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エピローグ こんな事もあるかもしれない…






「本当にすみませんでした…」

「いいえ、こんなに喜んでくれるなんて思いませんでしたけど…元を正せば

私が…」


綴也はご機嫌だった。

綴也もまさかこのような形で誰かに恋をするともすぐに失恋するともそして

友達が出来るとは思いもしなかった。

でも高校初めての友達が出来た事は何よりも喜ばしい事だった。

だからなのか高校初めての友達がどうした良いのか分からない程に喜んでそ

れを謝罪しないといけない位喜んだ。


「いいえ…気にしないで下さい…知らないよりは良いと思いますし…」

「もしかしたら桜さんに失恋したから友達になれたの喜びでその痛みを超え

ようとしているのかもしれませんね…」

「「う!?」」


二人は同時にギクっと固まった。

綴也も否定はできなかった。

桜も少し気まずそうだった。

ただサクラの時は自業自得とはいえ殴られてしまったが今回はこうして失恋

にしたにしては穏やか雰囲気なので奇跡の様に思えた。

だからなのか綴也の中からこんな思い付きが浮かんだ。


「そうだ!!なら僕の相談に乗ってください!!」

「え?」

「友達になる前に相談には乗りましたけど今度は桜さんが僕の相談に乗って

下さい…これでおあいこという事で…」


我ながら妙案を思いついたと綴也は出来たばかりの友達にイリュシオンの事

を相談する事にした。


「成程…そういう事だったんですね…」

「はい」

「では友達になったという事は遠慮はいらないという事で綴也君には色々言

いたい事があります!!」

「は、はい?」

「貴方は何でこのゲームをやってこなかったですか!?」

「え!?」


友達ならば気楽にそういう事も出来る仲だろうからそれで桜の気まずさが晴

れてくれれば良いと思ったからだった。

だが突如として桜から説教が始まった。


「そ、それは…アイディアルが好きだったので…」

「じゃあ…何でイリュシオンに!!」

「生徒会に入るには必要だったと聞いて…」

「ああ…何て事…あのような恵まれた環境の中でそれを生かす事もできずに

いたなんて…何たる事でしょう!!」


綴也に矢継ぎ早に問い詰めてくる様は先程まで気まずくしていた彼女からと

は別人の様だった。

遠慮が無くなって良かったと思うがあまりの様子の変貌ぶりに綴也は呆然と

していた。


「あの…み、ミフさん…」

「ああ…彼女はこういう所はサクラ・レノンフォード嬢と一緒ですよ…」

「桜さん…イリュシオンが好きなんですね…」

「というよりもゲーム好きです。サクラ・レノンフォード以上のゲーム好き

なんです…」


綴也にはサクラと桜のイリュシオンに対する熱量の差は比較するのは難しか

った。

今の桜は同じ姿形の少女と区別がつかない程にイリュシオンの事で盛り上が

っていた。


「綴也君は確かゲームはイリュシオンが初めてでしたよね?」

「え?は、はい。あれ何で僕が…?」

「綴也さん…この人は思命さんですよ」


そう言われて彼女がイリュシオンでは老紳士の姿でイリュシオンをプレイし

ている事を思い出した。

始めて出会った時にそのような話をした事を思い出した。

何であのような姿でイリュシオンをプレイしているのか知りたくなるが今は

自分の相談に乗ってもらっているので今思った疑問は頭の隅に置いて置く事

にした。


「今の綴也君に必要なのはゲームに対する苦手意識を取り除くことです!!」

「え!?」

「話を聞いていると綴也君はゲームに対して苦手意識がある様に思えます!

!」

「そ、そうかな…?」

「だからまずはそれをなくすことから始めるべきと思います」


彼女は綴也を引っ張って公園を出た。


「え!?あの!?」

「付いて来なさい!!この街にはゲームの名店があるのですから」


それから直ぐに彼女が立ち往生していた綴也家の前まで戻って来た。


「あの…ここは…?」

「ええ、このお店は古びた外見でも都市日本における十指に入る人気店です

!!」

「あの…ここ…」

「ええ、その名もあそびやです!!」

「僕の家じゃないですか!?」


それは綴也の家である食堂おうちやの隣にあるゲーム店だった。

そしてそれは綴也の家でもあった。

綴也の家は食堂おうちやとゲーム店あそびやという二足の草鞋を履いていた

のだ。


「このゲーム店の店長の息子さんでもあると言うのにそれを生かさないんな

んて…何たる悲劇!!」

「ご両親も息子がゲームに興味持ってくれないんだ…って愚痴ってましたよ

…」

「ええ!?」


そう言われると綴也も申し訳ない気持ちになる。

かといって実家を継ぐか否かは無関係の問題では無いので無視できない問題

だが料理の方は手伝いはしているが料理は一握りのお得様しか出していない

しゲームに関してはイリュシオンまで遊んだこ事が無かった。

そして桜の言った事は多少の誇張はあるがほぼ事実だった。


「さあさあ行きますよ!!」

「いや、大丈夫なんですか?」

「大丈夫です!!綴也君の実家ですから綴也君も楽しめるゲームが…」

「いやここには父さんが…」

「だ、大丈夫です!!い、行きましょう!!」


綴也の言葉で自分の行動の意味に今気づいたのか一瞬迷う様なそぶりをした

が桜はそのまま勢いよくお店のドアを開けた。


「いらっしゃい…おや?」


お店の中に入ると整った容姿の男性が出迎えてくれた。

勢いよくと入店したはずの桜が突如顔を紅潮させている。


「こ、こんにちは…」

「おや?君は?いらっしゃい…」

「は、はいぃ…」


この人が明らかに思い人である事が分かる表情だった。

しかし綴也は何とも言えない表情になる。

何せ彼女の思い人は実の父親であり先程思いを自覚してそのまま失恋したば

かりなのだから。


「今日はどうしたの?あのゲームはまだ発売が…」

「じ、実は…私の友達がゲーム初心者でそのアドバイスをしてほしくて…」

「ほほぉ…友達のね…って?」


綴也を見た瞬間に男は固まっていた。

何せ目の前に実の息子がいるのだから。


「………」


綴也は呆れていた。

何せ目の前に実の親がいるのだから…。


「て、綴也君?」

「何をやってるんですか?」

「いや、いやぁ…そのぉ…」

「ど、どうしたんですか?綴也君?」


店員と綴也の様子がおかしい事に桜は不安げに見つめている。

此処が綴也の実家であると知っていた桜ももしかしたら失恋の事でトラブル

になってしまったと思った様だった。

だがもちろん失恋が理由ではない。


()()()()()()()()()()()()()()()


これが理由だった。

何せ目の前にいるのは父親ではなかった。

目の前にいたのは男装している自分の母親なのだから。


「………………………………………………………………………………へ?」


桜がその言葉を聞いた瞬間固まった。

まるで彫刻の様だった。

心苦しいが真実を明かさなければいけないと綴也が口を開く。


「紹介します…桜さん…僕の…母です…」

「え?お、お母…さん?」

「ど、どうも…綴也のお母さんでーす」

「変声機能切ってください…」

「ああ…うん…」


見た目は整った顔立ちに似合う男性が首のあたりを摩る様なしぐさをした後

その声から女性の声に変わった。

それでもその外見に似合う様な女性の声だった。

更に頭に手を掛けて上げるとそこから黒く長い髪が出て来た。

男装中はカツラを着けていたのだ。


「お母…さん…ですか?」


世界は常に変わっている。

例え日常が営まれていても自分達は只知らないだけで世界には色々な事が起

こっているかもしれない。


「はい…母です…」


もしかしたら誰かが世界の命運を懸けた戦いに勝っているから今の生活が送

れているのかもしれない。

もしかしたら人間以外の伝承や伝説、本の中でしか見なかった生き物達が実

は実在していて人間が気づいていないだけで身近に生活をしているかもしれ

ない。

例えば双子ではなくクローンではと思われる位似ている少女達が何処かで超

人と呼ばれる位の力で戦っているかもしれない。

もしかしたらそう遠くない将来に世界に大きな変化を齎すかもしれない出来

事が起こるかもしれない。


「あ、あはは…息子をよろしくね。私男装してるけどそれで息子と友達辞め

ないでね…」


それは多くの人が生活しているだけでは見る事は出来ないだろう。

でも可能性は零ではない。


「は、はい…よ、よろしくお願いします…」


だからこの様に自分の高校に入って初めて出来た友達が男装している母であ

ると知らずに思いを寄せていたという事を知る現場に居合わせるという事も

あるかもしれない。

Mル…これで第二章は終了でございます。


E香…呑気にそんな事を言っている場合か?

   これは…


Mル…まあ…私はこうなるって予想してましたから…


E香…何だと?


Mル…桜さんが綴也さんに相談する前に私に相談してきた時に彼

   女の言うお父様の外見に違和感があってもしかしたらって

   思ったんですけど…まさか…


E香…あのお嬢さんの思い人は父親と誤解した男装した綴也君の

   母親だった…と。


Mル…何とも奇妙な事で…

   私も言うべきか否か考えたんですけどこれは…


E香…だから綴也君に託したのか…

   押し付けたとも言えるが…

   ちょっと待て…彼女には妹がいる…もしかして…


Mル…さて…どうなんでしょうね…妹さんからは話を聞いてませ

   んからね…


E香…綴也君…頑張れ!!

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