表情をして必死に止めに行く必要はないのです。それに綴也
さんは友人と言われているはいえあのドラゴンの破壊活動は良く思っていな
いでしょう…」
「うん…それは…」
「それに時間がたてばドラゴンを討伐しようとしている者達がドラゴン討伐
を始めようとするでしょう…街を破壊する事を楽しんでいるドラゴンは謂わ
ば悪役…やっつける方が正しいのではありませんか?まあ勝てないでしょう
けど…」
ミフルの言う事は正しかった。
綴也何一つ反論する言葉を持っていない。
何せイリュシオンを知らなかったとはいえ彼自身も黒いドラゴンに本当に殺
意を持って戦いを挑んだ身だ。
「それでも止めたい!!」
「何故?ドラゴンがああなっているのは異常ではありませんよ。どうして必
死に止めようとするのです?あのドラゴンはこのゲームの公式ボスの一体で
もあるのですから…そう簡単には勝てませんが…」
「でも止める!!」
ミフルの言葉に対抗できる言葉など持っていない。
これはゲームで黒いドラゴンはシステムの仕様でああなっているだけで時間
が経てば元に戻る以上自分がこんなに深刻な表情をしているのも周りから見
れば可笑しいだろう。
「何故?」
「友達って言ってくれた!!だから!!」
「友達とはいえ破壊活動は止めませんよ…アレはそれを楽しんでやってます
からそれもでも止めるのですか?」
「今は身体が勝手に動いている状態なんでしょう…ゲームの仕様でもそんな
の…何だかかわいそう…」
「綴也…」
「「「…」」」
ミフルの言葉に勝てる言葉が組み立てられる訳ではなくただ目の前の自分の
意思とは関係なく暴れている親友と言ってくれた大きなドラゴンを止めたい
という気持ちだけで反発しているようなものだ。
でもゲームの仕様とはいえ自分の意志とは関係なく暴れる友達を知らぬ顔を
してここから出るなんて気分が悪かった。
「ウフフ…」
「何だよいきなり気色の悪い…」
「黙りなさいロリコン…今とても気分が良いのに水を差さないで下さい…」
「誰がロリコンだこの変態電子製命体!!」
「行ってきなさい綴也さん。今は観客である貴方は一時間のクールタイムも
発生しませんから…」
綴也の言葉を聞いたミフルは微笑んでいた。
それはどこか楽しそうでもあり面白そうにしているようでそれでこそという
風にでもあった。
「あの思命さんがいませんからなんて言うだけ何とやらですね…」
「じゃあ…行ってくる!!」
「ウフフ…行ってらっしゃいませ…」
微笑みと仰々しい仕草をするミフルが手を翳した先に扉が出てきた。
それが何の扉か聞く事もなく迷う事もなく綴也は扉を通って行った。
「おい!!住人状態になれねえのに行ってもまた直ぐに…」
「まあまあ…ここは綴也さんの好きな様にさせなさいロリコン死んでもゲー
ムですから…」
「だから何で人をロリコン扱いすんだよこの変態電子製命体!!」
「だって…ねえ?」
「「ああ…」」
「何でお前らも納得してんだよ!!と言うかどうやってあのドラゴン止める
んだよ…」
「おや…綴也さんは初めてここに観客として来た時に慢心していたとはいえ
あのドラゴンの両手両足両翼をPDで斬って地上に叩き落したんですよ」
「嘘は言ってねえだろうけど未だに信じられねえんだけど…」
「でもあの時は鬱憤が爆発してキレてましたからね…さて今回はどうなる事
やら…綴也さんの愉快な行動集にまた新しい一ページが加わりますね…ウフ
フ」
「それが見たくてワザと行かせたろ…アンタ」
「まあ私が何も言わなくても行っていたでしょう…だって貴方達も何も言わ
なかったじゃないですか…」
ミフルの指摘に無言なのは肯定とも言えた。
「もちろん言っておきますが綴也さんへの加勢は不要ですので…皆さん良い
ですね?」
友達として出来る事ならば加勢したといと言うのが人情というだろう。
しかし目の前の電子製命体が笑顔でその邪魔をすると言っている以上旧友達
も先程黒いドラゴンと互角に戦っていた魔法少女?もここで事の成り行きを
見守る事しか出来なかった。
「止めろ!!これ以上の破壊を阻止するんだっびゅ!!?」
「これ以上好きにさせてたまるか!!せっかくここまで作ったんだ壊されて
ぎゅ!?」
東京の街に巨大な黒いドラゴンが暴れていた。
その目に写った物をその手で振るい砕き握りつぶし自身を止める為に立ち向
かって来る者たちをその手の自分の身よりも大剣や足で蹴散らしていくその
様は大昔の伝承や物語そして伝説に語られ恐れられた存在そのものだ。
(あー全く勝手に体が動きおって…相変わらずこうなると気分が悪くて適わ
ん…しかも暴走していると理解されてないし…あの女も区別は付いてないみ
たいだし…敵とは言え悲しくなってくるわ)
だが今現在のドラゴンの思考は破壊されている街やいまま正に蹴散らされて
住人達には誰にも理解できるものでは無いと言われる類だろう。
そもそもこんな状況で誰がドラゴンがこんな思考をすると思うだろうか。
(まさかあんな所が逆鱗だったとは…知られたら恥ずかしくて死にそうだ…
)
自分の身体が自分の意思とは関係なく破壊活動を行っている中が何でこうな
ったのか先程の戦闘を思い返していた。
あの魔法少女?との攻撃が自身の逆鱗に当たりこうなった。
しかし問題は逆鱗の位置だった。
そこが逆鱗とは当人にとっては急所の筈なのに黒いドラゴン本人も解ってい
なかったので頭を抱えたくなった。
(あーあー…この仕様に一回運営に文句言いたいがその前に誰か止めてくれ
ぬかな…てっ、誰も止められんではないか…早く時間が…ん?)
勝手に身体が動いているがある程度自由なドラゴンの目に一人の少年が写った。
それは自身が親友と言っている少年だった。
その手には少年がかつて自分自身に戦いを挑んだ時に手あった光剣の玩具が握
られてる。
(あ奴…何故?)
「今すぐ暴走止めるからね…ドラゴンさん」
(我を止めに来たのか!?あ奴…我が暴走してると理解して…ちょっと感動
してるぞ…我は…暴走していると理解してくれてる奴は初めて見たかも…)
黒いドラゴンが当人にしか解らない感動を味わっている中親友の少年は蒼い
光の刃を形作る玩具の光剣を右手に黒いドラゴンに向けて走る。
黒いドラゴンの身体はその行動に応えるかの様に綴也に突撃を開始した。
(おい!!体格差を考えろ!!)
それはどちらに対してか両者のアクションに思わずそんな言葉が出たが黒い
ドラゴンの身体はその手にある大剣を叩き付けた。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!?」
(当たり前だ!!馬鹿者!!)
綴也はその衝撃で空中にふきとばされた。
現実ならばどうなっていたかは分からないが空中に吹き飛ばされている綴也
は目立った傷はない。
黒いドラゴンの身体は吹き飛ばされ空中にいる綴也に目掛けてその再び大剣
振るう。
「く!?っわぁ!?」
(我の身体ながらちょっと待て!?)
綴也は受け止めようとするが大剣が光剣に掠っただけでに違う方向に吹き飛
ばされた。
黒いドラゴンの身体は吹き飛ばされている綴也目掛けて大剣を更に連続で振る
う。
(まるでお手玉ではないか!!)
「クッ!!」
綴也も迫る大剣を光剣の刃で受け止めようとするがその瞬間に再び別の方へ
弾き飛ばされる。
現実にそんな事になればどうなるかは分からないが綴也は生きている。
ドラゴンの身体はそれでも大剣を振るう。
綴也は空中で何度もその大剣で別の方へ別の方へ弾き飛ばされる。
その様はかつて綴也自身がアイディアルで人間ピンボールの比では無く竜巻
の中で巻き込まれている建物の破片の様だったが綴也は大剣の一撃を食らわ
ず生きている。
(あの状況で生きているのも逆に凄いな…友よ…いやあの時もそれ位はやっ
てたか…)
思うように動けない中黒いドラゴンが綴也が自分の身体の攻撃に耐えている
事に感心しているとその自身の身体がまるで業を煮やしたかの如く咆哮上げ
振るった大剣が綴也を空中に打ち上げた。
(おお…先程よりも飛んどるな…だが生きとる…)
「くっ!?」
はるか空中に打ち上げられた綴也は自分の後ろに先程の一撃で自分と同じ
く打ち上げられた大きな破片を目にした。
「ッ!!」
綴也は破片を足場に黒いドラゴンのいる地上に向けて破片を蹴って飛んだ。
「はあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
黒いドラゴンの身体に突撃をかけ光剣を突き立てようと試みるも黒いドラゴ
ンの身体も自身の翼を広げ綴也に向けて飛翔した。
「!?」
再び咆哮と共に大剣を振るい綴也を弾き飛ばした。
(少年!!)
直撃はしなかったが綴也ははるか遠くに飛ばされて数多の建物の壁を貫きな
がら地面に落ちた。
それだけで結果は考えるまでもない。
「くっ…うっ!!」
だが現実吹き飛ばされながらも綴也は光剣の刃を突き刺して立っていた。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
現実にそんな事が可能なのかは分からないが綴也は服に汚れとイリュシオン
で再現されたかすり傷が見受けられるが五体に致命的な傷らしきものは無か
った。
しかし綴也は息が上がっていて明らかに押されているのは間違いなかった。
「まだだ…まだ!!」
(その顔を見ればまだまだ諦めておらんな!!友よ!!)
息が上がっていても諦めるという言葉が一切見受けられない表情の綴也は遥
か向こうの様に遠い黒い巨体に向かい走る。
それは何時もよりも速いがドラゴンの身体には届かない。
その間黒いドラゴンの身体が綴也をただ待っている訳も無かった。
黒いドラゴンの身体は咆哮を上げて走ってくる綴也にその大剣を振るう。
それだけで大剣から斬撃そのものが綴也に向かい飛んでいった。
「!?うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
綴也はその大剣から飛ばされた斬撃をその手にある光剣で大剣を受け止めよ
うとする。
現実にそんな事は不可能だろうが綴也はその大剣の斬撃をその手の光剣の玩
具の刃で受け止め弾いた。
弾かれた斬撃はあらぬ空へと飛んでいく。
(おお!!)
「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
黒いドラゴンの身体が驚愕したような表情を見せながらも斬撃を連続で振る
い飛ばす。
綴也は大剣の斬撃を叫びと共に弾き返しながら進んでいく。
(おお!!刀身の範囲まで来た!!)
綴也が大剣の刀身まで距離を詰めた瞬間黒いドラゴンの身体は綴也に向けて
直接大剣の刃を振るった。
現実にそれをやる事が出来るかどうかは分からないが綴也はその大剣の刃を
受けては返しながらも進む。
それは大きいドラゴンと小さな人間によるあまりにも奇妙な剣戟になってい
た。
「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
奇妙な剣戟の中で綴也は黒いドラゴンの大剣を弾きながらも黒いドラゴンの
身体に向かい走っていく。
それはあまりにも遠い距離ともいえるがそれでも着実に進んで距離を詰めて
いった。
(そこだ!!)
「はあぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ドラゴンの思考が届いたかの如く綴也叫びと共に振るった一撃が黒いドラゴン
の大剣を打ち上げ黒いドラゴンの身体の態勢を大きく崩した。
(今だ!!友よ!!)
綴也はドラゴンの身体に向かって走る。
そこは大剣を振るうには近すぎた。
体勢も崩したまま綴也の一撃が届くかに見えた。
しかし黒いドラゴンの身体は体勢を崩されながらも大きな口を開けた。
(おい!!そんな態勢で!?)
黒いドラゴンの身体は大きく開いた口から炎の様な光を放った。
その光は黒いドラゴンの身体よりも大きく膨れ上がる光だった。
言うまでも無く綴也に逃げ道は無い。
(いかん!?)
「ドラゴンさんを…助けるんだ!!」
大きすぎる光を前にその叫びと共に光剣を振るった。
ここまで来ると取れる手段はそのまま光に飲まれるか光に抗うかの二択だ。
それでも現実に考えれば結末は言うまでもない筈だった。
しかし振るわれた光剣は炎の光を真っ二つに斬り裂き光を二つに分けて行っ
た。
(おお!!)
黒いドラゴンの身体も身体を動かせない心も共に驚いていた。
その一瞬に綴也は黒いドラゴンの身体に向かい飛び上がる。
その光剣を黒いドラゴンに叩き付ける為に。
(まさかここまでやるとは…ん?)
黒いドラゴンが感動しているとその光景の右側にカウントダウンを表示され
た。
(おお!!もうすぐ元に戻る…いや…やっと…ってん!?)
元に戻る事を知り安堵が訪れた中黒いドラゴンの目の前には必死に迫る友と
呼ぶ少年の姿があった。
(おい!?…ちょっとちょっと待て少年!?そこは待て!?後十秒!?あと
三!?)
「だあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
必死の形相の綴也は光剣の玩具を下から飛び上がりドラゴンの身体の一部を
突き刺した。
「あ!?」
光剣の形作る刃は見事黒いドラゴンの皮膚を貫き刺さっていた。
そこはいわゆる股間と呼ばれる場所だった。
「あぁっあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
その瞬間黒いドラゴンの痛みの激しさを表れともいえる悲鳴が響き渡った。
その悲鳴が何か見えない壁の様な何かを作り出し綴也を空へ吹き飛ばした。
「うわぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…っく!!」
突如吹き飛ばされた事に驚きながらも綴也は何とか着地を試みようとした。
まだ暴走が収まらないのなら死ぬ訳にはいかない。
そう気合を入れ直し一か八か光剣の刃を地面が近付くのを待った。
「え?」
その前に綴也を巨大な手が握っていた。
それは目の前にいる黒いドラゴンの手だった。
「ど、ドラゴンさん…?」
「こ、こ、こ…」
暴れる様子は無くどういう理由かは分からないが様子が違うのでどうなのか
判断は難しいが雰囲気が先程と違うので元に戻った様だった。
戻ったならば良かったかなと思ったが黒いドラゴンはどこか赤面して怒って
いる様にも見えた。
「あ、あの…」
「……この…」
「ドラゴン…さん…怒って…」
「ばぁぁぁぁぁぁかぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
と女性の様な叫び声を上げて黒いドラゴンは綴也を握っている手を地面に叩
きつけた。
地面に激しい衝撃が舞った。
その直後黒いドラゴンは拳を幾重にも地面に叩き付け口から先程の光とは比
べ物にならない光を放った。
先保から現実にはそんな事になればどうなるかを覆していた少年もこれは覆
す事は出来なかった。
「貴様は我の股間に恨みでもあるのか!!?」
「本当にすみません必死だったんで…」
赤面した黒いドラゴンによって死んだ綴也はミフル達のいる部屋に戻されて
画面越しに元に戻ったらしい黒いドラゴンに呼び出されて正座させられてい
た。
その後ろにはヴェコも加えた旧友達もいた。
「あそこを攻撃しろと言ったのはそこの糞野郎か!?助けようとしてくれた
かもしれんが…助け方を考えろ!!」
「ごめん時間が立てば元に戻るって聞いてそれまで時間を稼ごうと思って…
とにかく…」
「だからって股間を突くな!!あんな声出しては我が変態みたいではないか
!!そんなイメージがついたら泣くぞ!!」
「ご、ごめん…とにかく止めるので必死だった…」
「我あんな…あんな…まるで変態ではないか!!」
「私は何も言ってませんよ。自分で逆鱗を攻撃された間抜けが責任転嫁する
んじゃありません…情けない。そもそも暴走している時と普段の状態の区別
が未だに住人に定着していない貴女にも問題があるのですが…」
「色々あって否定は出来んが貴様に言われるのは物凄く不愉快だこのくそ野
郎が!!」
「言っておきますが私は逆鱗の位置なんて知りませんよ…」
「だったら我だけにも教え…」
「教えられるわけないでしょう…ゲーム的に…」
「何なんだ…この状況…」
「さ、さあ…」
「あはは…凄いね…あの界塵竜とこんな会話してるなんて…さすが綴也君だ
よ…」
「だよね…流石テッ君」
旧友達も目の前の光景に半信半疑だった。
黒いドラゴンはそれだけイリュシオンでは有名なボスでもありプレイヤーで
もあるのだ。
そんな有名人が涙目赤面で小さい人間を説教している光景は所謂シュールと
言われる類のものだった。
「いや、そもそも貴様がいきなり恋人が襲われたと思い込んでケンカ売って
きたのも原因だからな!!」
「何よ!!アナタがテっ君の友達って信じられないのが悪いんじゃない!!
あんな罵詈雑言…」
「だからイメージとかけ離れ過ぎだったから…」
「そこに関しては俺にも責任の一端があるからすみません。でも俺あんたと
友達になれる気がしてきたわ…あの糞野郎…ってところに共感を覚えるし…」
「だな!!この電子製命体は本当に糞野郎だ!!」
「だよな…こいつ性格悪いよな…」
「酷いですね当人のいないのに妹の前で家族を侮辱するなんて…人間として
どうかと思いますよ」
「「お前は男というかその本人だろうが!!」」
「カー君駄目よ…ミーちゃんは女の子なんだから…」
「いや…だからそいつ男だぞ魔法少女?よ…」
「良いじゃない性別の違い位…ミーちゃんはミーちゃんなんだから…」
「そうですよだから貴方もヴェコちゃんに初めて告白した時も…」
「お前!!黙れ!!マジで黙れ!!告白に後悔はないがテメェには言われた
くねえ!!」
「うーん…何だかね…」
「これが本当にあの界塵竜なのか?」
「僕と話してると街を破壊してるけど出会った時からこんな感じな気がする
…」
この短い間にカイルと黒いドラゴンにも共感できるものが見つかったのか会
話が盛り上がっていた。
「あの…ミフさん…」
「おっと…まあとにかくこいつも大人しくしなりましたし綴也さんも心置き
なく外に出れるでしょう?」
「良いよな?綴也?」
「え?い、良いけど…」
「良し!!早く出るぞ!!出た後どうするかは決まってねえけど思った以上
にトラブルに巻き込まれてるから早く出るぞ!!」
「もうお昼の一時過ぎですしね…」
「マジかよ!?」
「誰かが話込むから…」
「だね?」
「と、とにかく行くぞ!!とにかく昼飯だ!!昼飯食うぞ!!」
「という訳で…」
「行こうか?」
「え?何で僕!?雅人と瑛生に挟まれてるの!?」
「まあ…」
「今回の主犯って事で…」
「行こうか?」
「は、はい…」
雅人と瑛生に両側を挟まれて手錠はされていないがその様は連行される事件
の容疑者だった。
「ヴェコも来い!!」
「え!?」
「二人きりじゃねえからデートとは言えねえがここまで来た恋人だけ返すっ
てのも…な?」
「うん!!」
カイルの言葉に歓喜の表情のヴェコを加えた旧友達に連れられて綴也は駅の
ホームに歩いていく。
「ちょっと待て友よ…」
「ん?」
「先程遊びに誘ってくれたが我はこう見えてこのゲームのボスキャラという
仕事中でな…あいにく仕事をさぼる訳にはいかんのだ」
「そ、そうだったの…ごめん」
「まああれだけ楽しそうに街を破壊していたらそう見えませんよね…」
「うるさい!だが誘ってくれた事は嬉しかったぞ…ありがとう」
「うん…」
「まあ遊ぶならばこのイリュシオンでだな…あと暴走した我を止めようとし
てくれた事感謝する」
「うん…でも股間の事…」
「それは今後は気をつけろ!!いいな!!」
「う、うん…それじゃあ」
「うむ、またな…」
「行ってらっしゃーい。東京の地を楽しんで味わって下さいね」
ミフルに見送られ綴也は黒いドラゴンに手を振りながら幻想の東京駅から現
実の東京駅に向かうのだった。
「さて…何か聞きたい事でも?」
「有るが…そもそも聞いたら答えるのか?」
「もう答えを理解している者には必要ありませんね…」
「ふん…」
「綴也さんに暴走しても止めに来なくて良いとは言わなかったのは何故です
?」
「ふん…忘れていただけだ…ん?」
黒いドラゴンが見る先には空を覆う幻想住人の集団があった。
それは先程ミフルが綴也に言っていた黒いドラゴンを討伐しようとする者達
だった。
「今更ここに来るとは間の悪い奴らよ…先程までならば勝ちの目もあったろ
うに…」
「毛ほどじゃないですか…」
「話は後で聞くとしよう…」
「逆鱗には気を付けて…」
「今日はもう当たらんわ!!位置も解ったからな!!」
「まさか今日はそこだったとは…」
「やかましい!!」
身体の自由を取り戻したドラゴンは赤面しながらも幻想住人の集団に向かい
飛んで行った。
その結果は描くまでも無かった。
Mル…綴也さんも一日目から大変ですね。
駅に来ただけでトラブルが頻発してこれからが心配ですね。
Mラ…まあ…あの男がまとも旅行が出来る訳がありません。
日頃の行いが悪いのに。
Mル…おや、日頃の行いは悪くは無いと思いますけど…?
Mラ…自分の悪名を払拭する自覚と努力が圧倒的に足りません。
これを日頃の行いが良いとは言えないでしょう。
Mル…じゃあ貴方の出番もこのあとがきにしか無いのは日頃の行
いが悪いからですね。
Mラ…ではあの男の日頃の行いが悪いのは貴女の日頃の行いが悪
いからですね。
E香…何を自分自身で一人二役の芝居をやっている!?
見ていて痛々しくなるぞ…。
Mル…いやぁ…本来の私の出番は綴也さんのいる所では殆どあり
ませんから…
E香…その女装癖を直せば本来の姿でいられるだろに…
Mル…それでは綴也さんをからかえないから嫌ですよ!!
女体化辞める位ならこの地球諸共死んでやります!!
E香…真剣な顔つきで言い切るな変態屑野郎!!
まあいい、あの綴也君はあの黒いドラゴンと戦えている?
Mル…まあ今回はドラゴンの方が弱体化しているのも戦えた一因
でしょう。
E香…弱体化?
Mル…ネタバレですけど暴走状態は弱体化なんですよ。
E香…そうは見えないが…
Mル…それも含めて昨今の幻想住人は情けないという事です
(ため息)
E香…おい、それだと綴也君が初めて黒いドラゴンと戦った時も
そうだが何でドラゴンが何で戦えている!?
Mル…アレが慢心していたからですよ…
E香…明らかにすっとぼけているだろう。
それだけじゃないだろう?
Mル…ですが綴也さんは不正な事は一切していますんよ。
私が断言します。
E香…そうかそこに関しては信じよう。
であの黒いドラゴンの逆鱗とはどこだったんだ?
Mル…これだからファザコン妻は…
それはセクハラです。
E香…は!?何でそうなる!?
Mル…あのドラゴンも後3秒あれば自然に戻れたのにね…
よりにもよって再攻撃されて戻りましたから…
E香…暴走中に逆鱗を再度攻撃されると戻ると…は!!
(顔が真っ赤になって行き言葉が出ない)
Mル…それはそれとして此処でお詫びを
作者が次の話を作るのに1ヶ月もかけて申し訳ありません。
中々話が決まらなかったそうです。
E香…それだけじゃないだろう!!(逆鱗の位置を気づき赤面中)
Mル…C禍のストレスと一年の後半はF〇Oで逃がせないイベン
トを…
E香…前者は分かるが後半は…
Mル…ちなみに秋が200で冬が150だそうです。




