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五月三日・昼Ⅴ? 死の淵の先の光…







「綴也君…そんな人間を演じる必要はないのよ?」

「演技?必要?」


突如としてサクラに言葉をかけられた事に綴也sは驚いた。

先程まで激しい攻撃をしていた彼女からだから尚更だった。

しかしその言葉の内容が何なのかは解らなかった。


「貴方は長年家族や友達と呼べる人達を騙して来た…でももうそれも終わり

なの…終わりにしないといけないの!!」

「せん…ぱい?何を…」

「そうでないと貴方は前に進めない!!」


敵意とは違う哀れみともいえる表情のサクラは強く綴也に語り掛ける。

その瞬間綴也は固まっていた。

その言葉の内容が理解できないからではない。

サクラは綴也を周囲を騙して生きているそんな人間だと理解しているのだと

いう事を理解できたから言葉が出なかった。


「そうしないと真っ当な人間になんてなれない!!誰も君の言葉なんて信じ

てくれない!!」


傷だらけの綴也の身体をサクラの拳と蹴りが叩く。

先程の攻撃すら見えなかった綴也には只々サンドバックの様に打たれるだけ

である。

それでもサクラは攻撃を緩めなかった。

それも演技だと彼女は理解してるのだから。

先程までとのは違い彼女はそうする事が綴也の為だと思っているからだ。


「待ちなさい!!彼は!!」

「邪魔しないで!!これが最後のチャンスかもしれないのよ!!」


少女が止めに入るがサクラは少女を押しのけた。

少女が押しのけられた事に驚くその一瞬にサクラは十二の剣を綴也に向け自

身も剣の一つとなって綴也を包囲した。


「駄目!!」

「これで!!」


少女が叫び終える頃には綴也の身体の至る所にサクラと十二本の剣の斬撃が

刻まれていた。

崩れ落ちたその身体は傷だらけのその身に更に体に刻まれた傷の数はそれだ

けで死を想像させるほどの凄惨な数だった。


「どうして…どうしてそこまでたた…」

「止めなさい!!本当に彼を殺す気ですか!?」

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!!」


止めを刺そうとするサクラを止めようと立ちふさがる少女にサクラが言った

言葉が少女の耳に届いたその瞬間その場の空気が凍った様に静かになった。


「……………………………………………………は?」

「おかしな事を言うわね…貴女」


少女の反応をサクラは訝しんだが少女はサクラの発した言葉の内容に衝撃を

受けて言葉が出ずにいた。

その言葉の意味をこの場で誰よりも理解したからだ。


「貴女こそ何で私と顔をしているの?何で私の邪魔をするの?」

「私は…」

「姫神殺しを守ろうとしているけどそんな事をしても彼の為にはならないわ

…彼が真っ当な人間になるには心から変わらないといけないの!!貴女はそ

れを邪魔しているだけよ!!」


何故ならこの場のこの状況を誰よりも理解している人間はサクラと同じ姿形

を持ったこの少女だった。


「ッ!!」


その状況でそんな言葉が自分の鏡の様な少女から出た事に少女がどう思った

かはその行動が表していた。


「な!?」


少女はサクラに拳を振るった。

言葉にすれば只それだけの筈なのに壁や床が衝撃で抉られていた。


「くっ!!」


それをサクラは十二の剣と両手の剣で応じた。

少女はその襲い掛かる十二の剣を悉く弾いていく。

十二本の剣も弾かれても何度も少女に向かっていく。

拳と剣の戟突が繰り広げられていた。


「貴女は…貴女は!!」


少女は十二の剣を弾く最中拳を届くはずのない距離にいるサクラに拳を振っ

た。

だがその直後拳は地面を更に抉り先程の壁よりも大きな穴を壁に開けていた。


「何なのよ!?貴女は!!」


サクラも十二の剣と共に少女を斬る為に翔る。

同じ顔同じ姿をした少女達の戦いは激しくなっていく。

お互いがお互いを目的の障害と見て捉えてを倒す事に心が突き進んでいる様

だった。


「「はぁあああああああああああ!!」」


彼女達が互いを倒そうと心を加速させるかの様に叫ぶのに比例するかの如く

戦いが激しくなったいた。


「グバァ!!…痛っ!!…がぁ…」


綴也は目を覚ました。

少女二人の激突の衝撃で意識を失った身体が壁に叩き付けられてその痛みで

叩き起こされたのだ。

綴也は身体を動かそうとするが上手く動いてくれない。

片目も見えなかった。

左目は先程のサクラの剣によって斬られていた。

止めると自分で言ってその何分後には何もできず今は傷だらけというのがみ

っともない思いもあるがそれ以上に傷だらけの筈なのに体中の痛みが薄れて

いる気がした。


(もしかして…僕…)


もしかしたらここで本当に死ぬかもしれないという恐怖が沸いていた。

手を握りしめようにもその感覚も薄れているようで恐怖は増していく。


「うっ…」


綴也の残された右目から涙が溢れそうだった。

それは赤ん坊が不安になった時に親を求める行為の様だった。


「「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」


涙がその頬から決壊しそうになる寸前突如として響いた声に気圧されてしま

ったのか涙が引っ込んでしまった。

綴也は自然とその声がした方へ首が動いていた。

右目に二人の少女が叫んで戦っているのが見えた。

ただ二人の少女は声も同じなので叫びが一人が響く様な叫びに聞こえる。

綴也も目が見えなかったら一人が叫んでいると思うだろう。


「止め…なき…ゃ…」


それを見た瞬間綴也はそう呟き身体を動かそうとする。

だが身体は動かない。

傷だらけである事とこの傷では死ぬかもしれないという恐怖が更に身体を重

くしていた。

立ち上がろうにも立ち上がれず転がってしまう。

その際に綴也の前に何かが転がった。


「あ…」


それは綴也のPDであり宝物。

初恋の女性が買ってくれた光剣の玩具だった。


(止めなきゃ…いや…)


そう思っても事態は綴也の手には届かない。

傷と死の恐怖で身体もいう事を聞かない。

それでもそうしたかった。

なぜそう思っているのか綴也も思いはまとまっていない。

それは死の恐怖を紛らわす為の行為かもしれない。

それでもその思いを強く必死に這いずって綴也が傍に宝物の玩具を力いっぱ

い握った。


(止めたいんだ!!)


その行為に意味があるとすればそれは死の恐怖から自分を和らげる位で彼女

達を止める手段にはならない。

でも今それが綴也には必要だった。

宝物をより強く握りながら体を立ち上がらせ始めた。

当然痛みが襲う。

死の恐怖が胸に染みていく。

それでも右手に握る宝物の感触を頼りに強く握り自分に染み付く恐怖が払わ

れて行く様な気分に持って行く。

そして時間は短いが長い時間が掛かった様な気分で綴也はやっとの思いで身

体を立ち上がらせた。


「え?」


傷だらけで立ち上がった瞬間玩具の光剣のスイッチも押していないのに噴出

口から光が放たれた。

放たれた光は山吹色で光は刃を形作った。


「…あ」


目の前に光の剣を綴也は見た事があった。

何故この光が今出るのか彼にも分からない。

この光は彼に姫神殺しという汚名を負うきっかけの一つともいえるものだっ

た。

しかし綴也はこの光を悪いものとは思えなかった。

それはこれが初恋の女性がくれた宝物から出た光だから。

もう一つはもしかしたらというこの光なら二人の戦いを止められるかもしれ

ないと思ったからだ。


「「あああああああああああああ!!」」


綴也の耳に再び少女達の叫び声が聞こえた。

かすむ右目にも明らかに決着をつけようとしているのが分かった。

この光でどう彼女達を止められるか考えている時間は無いと確信した。

綴也は光剣を握りしめ痛みに耐えながらも剣を構えた。


「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」


血だらけで口でかすれながらもあらん限りの声を上げて綴也は光剣の玩具を

言葉と思いを重ねて振るった。


「「な!?」」


光剣の玩具から振り降ろされて放たれた山吹色の光は綴也の言葉と思いを聞

き届けたかの様に戦う二人の少女の間を壁の様に割った。


「何!?」

「な!?」


少女達の視線の先には光剣を振るったままの体勢で立っているのがやっとの

綴也がいる。


「もう…やめ…て…」

「てつ…」


二人の少女に戦いを止めようと言葉を発する最中綴也は意識も沈んで体は倒

れていった。

意識が途切れる前に桜の色をした少女が駆け寄ろうとするのが見えた気がし

たがそれも夢か現実かも分からないままに意識は失われた。


「ん?……………うん?…………あれ…?」


綴也は再び目を覚ました。

自分は生きてるのか?そんな思考が頭の中で浮かんだ。

身体に痛みは無いしかし眠気が酷かった。

病院に運ばれたのかとも思ったがあれだけの怪我で何かつけられている感じ

は無かった。

周囲を確かめようとして彼の両目に二人の人物が見えた。


「あれ…?」

「ようやくお目覚めですか?綴也さん?」

「ミフ……さん?」

「ようやく起きたの…全く…」

「さく…ら…って!?」


ミフルの隣の人物を見るや否や跳ねるように起き上がりた。

綴也はこの少女が自分と同じ姿形の少女と繰り広げた戦いを思い出し止めな

ければと思い出したのだ。


「もう止めるんだ!!二人共!!」

「うわっ!?」


思わずその内の一人を見て駆け寄ってその誰かが驚く声を上げた。

しかし綴也には自分が駆け寄った目の前の人物がサクラなのかあの少女なのか

判別出来なかった。

そもそも今一人しかいない事に気づいていなかったのでどっちなのかわから

なかった。


「あの…えっと…さく…」

「何を寝ぼけてるの…それとも空腹で記憶って曖昧になるの?」

「ええっと…身体チェックは正常ですね…これは…夢ボケですね」

「綴也君…私が誰か解る?」

「え?ええっと…さ…くら…」

「ええ…彼女は綴也さんをここに連れてきた生徒会長さんんです」


ミフルの答え合わせでこの瞬間に綴也は彼女がサクラ・レノンフォードであ

ると理解した。

しかしここにいた筈のもう一人の少女はいなかった。


「あれ…僕は…?」

「綴也さんは空腹のあまりに倒れちゃったんですよ…アイディアル中に…」

「え!?」

「戦闘中だったんで…その際にサクラさんの顔に頭突きをしてしまいまして

ね…我々も見ててそれは見事なヘッドバットだと思いましたよ…」

「え!?」

「おかげで私はこうなっちゃったわよ…」


サクラが自分の顔を指さす。

よく見るとサクラは鼻に絆創膏をつけていた。

どうやらアイディアルの勝負中に空腹のあまりに気絶してそのままあの様な

夢を見ていたという事なのだと理解した。


「す、すみません…僕お昼を食べてなくって…」

「良いわ…今回は勝負の事ばかり考えてお昼を忘れた私に非があるわ…」

「しかしどんな夢を見てたんですか…起きるなり戦いを止めるんだとか…」

「そ、それは…」

「まあ綴也君も起きて異常もないなら私はこれで失礼するわ…」

「本当にすみませんでした」

「今回は私に非があるから気にしないで…でも今度勝負する際に空腹だった

ら遠慮なく言ってね…」


サクラが帰って行って周りを確認してみるとそこは病院ではなく先程までア

イディアル勝負をしていたアイディアルセンターだった。

周囲を見渡すと見ていた筈の破壊された壁もなければサクラと同じ姿形のあ

のすごい力で戦ったあの少女もいなかった。


「よ、良かった…」


綴也は気が抜けて座り込んでいた。

そもそもあの夢が実際にあった事ならば自分が死んでいたかもしれなかった

のでこうしてようやくあの戦いが夢だったと実感し良かったと安堵した。


「うっ…」


安堵した瞬間に綴也のお腹の虫が素直に雄叫びのごとくなった。

それを聞いてミフルが笑ったのが見えた。


「おーい!!先輩!!飯買ってきたぞ!!」

「とりあえず…お昼食べます?その際にどんな夢を見ていたのか聞かせても

らおうではありませんか…ね?」

「うっ…」


きっと夢の内容をすべて聞かれてミフルに弄られる。


「これ…食べる?」

「…いただきます」


と解っていても空腹の綴也に断って逃げるという選択肢は今は無かった。

Mル…とあるお嬢さんの綴也さんに対する理解はお嬢さんの理解

   であり個人差はありますが一般の住人の理解でもあります

   

E香…こういう時はこの話はフィクションですという感じの注意

   事項を言うのかと思ったのだが…。


Mル…先程も言いましたが一般の人達も綴也さんをそういう風に

   理解しているのであえて理解と表記しています。


E香…十把一絡過ぎないか?


Mル…暴論でもありますし個人差もありますが姫神殺しに対する

   理解ってその程度なんですよね。


E香…夢の中とはいえあの子の綴也君に対する評価はああなのか

   …

   ん?その言い方だとあのお嬢さんの意見が一般代表と誤解

   されないか?


Mル…さあ?…一般の人達は私達ではありませんし私達は一般人

   とは違って綴也さんをそれなりに知ってますから…


E香…はあ…不愉快だが同感だ…。

   それで綴也君の夢の中での話だから彼女は本音が駄々洩れ

   になっていたのか?


Mル…さあ?

   実はもっと酷い理解をしている可能性もありますけどね。


E香…どのみち今回もネタバレ防止にあまりあとがき解説は出来

   ないんだろう?

   まともにやった事がある方が珍しいのだが。


Mル…作者にも作者なりに真意があってこんな話を入れてるんで

   すけどね…。


E香…理解される日は来るのか?


Mル…貴女の男の趣味よりかは可能性はあると思いますけどね…

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