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「…という訳なんです」

「まさか…」

「僕達よりも早く始めてるなんて…」

「あのアイディアル馬鹿の綴也が…」


綴也は入学から一か月の間に起こった事を大まかだが説明した。

自分で説明していて今までの一か月が凄く長かったなと思った。


「でもお前…アイディアル…辞めちまったのか?」

「うん…サクラ会長と約束したしね…」

「そうか…」


綴也自身もまさか入学して直ぐにアイディアルを引退する事になるとは思い

もしなかった。


「でも…それでも勝負しろって言ってくる人がいて…」

「辞めた事すらも信じてもらってねえって事かよ…」


そう、自身が言った通り実際に辞めるとう約束を守れているとはとても言え

ない。

勝負を挑まれ断ろうとしても話がこじれて結局勝負を受けて約束を破る悪循

環の繰り返しだった事もあり後ろめたさはあったので友人達の気遣いも少し

申し訳なかった。


「「「……」」」


が不思議な事に友人達もどことなく申し訳なさそうな表情をしていた。


「皆どうしたの?」

「実はな…今日はお前にこのイリュシオンを紹介しようと思ってたんだよ」

「イリュシオンを紹介?」

「うん。此処はアイディアルにどことなく似てる気がするし君の事を知って

るいないからアイディアルの代わりにかもと思ってね…」

「え?代わりって…」

「ああ。僕達は今日お前にアイディアルを辞めさせようって心算でここに来

たんだよ…」

「そうだったの?」


雅人と瑛生も綴也の問いに片方は申し訳なさそうにもう片方が苦笑いしなが

ら綴也の質問を肯定する。

まさか旧友達がアイディアルを止めさせようとしたとは思いもしなかった。


「ごめん…遊びに行くって言って騙したみたいで…」

「気にしないで…」


が彼等の行為に文句を言うつもりは無かった。

旧友達は綴也の詳しい事情を知る者だからこそ考えたという事が綴也には察

する事が出来る位には付き合いがあった。


「まあ予定は大いに狂ってるけどな…」

「何か…ごめん…」

「お前は悪くねえよ…」

「そうだよ。悪いのは自分の彼女をちゃんと説得できなかった何処かの誰か

だよね…?」

「かな?」

「うっ!!た、ただな…後であの野郎は絶対問い詰めないと!!」

「「うんうん…」」

「あの野郎って…も、もしかして…」

「ああ、あの野郎に頭下げて考えたってのに…半年近く前には相談してたっ

てのにあの野郎…」

「ミトラ…いやミフルさんは何も言わなかったのかい?君がイリュシオン始

める時に…」

「いいや、全然…」


何時も一緒にいる事が多いあの電子製命体からは旧友達からそんな相談を受

けていたそぶりは全くなかった。


「もしかして…ミトラさん」

「あの野郎わざと黙ってやがったな…」

「ミトラさんならそうするだろうね…」


旧友達の推測通り自分にイリュシオンの紹介をする前にその存在を知ってし

まったのできっと電子製命体は少し悪戯心が沸いて黙っていたのだろうと女

の姿になって笑う姿を想像しながら綴也は思った。


「ミフルさんも言えばよかったのに…何だか…気を遣わせちゃったね…」

「気にすんな…俺等も良かれと思って余計な気を遣っただけだ…」

「でも、どうしようか?綴也君にイリュシオンを紹介する必要が無くなった

けど…」

「そうなんだよな…今日一日はこれ以外考えてなかったんだよな…」

「何か…ごめん…」

「いや…でもよ失礼だけどあのゲーム店の一人息子でありながらイリュシオ

ンの事も知らないしゲームも未経験でゲームよりもアイディアル一筋の綴也

がこの一か月でイリュシオンを知ったなんて知って失礼だが何だか感動が込

み上げて来た…」

「「うんうん…」」

「そ」、そんなに感動する程なの!?」

「お前!!休日一日中何度も何度も飽きもせずニンジャ・マイスターと戦っ

て何度も天井に頭から埋まってたじゃねえか…」

「う!!さ、流石にそれはもう無いよ…しばらく戦ってないから…今は分か

らないけど…」


それを言われると否定できない。

彼らの感動は正に綴也のアイディアルへの情熱の深さを知る旧友達だからこ

その反応だった。

しかし今日の予定が丸々消えてしまったという事実は変わらないので四人で

予定を考える事になった。


「じゃあ…東京を一日ぶらりと歩くとか…」

「悪くないが明日の為に余計なお金は使えねえよ…」

「そうだね…」

「明日…?」

「ああ…明日は違う所に行く予定なのさ…」

「まあ、ここで考えるよりも一度イリュシオンから出て考えないか?」

「そうだな…ここで考えてたらあの時みたいにで巻き添え喰うかもしれない

しな…」

「あの時?巻き添え?」

「ああ…それで何度か死んでるんだよ…俺達…魔法使い達と超能力者達の戦

いとか黒いドラゴンの破壊活動とかで…しかもそいつらこのゲームじゃあ有

名な奴らなんだとさ…」

「え?」

「やっぱり知らないみたいだから綴也君も気をつけて…折角作ったキャラが

一発で二度と使えなくなるっていう凄い難易度高い仕様だから…このゲーム

…」

「う、うん…気をつけるよ…」


カイル達の忠告に今の話題に出ているであろうその戦いにも巻き込まれたし

ましてや黒いドラゴンとは四人の中で綴也はとっても親しくなっていた言っ

ても過言ではなかった。

ましてや死んだ回数も多いし死に方も様々体験している。

色々な意味で苦笑しながら綴也は旧友達の有難い忠告を聞くしかなかった。


「そうだ!!一番言わなきゃならん事がある!!」

「ん?何?」

「お前…ここであんまり姫神殺しの事自分から言うなよ…」

「え?」

「君の事だからミトラさんが言った様に隠し事するよりは良いかも知れない

って思ってるかもだがけど自分から吹聴する必要は無いって事だよ…」

「う、うん…」

「最近新天神の方で姫神殺しを名乗る奴が出たらしいから…しかも大事件を

起こしたらしいんだよ…」

「そ、そうなんだ…」


友人達は純粋に綴也の事を心配している。

だが今友人達の言う事件はまごう事なき自分が巻き込まれて起こした事だっ

た。


「あんまり正直すぎるの良くないぜ…もしかたら冤罪押し付けられるかもし

れないぜ…」


友人達の気遣いは嬉しかったが申し訳ない事にその事件の時に姫神殺しの事

は自分から大人数の前で言ってしまっている。

どれ程知られているのか分からないがもしかしたらミフルも広がっていると

言っていたのでもうこの東京でも知っている人はいるかもしれなかった。


「うーん…」

「どうした?」


此処は正直にもう自己申告しているとと言うべきかと口を開こうとした。


「うん…実は…」

「少し待ってくれないか?」

「え?」

「そう君だ…」

「何だ?いきなり…」

「そこの君は姫神殺しだね?」

「「「え!?」」」

「はい。そうですけど…」

「て、綴也!?」


突如見ず知らずの誰かに呼び止められ姫神殺しかと問われた。

その問いかけに綴也は素直に答えた。

友人達の忠告も有難かったが自分は姫神殺しではないとは言えなかった。


「何でそんな自分から…」

「ごめん…前に自分から言っちゃってるんで…」

「遅かった!!」

「あ~」

「まあ、僕達よりも早かった時点でそうかなって思ってたけど…」

「そうか…やっぱり!!」

「あの…何か…」

「お前を殺す!!」

「え!?」


その誰かは明らかに殺意と共に武器を構えた。

それが合図と言わんばかりにいつの間にか綴也達の周りにいた人間達が武器

を構えに綴也達を包囲していた。


「ちょっと待て!!何でいきなり武器構えてんだ!?」

「そいつは歌姫の誘拐未遂を引き起こした卑劣な本当の犯罪者だ!!」

「誘拐未遂!?歌姫!?それってあの有名な朝灯那…」

「そんな事してませんよ!!」

「何かの間違いじゃ…」

「お前が彼女を連れて行った動画が拡散している!!証拠は挙がっているん

だ!!」


そう言って男は自分の前にウィンドウを開き映像を再生した。

そこには金の髪と青い目をした少女とその手を引っ張って走る綴也自身の姿

があった。


「それはの時歌姫さんが狙われていて…」

「どちらかと言うとコイツが歌姫と一緒に逃げてる様に見えても誘拐してい

る様には見えねえぞ!!」

「お前がその狙った奴らの仲間か別口の奴なんだろう!!そんな言い訳が信

じられると思うな!!」


言い分があったが聞いてはもらえなかった。

集団相手に対抗できる自信は無いがだからと言って無抵抗で攻撃されるのは

と思い綴也は自分の武器である大剣を取り出そうとした。


「ん?あれ?」

「ど、どうした!?」

「大剣…武器が出ない?」

「はあ!?トラブルか!?」

「あ!住人状態の設定今はOFFだった…」

「なにぃ!?」

「変身する気かい!?」

「変身?僕…前に感情型って」

「変身無しかよ!?良いな…俺達なんて…」

「「そんなこと言ってる場合じゃないと思うけど…」」


駅で設定を解除する以外にも住人に変身出来る方法があると聞いたが自分が

感情型と言われたが綴也自身それ自体よく理解できていない。

それでも武器が出ないのは明らかに危機と言える状況だった。


「どうやら本当に姫神殺しの様だな…」

「え?」

「知らなかったのか…貴様は運営から監視対象になっている。監視者も来て

いないのに勝手にこの地を歩いている…お前の勝手を許さない様に監視対象

には変身できない制限がかけられるんだ…」

「監視!?」

「あ!!」

「綴也君監視されての!?」

「う、うん…桜羽思命って人に…」

「マジかよ…って何やったって言うのは…まあ…」

「うん…ごめん」


その言葉で綴也は思命が自分を監視している事を思い出した。

あまりにも監視されている感じがしない為にまさか思命がいないとこんな事

になるとは思いもしなかった。

此処に来るまでにドタバタしていたとはいえ何で今の今まで忘れていたのか

と思うと自分ってなんだかドジが多くて落ち込みそうになった。


「観念してもらおうか…姫神殺し!!」

「く!!」


全方向を囲まれて正しく四面楚歌のでいつ攻撃が始まってもおかしくない。

自分の自業自得言われたら反論できないがそれでもこうして悪者扱いされ

るのは気分の良いものではない。


「ちょっと待て!」


武器を持った住人達に囲まれて攻撃開始寸前でもどうしたら良いのか思考

が纏まらない綴也の前に旧友達が武器を構える集団の前に彼を庇う様に立

った。


「カイル!?雅人!?瑛生!?」

「待て!!君達はソイツに騙されてるだけだ!!」

「お気遣いありがとうと言っておくがそれは余計なお世話だ…」

「何?」

「僕達は姫神殺しになる前から友達だからね!!」

「少なくとも友達が袋叩きに会いそうなのを放っておける訳ないよ…」

「もう一回言っておくぜ。さっきのアンタの動画俺には誘拐と言ううよりも

一緒に逃げてる様に見えたぜ」

「クッ!!貴様は…こんな…」

「仕方ねえだったら力尽くで退いてもらう!!」

「待て!!」

「当たっても転送されるだけだろう!!それに騙されてんなら目覚めには良

いだろうが!!」


集団の一部がカイル達に向けて各々武器を振るった。

このイリュシオンはゲームである。

放たれた攻撃は俗にいう必殺技と呼ばれる類だがそれでもこの攻撃もゲーム

の一部であり一撃一撃には明らかに相手を殺すと思わせるには十分過ぎる圧

力があるがそれでも本当に相手が傷つくわけではない。


「「「え?」」」

「「な!?」」


しかしその攻撃が三人に届く事はなかった。

三人に向けられた攻撃は全て斬られたり弾かれていた。


「綴…也?」

「綴也君?」

「…」


呆然とする三人の前には蒼い光の刃を形作る玩具の光剣が握る綴也がいた。

自分のPDで旧友達が守れると確信があったわけではない。

そもそもイリュシオンでPDを使ったのはあの始めて此処に来た時の黒い

ドラゴンの時以来だった。

だからどうなるかは分からないというのが正直な所だった。


「皆…離れてて…」

「って…おい!?」


そう言って綴也は友人達から離れ集団に向かい駆けて光剣を振るった。

その一振りが集団の一部がまるで嵐で飛ばされる物の様に吹っ飛ばした。


「貴様!!一体何をした!?」

「何だその剣は!?だけど歌姫には近づけさせねえそ!!」

「貴方達が何を言っているのか意味は分からないけど…」

「何だと!?」


綴也に彼等と戦う理由は無い。

彼らが綴也に武器を向けて来た理由も誤解であるし或いは何か他にも理由が

あったかもしれない。


「貴方達と戦う理由は無いけど…」


ましてや今自身が持つ光剣で何で攻撃を斬れたのか弾けたのか集団が吹っ飛

ばされたのかも理解していない。

だが今はそれはどうでも良かった。


「誤解を招いた僕にも責任があっても…」


あの時とは違いこのイリュシオンがゲームである事も理解している。

実際に今の攻撃が旧友達に当たっていたとしても本当に傷つく訳ではないの

も十二分に理解はしている心算だった。


「それでも…友達が殺されそうになって平気でいられる人間じゃない!!」


光剣の玩具を彼らに向けてそう叫んだ。

叫ばずにはいられなかった。

ゲームなのに友達が殺されそうだと思ったのだ。

彼の心を激昂させるには位にこのゲームはクオリティが凄まじかったしそし

てゲームでもそれが割り切れる人間でもなかった。

Mル…まあ、ゲームだと解っていてもまあいきなり集団で武器で

   攻撃されたら怒りますよね。


E香…私も少しムッと来るかな…


Mル…貴女はその瞬間に全員皆殺しにしてるでしょう。

   まあ綴也さんの場合は少し違うかもしれません。


E香…旧友達を攻撃されて怒っているのではないのか?


Mル…そんな理由でキレませんよ。

   厳密には綴也さんはゲームだと解っていても友人達が殺さ

   れかけてキレてるんです。


E香…ゲームだぞ?

   本当に殺されるわけないだろう。

   

Mル…ええ、仮にゲーム内で殺されても駅に強制転移されるだけ 

   …。

   だがゲームだと解っていても実際に傷つくことは無いと分

   かっていてもイリュシオンは臨場感は世界トップクラスの

   ゲームですのでその上初めて此処に来た時がアレだったの

   で…


E香…つまり…


Mル…何処かの生徒会メンバーの所為で余計なトラウマが増えて

   今回の様な余計な火種が生まれたという事です。


E香…綴也君は関わる女にトラウマを植え付けられてないか?


Mル…貴女にその罪の自覚がある事に私は驚きましたよ。

 

E香…貴様はその罪の自覚が無いように思えるが…。


Mル…私は男ですから…


E香…貴様、まさか…


Mル…今回は私は無関係です!!

   どちらかと言うと原因は黒いドの付く女です!!


匿名希望のDさん…ウッ!!

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